杏仁霜(きょうにんそう)は、杏(あんず)の種から作られる香り豊かな粉末で、本格的な杏仁豆腐や薬膳デザートに欠かせない食材です。
しかし、スーパーではあまり見かけず、ネット通販で購入する人がほとんど。
「どこで買えるの?」「どの種類を選べばいい?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、調理師歴25年以上の筆者が、
✅ 杏仁霜の読み方・英語表記
✅ 大さじ・小さじの重さ(グラム換算)
✅ 保存方法や栄養素
✅ そしておすすめの購入先(通販3選)
をわかりやすく紹介します。
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杏仁霜とは

杏仁霜(きょうにんそう)は、杏(あんず)の種子の中にある「仁(さね)」=杏仁(きょうにん)を粉末状にした食材です。ほんのり甘く、香ばしい香りが特徴で、杏仁豆腐や薬膳ドリンクなどに欠かせません。
中国では古くから漢方薬の原料として用いられ、
「咳をしずめる」
「喘息を和らげる」
「便通を整える」
などの作用があると伝えられています。
現在でも、薬膳料理やスイーツに広く使われている、まさに「薬食同源」の代表的な素材です。
杏仁には2種類あり、
- 苦味が強く薬用に使われる「苦杏仁(くきょうにん)」
- 甘くて香りがよく、食品向けの「甜杏仁(てんきょうにん)」
が存在します。
一般的に市販されている杏仁霜は、甜杏仁を原料にしており、やさしい甘い香りが特徴です。
ただし、杏1個からごくわずかしか杏仁が取れないため、純杏仁100%の杏仁霜はとても高価。
そのため、スーパーなどで見かける多くの製品は、香りが似たアーモンドパウダーや砂糖・でん粉をブレンドして販売されています。
なお、杏仁霜とアーモンドパウダーは別物ですが、
中国語ではアーモンドも杏仁も同じ「杏仁(シンレン)」と呼ぶため、
英語表記では混同されて「Almond powder」と表記されている商品もあります。

現役和食調理師のヒント
杏仁霜は、杏仁豆腐やプリン、ミルクドリンクなどに使うと、やさしい香りとコクが加わり、ぐっと本格的な味わいになります。
本格派を目指すなら、甜杏仁100%タイプを選ぶのがおすすめです。
杏仁霜はどんな味?どんな料理に使われる?
杏仁霜(きょうにんそう)は、甘く華やかな杏仁の香りと、ほのかなコクが魅力の粉末です。
この香りと風味こそが、杏仁豆腐を「杏仁らしく」仕上げる要となります。
味と香りの特徴
- 甘さそのものよりも、香りが味のカギ。ほんのりナッツのような香ばしさを感じさせます。
- 純度の高いタイプほど香りが際立つため、香りで味わう要素が強い食材といえます。
- ブレンドタイプ(砂糖・コーンスターチなど混合)では、少しまろやかさが出る傾向があります。
代表的な使い道とレシピ例

| 用途 | 使い方の例 |
|---|---|
| 杏仁豆腐 | 牛乳や豆乳と混ぜて、ゼラチンや寒天で固めてつくる定番スイーツ。濃厚な香りを引き立てます。 |
| 焼き菓子 | クッキー・マフィン・ロールケーキなどに少量混ぜると、香りのアクセントになります。 |
| ドリンク | 牛乳や豆乳、お湯に溶かして杏仁風味のドリンクに。紅茶やココナッツミルクと組み合わせたアレンジも可能です。 |
使用時のコツと注意点
- 液体と混ぜるときは、少量ずつ溶かしてから全体を混ぜると、ダマになりにくくなります。
- 代用品としてアーモンドパウダーやアーモンドエッセンスが用いられることがありますが、香り・風味の深みは杏仁霜には及びません。
- 香りを重視したい場合は、純杏仁タイプ(甜杏仁100%)を選ぶのがベストです。
杏仁霜の重さ|大さじ・小さじ1杯は何グラム?

一般的なブレンドタイプの杏仁霜は、
大さじ1=約8~10g/小さじ1=約3gが目安です。
純杏仁タイプは粉が軽く、大さじ1=約5~6g程度になります。
商品によって重さが変わるため、正確に計りたい場合はスケールを使用してください。
| 計量スプーン | 重さの目安 (ブレンドタイプ) | 純杏仁タイプ |
|---|---|---|
| 大さじ1 | 約8~10g | 約5~6g |
| 小さじ1 | 約3~3.5g | 約2g |
杏仁霜の歴史
杏仁霜(きょうにんそう)の起源は古く、中国で生薬(漢方)として用いられてきた杏仁(あんずの種の仁)にさかのぼります。
古代中国の医書『神農本草経』や『傷寒論』にも登場し、咳止め・喘息の緩和・便秘の改善などの作用があるとされてきました。もともと「薬」としての役割が強く、肺を潤し、体の熱を鎮める生薬として重宝されていたのです。
やがて、杏仁をすりつぶして粉末状にした「杏仁霜」が生まれ、
宋(そう)~明(みん)代の頃には、砂糖や桂花(キンモクセイ)を加えて風味を整えた甘味として発展し、宮廷料理や薬膳デザートの材料としても広まりました。
近代になると、杏仁霜は粉末デザートや飲料用の材料として商品化され、
日本には大正~昭和期に伝わり、現在では「杏仁豆腐」などの中華スイーツに欠かせない材料として定着しました。

現役和食調理師のヒント
杏仁霜は、古代の薬膳文化から受け継がれた知恵が今に生きる、健康と香りを楽しむ伝統食材です。
杏仁霜の保存方法
- 密閉容器に移し替える
袋のままでは湿気を吸いやすいため、密閉できる保存容器やチャック付き袋に移して保管します。乾燥剤(シリカゲル)を一緒に入れるとさらに安心です。 - 直射日光・高温多湿を避ける
保存場所は冷暗所(キッチンの戸棚など)が最適です。
湿度の高い夏場は、冷蔵庫の野菜室での保存もおすすめです。 - スプーンは乾いたものを使用
湿ったスプーンを入れると固まりやすく、カビの原因になります。
🔸保存期間の目安
未開封:製造日から約6〜12か月(※商品記載の賞味期限を確認)
開封後:1〜2か月以内を目安に使い切るのが理想です。
風味が落ちやすいため、長期保存は避けましょう。
🔸冷凍保存はできる?
冷凍も可能ですが、出し入れ時の結露で湿気がつくリスクがあるため、頻繁に使う場合は冷暗所または冷蔵庫保存が安全です。
長期保存したいときは、小分けにして冷凍し、使う分だけ取り出すようにします。

現役和食調理師のヒント
杏仁霜は香りが命。湿気を吸うと香りが薄れ、杏仁豆腐の風味が落ちます。開封後は密閉して早めに使い切りましょう。
杏仁霜はどこで買える?おすすめ通販3選【楽天・Amazon】

杏仁霜(きょうにんそう)は、スーパーではあまり見かけない珍しい食材です。
中華食材店や一部の大型スーパーで取り扱いがある場合もありますが、品ぞろえが限られていたり、純杏仁タイプが手に入りにくいのが現状です。
そのため、ネット通販で購入するのがもっとも便利で確実。
楽天市場やAmazonなら、種類・価格・口コミを比較しながら、自分に合った商品を選べます。
ここでは、調理師歴25年以上の筆者が、使いやすさ・香り・コスパを基準に選んだ
おすすめの杏仁霜を3つご紹介します。
1位:ユウキ食品 杏仁霜(ブレンドタイプ)
初心者でも使いやすい定番品。
甜杏仁の香りをベースに、砂糖やでん粉をブレンドしており、
杏仁豆腐やミルクプリンを手軽に作れます。
- 内容量:100g
- 香り:やさしく甘い
- 特徴:溶けやすく扱いやすい、コスパ◎
- 価格目安:400〜600円
2位:麒福食品 七福 杏仁霜(純杏仁タイプ)
本格派におすすめ。
甜杏仁100%の香り高い杏仁霜で、薬膳デザートや本格的な杏仁豆腐に最適です。
少量でも香りがしっかり立ち、上品な仕上がりに。
- 内容量:100g
- 原料:甜杏仁100%
- 特徴:香り・風味が圧倒的、本格派向け
- 価格目安:1,000〜1,500円
3位:郷味台湾産 杏仁霜(ドリンク用)
香り豊かな台湾スタイル。
お湯や牛乳に溶かすだけで、甘く香ばしい「杏仁茶」や「杏仁ミルク」が楽しめます。
冬の温かいドリンクや朝の薬膳習慣にもぴったり。
- 内容量:200g〜
- 特徴:ドリンク専用、簡単に香りを楽しめる
- 価格目安:700〜1,000円
🛍️ 購入時のポイント
- 純杏仁タイプ:香り重視・本格派向け
- ブレンドタイプ:初心者・手軽さ重視
- ドリンクタイプ:日常使い・お手軽アレンジ

現役和食調理師のヒント
初めての方は「ユウキ食品」からスタート、本格派は「永楽製薬」で香りを極めましょう!
杏仁霜の栄養素含有量
杏仁霜
可食部100g当たり
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五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
杏仁霜の漢字・英語表記

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 杏仁霜 |
| 読み方(日本語) | きょうにんそう |
| 英語表記 | Almond Powder(または Apricot Kernel Powder) |
| 発音記号 | /ˈæmənd ˈpaʊdər/(アーモンド・パウダー) |
| ピンイン(中国語) | xìngrén shuāng(シンレン シュアン) |
本来の原料は「杏(Apricot)」の種の中の仁を粉末にしたもので、正確には Apricot Kernel Powder(アプリコット・カーネル・パウダー)です。
ただし、中国語では「杏仁」と「アーモンド」がどちらも「xìngrén(シンレン)」と呼ばれるため、
英語に訳す際に Almond Powder と表記されることが多くなっています。
そのため、パッケージには「Almond Powder」と書かれていても、実際は杏仁を使った製品であることが多いです。
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。
