赤くつややかに実る「グミの実(茱萸・ぐみ)」は、初夏の風物詩として古くから日本各地で親しまれてきた果実です。ほどよい酸味と甘みがあり、そのまま食べるほか、ジャムや果実酒、シロップ漬けにも利用されます。
本記事では、調理師歴25年の筆者が「グミの実(茱萸)」の特徴、旬の時期、栄養成分、保存方法、そして漢字・英語表記まで詳しく解説します。
初夏の自然の恵みを感じながら、グミの実の魅力を食卓でも楽しんでみませんか?
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おいしい時期

ぐみ
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
ぐみは4月頃に花を咲かせ、5〜6月にかけて実が熟すのが一般的ですが、秋に実る「アキグミ」も存在します。完熟すると表面がほんのり赤くなり、甘酸っぱさと渋みのバランスがちょうどよい時期になります。ナツグミは5月中旬〜6月上旬が食べ頃、トウグミは6月中旬以降が多く、アキグミはその名の通り10月頃が旬です。
ぐみとは?~特徴と味わい~

グミ(茱萸・ぐみ)は、グミ科グミ属(Elaeagnaceae, Elaeagnus)に属する落葉性の低木または小高木で、日本をはじめ東アジア一帯(中国・朝鮮半島)に分布する在来の果樹です。
日本では古くから庭木や生垣として植えられ、5月〜6月ごろに可憐な白い花を咲かせ、初夏には赤く熟した実をつけます。果実は楕円形で表面に銀白色の斑点があり、完熟すると鮮やかな赤色になります。
味は甘酸っぱく、やや渋みがあるのが特徴で、完熟するほど渋みが抜けて食べやすくなります。指で軽く押して柔らかく感じる状態が完熟の目安です。そのまま食べられるほか、ジャム・果実酒・甘酢漬け・シロップ漬けなどの加工にも適しています。
種類と特徴
グミの仲間にはいくつかの種類があります。
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| ナツグミ (夏茱萸) | 最も一般的な種類。果実は5〜6月に赤く熟す。甘酸っぱく食用に適する。 |
| アキグミ (秋茱萸) | 秋に熟す種類。やや小ぶりで酸味が穏やか。観賞用にも人気。 |
| トウグミ (唐茱萸) | 中国原産。果実が大きく、甘みが強い。家庭果樹として栽培される。 |
いずれの種類も寒さや乾燥に強く、土質を選ばない丈夫な樹木であることから、家庭果樹や観賞用としても愛されています。
語源と歴史
「ぐみ」という呼び名は、古語で「渋み」を意味する「くみ(苦実)」に由来するといわれます。
古代から日本人に親しまれており、『万葉集』や『延喜式』などの古典にも登場するほど歴史のある果実です。かつては子どものおやつや保存食、また薬用果実としても利用されていました。
特徴まとめ
- グミ科グミ属の落葉低木(ナス科ではない)
- 果皮に銀白色の斑点があり、赤く熟す
- 種類によって味や旬が異なる(ナツグミ・アキグミ・トウグミ)
- 丈夫で育てやすく、家庭果樹にも適する
- 渋みがあるが、完熟で甘酸っぱくなる

現役和食調理師のヒント
ぐみの実はそのまま食べるとやや渋みが残りますが、完熟させればジャムや果実酢にぴったりの素材です。昔ながらの味を楽しみたい方は、塩をふって食べたり、甘酢漬けにすると爽やかな一品になります。
ぐみの保存方法

グミの実(茱萸・ぐみ)は完熟するととても柔らかく、日持ちが短い繊細な果実です。
収穫・購入後は、当日〜2日以内の利用が理想ですが、状態に応じて適切に保存すれば長く楽しむこともできます。
冷蔵保存
- 【保存の目安】:2〜3日
- 【方法】
傷がない完熟果を選び、キッチンペーパーに包んでポリ袋へ入れる
冷蔵庫の野菜室で低温保存する - 【ポイント】
水洗いせずに保存(食べる直前に洗う)
完熟果ほど傷みやすいので、早めに使い切るのがベスト
冷凍保存
- 【保存の目安】:1〜2か月
- 【用途】:ジャム・ジュース・果実酢・お菓子用など
- 【方法】
- 軽く洗って水気をふき取る
- ヘタを取って1粒ずつバットに並べて冷凍(バラ凍結)
- 凍ったらフリーザーバッグにまとめる
- 【解凍方法】
ジャムや果実酒に使う場合は凍ったまま加熱でOK
加工保存(ぐみ酢・ジャム・果実酒)
ぐみジャム
ぐみの渋みは加熱と砂糖で和らぐため、ジャムにするのが最適。
タネを取り、果肉と砂糖を煮詰めて保存瓶に。
果実酢/果実酒
酢に漬けてぐみ酢にすると、さっぱりとした風味が活きる。
ホワイトリカーや焼酎に漬けて果実酒にもでき、1〜3か月保存可能。

現役和食調理師のヒント
完熟前のやや硬めの実を冷凍しておくと、調理時に煮崩れしにくく、風味も残りやすいですよ。ぐみの渋みは塩・酢・砂糖でやさしく和らげるのがコツです。
グミの実と相性の良い食材

グミの実は、酸味と渋みが特徴の果実です。そのため、甘みや油脂、乳製品と組み合わせるとバランスが良く、またビタミンCやポリフェノールの吸収を高める効果が期待できます。
| 組み合わせ食材 | 相性の理由 |
|---|---|
| はちみつ | 酸味と渋みをやわらげ、自然な甘みをプラス。抗酸化作用の相乗効果。 |
| ヨーグルト | 乳酸菌とビタミンCで整腸・美肌効果。酸味同士でさっぱりした味わい。 |
| 炭酸水 | 酸味が際立ち、爽やかなドリンクに。夏場におすすめ。 |
| 砂糖 三温糖 | 渋み成分を中和し、味をまろやかに整える。 |
| 酢 (りんご酢) | 赤い果皮のポリフェノールが色鮮やかに溶け出す。疲労回復にも。 |
| 焼酎 ホワイトリカー | 果実の香りを引き出し、甘酸っぱいリキュールに。 |
ぐみの栄養素(食品成分表)
ぐみ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 10 | % |
| エネルギー | 72 | ㎉ |
| 水分 | 81.0 | g |
| タンパク質 | 1.3 | g |
| 脂質 | 0.2 | g |
| 食物繊維(総量) | 2.0 | g |
| 炭水化物 | 17.2 | g |
| ナトリウム | 2 | ㎎ |
| カリウム | 130 | ㎎ |
| カルシウム | 10 | ㎎ |
| マグネシウム | 4 | ㎎ |
| リン | 24 | ㎎ |
| 鉄 | 0.2 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.1 | ㎎ |
| 銅 | 0.10 | ㎎ |
| マンガン | 0.15 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 330 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.2 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.04 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.3 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.02 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 15 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.45 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 5 | ㎎ |
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茱萸(ぐみ)の漢字・英語表記

漢字表記
- 「茱萸」は音読み:しゅゆ/訓読み:ぐみと読みます。
- 古くは薬用植物や縁起物としても知られており、『重陽の節句』では「茱萸袋(しゅゆぶくろ)」として厄除けに使われてきました。
英語表記
- Goumi berry(グーミーベリー)
→ 一般的にナツグミなどの実に対して使われます。 - Silverberry(シルバーベリー)
→ グミ属(Elaeagnus属)の果実全体を指す呼称です。 - 学名:Elaeagnus multiflora(ナツグミ)
発音ガイド
- Goumi:/ˈɡuːmi/(グーミー)
- Silverberry:/ˈsɪlvərˌbɛri/(シルバーベリー)
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