ほくほくとした里芋に、かつお節の香りがふんわりと重なる「里芋の土佐煮」。
素朴ながらも奥深い味わいで、和食の定番として親しまれています。しかし、家庭で作ると
「ぬめりが残る」
「味がしみない」
「煮崩れた」
など、失敗しやすい一品。
原因は、下処理の不十分さと火加減の強さにあります。
現役調理師の結論は――
👉 「ぬめりをきちんと除き、煮汁を里芋に“吸わせる時間”を作ること」。
出汁の旨味をしっかり含ませ、仕上げにかつお節で香りを閉じ込めれば、
料亭のような上品な味に仕上がります。
よくある失敗と原因
- 里芋が硬い → 下茹で不足・火加減が弱い
- 煮崩れる → 強火でぐつぐつ煮た
- 味が染みない → 煮汁が多い or 時間が短い
- ぬめりが残る → 塩もみ・洗いが不十分
- 味が濃い → 煮詰めすぎ・火を止め忘れ
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 里芋 | 約300g | 主素材。ホクホクとした食感を生かす |
| かつお節 | 適量 | 風味と旨味を添える(仕上げ用) |
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 130cc | 13 | 全体の旨味をまとめるベース |
| 薄口醤油 | 5cc | 0.5 | 風味を引き立てる下味 |
| 濃口醤油 | 5cc | 0.5 | コクと照りをつける |
| 砂糖 | 5g | 0.5 | 旨味と香ばしさを引き出す |
| みりん | 10cc | 1 | 照りとやわらかさを与える |
下処理

- 里芋
泥をよく洗い、皮を剥く。塩でもんでぬめりを取る(ぬめりが残ると味が染みにくくなる) - ぬめりを落とすポイント
塩もみ→サッと水洗い→米のとぎ汁で下茹ですることでぬめり・臭みを除去

現役和食調理師のヒント
茹でてから皮を剥くと手がかゆくならず、皮もつるっと剥ける。
作り方

- 下茹でする(中火)
塩もみした里芋を水で流し、米のとぎ汁で茹でる。
🔸 合図:「竹串がスッと通る」まで(約10〜15分)。
火を止めて流水にさらし、ぬめりをしっかり落とす。 - 煮汁を作る(中火→弱火)
鍋に出汁と調味料をすべて入れ、ひと煮立ちさせる。
沸騰直前で弱火にし、下茹でした里芋を加える。 - 含め煮る(弱火)
弱火で5〜10分ほど、煮汁が減るまで静かに煮含める。
🔸 合図:「鍋底に小さな泡がポツポツ出る程度」=火加減が適正。
煮汁が半分ほどになったら火を止める。 - 仕上げ(余熱+香りづけ)
火を止めてから、揉んだかつお節を加える。
🔸 合図:「かつお節がふわっと沈む」程度でOK。
そのまま余熱で味を含ませる。
失敗しない3つのコツ
- 下茹では米のとぎ汁+塩もみでぬめりを完全除去
- 煮詰めは弱火でゆっくり。強火は煮崩れのもと
- かつお節は火を止めてから加える。香りを飛ばさない
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器で2〜3日。温め直しは弱火で煮汁を足す。
- 冷凍保存:汁気を少なめにして2〜3週間。解凍後は再加熱で味を戻す。
- お弁当活用:汁気をよく切れば彩りと香りが生きる。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鯖の味噌煮・鶏の照り焼き
- 副菜:ほうれん草のおひたし・きんぴらごぼう
- 汁物:豆腐とわかめの味噌汁
旬と豆知識
里芋の旬は秋(9月〜11月)。
ぬめり成分は胃腸の保護に役立ち、消化を助けます。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【11月|旬の野菜と果物】へ。
現役和食調理師のひと言
土佐煮は「香りを閉じ込める煮物」。
かつお節を最後に加えることで、煮汁の余熱でふんわりと香り立ちます。
火を強くしてしまうと香りが飛ぶので、“静かに煮る”を意識することが、上品な味に仕上げる秘訣です。
