ふっくらとした食感と独特の風味が魅力の「そらまめ(空豆)」
そらまめ(空豆)にはどんな栄養があるの?
保存方法はどうするのが正解?
春から初夏にかけて旬を迎えるそらまめは、栄養価も高く、昔から家庭料理や酒肴として親しまれてきました。
このページでは、そらまめの旬の時期・特徴・英語や漢字での表記・相性の良い食材・100gあたりの栄養素をわかりやすくまとめています。調理師の視点から、おいしく味わうためのヒントも紹介します。
空豆の旬~おいしい時期~

そらまめの旬は4月から6月ごろ
そら豆が最も美味しく、食卓を彩る時期は、春から初夏にかけての4月から6月です。5月が美味しさの頂点である「最盛期」を迎えます。そら豆は、サヤが空を向いて育つことから「空豆」と呼ばれますが、実が太って重くなり、サヤが下を向いた時こそが最高の食べ頃です。
「三日」の鮮度を逃さない
板場で25年以上そら豆を扱ってきましたが、この食材ほど「時間」との勝負になるものはありません。
鮮度が命
「おいしいのは収穫から3日だけ」と言われるほど、そら豆は鮮度の落ちが早い野菜です。収穫された瞬間から糖分がデンプンに変わり、独特の甘みと香りが失われていきます。
茹でる直前に出す
香りを最大限に活かすなら、サヤから豆を出すのは「茹でる直前」が鉄則です。空気に触れる時間を短くすることで、あの濃厚な風味を守ることができます。
お歯黒(黒い筋)の秘密
豆の端にある黒い筋は「お歯黒」と呼ばれます。ここが黒くなっているのは完熟の証拠。ホクホクとした食感を楽しみたい時は、この黒い筋があるものを選んでください。
サヤの中でふかふかの「わた」に守られたそら豆は、まさに春の宝物。旬の時期にしか味わえない、あの豊かな香りと甘みをぜひ堪能していただきたいです。
走りのそら豆は、春の香りの目覚まし時計
4月に出回るそら豆は、皮が薄くて柔らかく、青々とした香りが一番の魅力です。鹿児島など暖かい地から届くこの「走り」の時期は、サッとかき揚げにしたり、翡翠煮(ひすいに)にしてその鮮やかな色を楽しみます。春の訪れを告げる他の食材と一緒に、軽やかな献立を組み立ててみませんか。▶4月の旬食材一覧:春の香りと瑞々しい恵みを集めたリスト
5月は、そら豆が「主役」になる1ヶ月
カレンダーで最も色を濃くした5月は、実がパンパンに太り、甘みが最も凝縮される「盛り」の時期です。千葉や茨城から届く大粒のそら豆は、シンプルに塩茹でにするだけで立派なご馳走になります。この時期にしか味わえない、ホクホクとした濃厚な旨みを持つ他の主役級食材もぜひチェックしてください。▶5月の旬食材一覧:初夏の太陽を浴びた、力強い味覚のまとめ
そらまめとは? ~解説~

- 初夏を代表する味覚
- 空豆よりも大きいサイズの物を「御多福豆」(おたふくまめ)という
- 豆の大きさが一寸という事で「一寸豆」とも呼ばれる
- その他に「四月豆、五月豆、大和豆、唐豆、がん豆」と呼ばれる
- 収穫した瞬間から栄養価が落ちるので、新鮮なものをすぐに調理するのが理想
- なるべく莢付きの物を買う(買ったらすぐに茹でる)
- ビタミンB1、B2、Cが豊富
- 莢の緑色が鮮やかで弾力があるものが良い
- ふっくらとしていて、黒ずみがない物を選ぶ
- 軽く押して、中身が動かないものが良い
- 皮に食物繊維が豊富なため、皮ごと利用するスープなどがおすすめ
保存方法
常温保存(おすすめしない)
- 収穫後すぐに鮮度が落ちるため、常温保存は基本的に不可。
- 購入後はできるだけ早く調理・冷蔵保存するのがベスト。
冷蔵保存
- 莢(さや)付きのまま保存するのが基本。莢から出すと風味が落ちやすい。
- 新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存。
- 保存期間の目安:2~3日。できれば当日〜翌日中に食べるのが理想。
冷凍保存
- 長期保存したい場合は冷凍が有効。
- 手順
- 莢から豆を取り出す
- 軽く塩茹で(1〜2分)してから冷水で冷やす
- 水気を拭いて小分けし、冷凍用保存袋へ
- 保存期間の目安:約1か月。
- 食べるときは凍ったまま調理(炒め物・スープなど)に使える。

現役和食調理師のヒント
そらまめは「呼吸が早い」ため、収穫直後からどんどん鮮度と甘みが失われていきます。“買ったその日が一番おいしい” という意識で、なるべく早めに調理するのがおすすめです。
そらまめによく合う食材
| 食材 | 主な料理例 |
|---|---|
| 卵 | そらまめ入り卵とじ 茶碗蒸し 炒め物 |
| 海老 烏賊 | そらまめとえびの炒め物 和風あんかけ |
| みそ 出汁 | 味噌汁 煮浸し 白和え |
| にんにく | にんにくとバターで炒める 炒飯の具など |
| スモークサーモン 海鮮類 | サーモンと豆のサラダ シーフードマリネ |
| ベーコン スモーク肉 | そらまめとベーコンの炒め物 スープ 煮込み料理 |
| ご飯 | 豆ご飯 そらまめ入りリゾット ピラフ |

おかみさんの一言
サラダや炒め物で彩りを添えるのはもちろん、出汁をきかせた和風煮やご飯に混ぜても春らしい一品になりますよ
そらまめによく合う調理法
| 調理法 | 備考 |
|---|---|
| サラダ 酢の物 | シャキシャキ感・風味・色味が最大限にいきる。海外レシピでも定番。 |
| 炒め物 | 風味が豊かになる。バターやハーブとの組み合わせが良い。だが加熱時間に注意。 |
| 焼き物 | 香ばしさが出て、おつまみや副菜に向く。が、食感や色の劣化が少し出ることあり。 |
| 煮物 | 甘みが出ておいしくなるが、食感や色が損なわれやすい。短時間煮るのがコツ。 |
| 揚げ物 | 外側の衣で風味が加わるが、そらまめそのものの繊細な味や食感が負けやすい。揚げる時間を短くする必要あり。 |

現役和食調理師のヒント
そらまめは「加熱しすぎない」ことが一番のコツです。短時間でさっと火を通すと、きれいな緑色とホクホク感がしっかり残ります
そらまめの茹で方
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 下ごしらえ | 茹でる直前にさやから出す。切り込みを入れるとむきやすくなる。 |
| 2. 切り込みを入れる | 「おはぐろ(黒い部分)」の反対側の薄皮に浅く切り込みを入れる。皮むきの手間が減り、余熱で中まで火が通りやすくなる |
| 3. 熱湯を準備する | 大量の湯を沸かし、塩をしっかり入れる(水1Lに対し塩大さじ1強、塩分濃度約2%が目安) |
| 4. 茹で時間 | 2分〜3分程度が標準。小さめのそらまめなら2分弱でもOK。少し硬めに上げて余熱で仕上げる。 |
| 5. 冷ます/余熱を活かす | 茹でたらざるにあげてそのまま冷ます(流水で冷やさない)ことで色と食感を保つ。余熱で少し火を通しても食感が柔らかくなりすぎない。 |
上手にゆでるコツ
- 切り込みは薄皮一枚に浅く入れる(豆がはじけないように)。入れる位置は「おはぐろ」と反対側がむきやすい。
- 強火でぐつぐつ茹でると皮が硬くなったり、豆がかたくなるので、沸騰したら中火または弱火に落とす方がよい。
- 茹でる水に酒を少し加えると青臭さが軽減される
- 茹で時間は「実の状態(若さ・サイズ・さや付きかどうか)」によって調整を。大きいと3分近く、小さいと2分前後で
そらまめの栄養素
そらまめの食品成分表|日本食品標準成分表
そらまめ 未熟豆
可食部100g当たり
| 栄養素 | 茹で | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 25 | 25 | % |
| エネルギー | 103 | 102 | ㎉ |
| 水分 | 71.3 | 72.3 | g |
| タンパク質 | 10.5 | 10.9 | g |
| 脂質 | 0.2 | 0.2 | g |
| 食物繊維(総量) | 4.0 | 2.6 | g |
| 炭水化物 | 16.9 | 15.5 | g |
| ナトリウム | 4 | 1 | ㎎ |
| カリウム | 390 | 440 | ㎎ |
| カルシウム | 22 | 22 | ㎎ |
| マグネシウム | 38 | 36 | ㎎ |
| リン | 230 | 220 | ㎎ |
| 鉄 | 2.1 | 2.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.9 | 1.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.33 | 0.39 | ㎎ |
| マンガン | 0.38 | 0.21 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | 150 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 210 | 240 | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | – | – | ㎎ |
| ビタミンK | 19 | 18 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.22 | 0.30 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.18 | 0.20 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.2 | 1.5 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.13 | 0.17 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 120 | 120 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.39 | 0.46 | ㎎ |
| ビオチン | – | 6.9 | ㎍ |
| ビタミンC | 18 | 23 | ㎎ |
そら豆(空豆)の注目栄養素
そら豆を茹でることで、その一粒一粒には私たちの元気を支える成分がぎっしりと詰まっています。特に注目していただきたい4つのポイントをまとめました。
身体の土台を作る「植物性タンパク質」
茹でたそら豆100g中、タンパク質が10.5gも含まれています。 これは野菜類の中では際立って高い数値です。日々の健康維持や、ハツラツとした毎日を過ごすための大切な土台作りをサポートしてくれます。▶タンパク質の働きと上手な付き合い方はこちら
スッキリを助ける「食物繊維」
茹でることで、食物繊維は100gあたり4.0gとなります。 これは現代人に不足しがちな成分であり、内側からの巡りを整え、軽やかな毎日を維持する強い味方になります。▶食物繊維の働きとメリットについてはこちら
活力を支える「鉄」と「葉酸」
不足しがちな鉄(2.1mg)と、健やかな毎日を維持するのに欠かせない葉酸(120µg)が豊富です。 特に、新しい活力を生み出したい時期には、積極的に摂り入れたい大切な栄養素のコンビです。
▶鉄の効率的な摂り方と役割はこちら
▶葉酸が健康維持に大切な理由とは?
代謝を助ける「モリブデン」
そら豆には、微量元素であるモリブデンが150µg(生の数値)と非常に多く含まれています。 モリブデンは、身体の中での様々な巡りや代謝をサポートする酵素の働きを助ける、縁の下の力持ちのような存在です。▶モリブデンの働きと健康へのメリット

現役和食調理師のヒント
「少量の水で蒸し茹で」にするか、「サヤごと焼く」のがプロの技。旨みも栄養も、ギュッと閉じ込めることができます。
そらまめの英語・漢字表記

漢字表記:空豆、蚕豆
英語表記:Broad bean / Fava bean
発音記号:
Broad bean [brɔːd biːn]
Fava bean [ˈfɑːvə biːn]
まとめ:そら豆は「一瞬の旬」を愛でる贅沢な知恵
そら豆は「一瞬の旬」を愛でる贅沢な知恵
「おいしいのは3日だけ」と言われるそら豆。その短い旬に、私たちは春の終わりの力強さと、初夏の爽やかな香りを感じ取ります。
旬は4月〜6月
5月の最盛期(盛り)には実がパンパンに太り、甘みが最高潮に達します。
鮮度が全ての決め手
収穫された瞬間から味が落ち始めるため、「手に入れたその日に、茹でる直前にサヤから出す」のが一番の贅沢です。
野菜のタンパク源
植物性タンパク質に加え、鉄分や葉酸、モリブデンなど、日々の活力を支える栄養がギュッと詰まっています。
サヤの中でふかふかの「わた」に守られたそら豆を、一番美味しい瞬間にいただく。そんな贅沢をぜひ楽しんでください。
「買い物」の負担を減らし、脳の疲れをリセットする
旬の食材を求めてスーパーへ行く。本来は楽しいはずの時間が、「何を買えばいいのか」「何を作れば正解なのか」という決断の連続で、いつの間にか苦痛に変わっていませんか?
実は、買い物で感じるストレスの正体は、体力の消耗ではなく「決断疲れ」にあります。プロの現場では、迷いを消すための「仕組み」が必ず存在します。ご家庭でも、その仕組みを少し取り入れるだけで、スーパーでの足取りは驚くほど軽くなります。
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買い物という重労働を「日常のルーティン」に変え、献立ストレスを根本から消し去る具体的な方法をまとめました。『買い物がめんどくさい』は決断疲れのサイン|献立ストレスを消す方法
「今日何作ろう……」という呪縛から自分を解き放つ
「旬の食材を、最高の状態で食卓に出さなければいけない」 そう自分を追い込んでいませんか?特に共働きの家庭では、時間は有限です。完璧を目指すあまり、キッチンに立つこと自体が億劫になってしまっては本末転倒です。
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