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このしろの旬はいつ?
内臓の臭みはどう取るの?
どんな料理に合う魚?
独特の風味と脂の旨味を持つこのしろは、秋から冬にかけて旬を迎える魚。酢締めや押し寿司など伝統的な食べ方はもちろん、煮物や焼き物でも格別です。この記事では、旬の時期や特徴、内臓処理のコツ、調理師おすすめの食べ方をわかりやすく解説します。
このしろの旬~おいしい時期~
しんこ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
こはだ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
なかずみ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
このしろ
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|

現役和食調理師のヒント
「しんこ」は一口で季節を感じられる贅沢な寿司ネタ。小肌やなかずみ、このしろと成長するにつれ脂や風味が変わるので、同じ魚でも料理の印象がガラリと変わります。旬ごとの違いを食べ比べるのもおすすめです。
このしろとは ~特徴と味わい~

このしろ(鮗/鯯)は、ニシン科に属する海水魚で、成長に伴って名前が変わる出世魚です。体は細長く、銀色の光沢が美しく、背中には青緑色の輝きが見られます。成長段階ごとの呼び名は「しんこ」→「小肌(こはだ)」→「なかずみ」→「このしろ」で、最終的には全長20〜25cm前後になります。
生態と分布
- 北海道南部以南の沿岸から東シナ海まで広く分布
- 主に内湾や河口付近に群れを成して回遊
- 冬に向けて脂を蓄え、秋から冬にかけて漁獲量が増加
味と食感
骨は細かく、調理次第で骨ごと食べられる
脂のりの良さと旨味が魅力で、酢締めにすると酸味と脂のバランスが絶妙
成長段階によって食感や味わいが変化
しんこ:柔らかく上品な味わい
小肌:旨味が増し、酢締めに最適
なかずみ/このしろ:脂がのって濃厚な風味、焼き物・煮物にも向く

現役和食調理師のヒント
このしろは鮮度落ちが早く、特に生食用は水揚げ当日が勝負。酢締めにすることで保存性が上がり、旨味も凝縮します。寿司屋の小肌が絶妙なのは、酢の加減と締め時間に職人技が光っているからなんです。
地方名
- ツナシ
- ハビロ
- ドロクイ
- ジャコ
このしろの下処理・内臓の取り扱い(臭み・苦味対策)
このしろは脂がのった魚ですが、内臓には特有の苦味や臭みがあるため、下処理は丁寧に行うのが美味しさの秘訣です。
基本の下処理手順
- 鱗を取る
全体を軽く水洗いし、包丁やスケーラーで鱗を丁寧に取り除きます。
鱗が残ると食感が悪くなるので、尾びれや胸びれの付け根までしっかりと。 - 腹を開いて内臓を除去
腹の下側を浅く切り込み、内臓を指やスプーンで取り出します。
特に胆のう(緑色の袋)が破れると強い苦味が出るため、慎重に取り除きます。 - 血合いを洗い流す
腹の内側にある血合いを流水で洗い流します。
この工程で臭みの原因を大幅に減らせます。 - キッチンペーパーで水分を拭き取る
水分が残ると鮮度が落ちやすく、臭みの原因になるため、下処理後は必ず拭き取ります。
内臓処理のポイント
- 酢締めや寿司用の場合は、内臓を残さないのが基本。
- 焼き物にする場合でも、苦味が気になる方は内臓を取り除くのがおすすめ。
- 内臓の風味を楽しみたい場合は、鮮度が極めて良いものを選び、加熱して利用します。

現役和食調理師のヒント
寿司屋では、このしろの下処理はスピード勝負。水揚げから数時間以内にさばき、内臓と血合いを丁寧に処理することで、脂の旨味だけを残し臭みを感じさせません。
このしろと相性の良い食材
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 酢 | 脂の旨味を引き立て、酢締めや押し寿司に最適 |
| 生姜 | 臭みを和らげ、爽やかな香りをプラス |
| 大葉 | 酢締めや寿司に添えると香りと彩りが良い |
| すだち かぼす | 焼き物や酢の物に爽やかな酸味を加える |
| 白ごま | 酢味噌和えや押し寿司に香ばしさを添える |
| 味噌 | 内臓や身と合わせて煮るとコクのある味わいに |
| 長ねぎ | 焼き物や南蛮漬けに加えると風味がアップ |

おかみさんの一言
このしろはね、脂がたっぷりのってるから、そのままだとちょっと重たいの。だから酢やすだち、生姜なんかでキュッと引き締めると、味がぐっと冴えるのよ。
このしろに合う調理法
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 酢締め | ◎ | 脂の旨味と酸味が絶妙に調和し、臭みを抑えられる |
| 押し寿司 | ◎ | 酢締めにした身を押し固め、旨味を凝縮できる |
| 焼き物 | ○ | 皮目の脂が香ばしく、身はふっくら仕上がる |
| 南蛮漬け | ○ | 酸味と香味野菜でさっぱりと食べられる |
| 煮付け | △ | 脂が強く、甘辛い味付けで好みが分かれる |
| 唐揚げ | △ | 小型のものなら骨ごと食べやすく、香ばしい |

現役和食調理師のヒント
このしろは脂の香りが強いので、酢締めや押し寿司のように酸味を効かせると旨味が際立ちます。焼き物にするなら皮目をパリッと仕上げるのがコツです。
このしろの栄養素(食品成分表)
このしろ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 甘酢漬 | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | – | 50 | % |
| エネルギー | 184 | 146 | ㎉ |
| 水分 | 61.5 | 70.6 | g |
| タンパク質 | 91.1 | 19.0 | g |
| 脂質 | 10.1 | 8.3 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | 6.4 | 0.4 | g |
| ナトリウム | 890 | 160 | ㎎ |
| カリウム | 120 | 370 | ㎎ |
| カルシウム | 160 | 190 | ㎎ |
| マグネシウム | 16 | 27 | ㎎ |
| リン | 170 | 230 | ㎎ |
| 鉄 | 1.8 | 1.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.9 | 0.7 | ㎎ |
| 銅 | 0.06 | 0.16 | ㎎ |
| マンガン | 0.09 | – | ㎎ |
| ヨウ素 | – | 35 | ㎍ |
| セレン | – | 31 | ㎍ |
| クロム | – | 1 | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | 7.0 | 9.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.5 | 2.5 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | – | – | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.17 | 0.17 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.1 | 2.1 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.15 | 0.33 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 8.1 | 10.0 | ㎍ |
| 葉酸 | 1 | 8 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.41 | 1.13 | ㎎ |
| ビオチン | – | 7.4 | ㎍ |
| ビタミンC | – | – | ㎎ |
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おかみさんの一言
このしろってね、脂がのってるけど、実はたんぱく質もしっかりあって、体にも嬉しい魚なのよ。カルシウムやビタミンB群も含まれてて、骨や血の健康にも一役買ってくれるの
このしろの漢字・英語表記

漢字表記:鮗、鯯
英語表記:Gizzard shad
発音記号:[ˈɡɪzərd ʃæd]
カタカナ読み:ギザード・シャッド
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