あいなめってどんな魚?
鮎女魚?愛魚女?鮎並?
鮎並(あいなめ)は、クセのない白身と上品な味わいで、煮つけや塩焼きに重宝される魚です。
本記事では、鮎並の旬の時期や栄養価、料理例や見分け方のポイントまで、和食調理師の視点から簡潔にまとめました。
「アイナメってどんな魚?」「栄養はあるの?」「どう食べたらおいしい?」そんな疑問をお持ちの方に役立つ内容です。
鮎並(アイナメ)の旬:白身の甘みが極まる「春から初夏」

鮎並の旬は4月から7月ごろ
アイナメは一年を通して市場に出回りますが、板前として私が自信を持っておすすめするのは、4月から7月にかけての「春から初夏」です。
冬の産卵期を終え、再び体力が戻ってくるこの時期のアイナメは、身に心地よい弾力があり、噛むほどに上品な脂の甘みが口の中に広がります。「鮎並」という漢字の通り、アユのように縄張りを持って活発に動き回るため、その身質は非常に筋肉質で引き締まっているのが特徴です。
特に4月・5月の「走り」の時期は、木の芽(山椒の若葉)の香りと相性が抜群で、お椀や煮付けにすると春の訪れを五感で楽しむことができます。
この時期にアイナメと並んで旬を迎える、板前厳選の魚介類についてもぜひチェックしてみてください。
▶4月の旬な魚介類一覧|春の訪れを告げる上品な白身魚たち
▶5月の旬な魚介類一覧|初夏の爽やかな味覚を楽しむ魚たち
鮎並(あいなめ)とは? ~特徴~

鮎並(あいなめ)は、スズキ目アイナメ科に属する海水魚で、体長は30〜40cmほど。北海道から九州までの沿岸に広く分布し、岩礁帯などに生息しています。
身は白身でやわらかく、ほんのり甘みがあり、クセがないのが特徴です。脂のりもよく、煮付け・塩焼き・唐揚げ・刺身など、さまざまな料理に合います。骨が少なく、子どもや高齢の方にも食べやすい魚です。
- 「鮎並」「鮎魚女」「愛魚女」と当て字が多い
- 関西では鮎並(あいなめ)の事を「アブラメ」北海道では「アブラコ」と呼ぶ
- 生息する深さにより体色が違う(赤褐色、灰緑色、黄色)
- 10~1月頃は産卵のために浅瀬にやってくるので釣り人に人気
- 鮎並(あいなめ)は秋冬が産卵期のため、夏に養分をため込む
- 旬を外しても常においしい魚である
鮎並に合う調理法一覧

| 調理法 | 相性 | 備考 |
|---|---|---|
| 煮物 | 定番。生姜と合わせて煮付けると上品な味わいに | |
| 焼き物 | 塩焼き・幽庵焼きなどに向く | |
| 揚げ物 | 唐揚げや天ぷらにしても、ふっくら仕上がる | |
| 蒸し物 | 酒蒸しや中華風蒸しにも合う | |
| 刺身 | 活〆なら刺身でも。クセのない白身が魅力 | |
| 酢の物 | 身が崩れやすいため、加熱調理が無難 | |
| 汁物 | あら汁やみそ汁に。出汁がよく出る |
鮎並(アイナメ)は、淡白でふっくらとした身が特徴の非常に美味しい白身魚ですが、板前の視点から唯一の懸念点を挙げるとすれば、その「小骨の多さ」です。せっかくの旬の味覚も、特にお子様やお年寄りが召し上がる際には、骨が喉に刺さる心配があると楽しさが半減してしまいますよね。
そこで、私の25年以上の経験の中で培った、「魚の骨を怖がらずに、美味しく食べるための工夫」を別記事で詳しくまとめています。アイナメ料理を食卓に出す前に、ぜひ一度目を通してみてください。
お子様も安心!「骨への不安」を解消するプロの知恵
アイナメのような小骨が気になる魚でも、ほんの少しのコツで劇的に食べやすくなります。板前が現場で実践している「骨の抜き方」や、骨を気にせず食べられる「骨切り」の技術を、ご家庭向けに分かりやすく解説しています。
魚の小骨の取り方|簡単な骨抜き方法と子ども向け対策

現役和食調理師のヒント
鮎並は鮮度が落ちやすい魚ですが、煮付けにすると旨みが際立ちます。表面に包丁目を入れて味を染みやすくしておくと、よりおいしく仕上がりますよ。
地方名
鮎並(あいなめ)は、日本各地でさまざまな呼び名があります。特に地方の漁業文化が色濃く残る地域では、独自の方言名や俗称で親しまれています。
- 北海道:アブラコ
- 青森・秋田:アブラメ
- 東北・関東:アイナメ(標準名)
- 山陰地方:ネウ
- 関西・四国:アブラメ、ネウ
- 九州:アブラメ
「アブラコ」や「アブラメ」という呼び方は、身に脂がのっていることに由来するといわれています。

現役和食調理師のヒント
市場や漁港で「アブラコ」や「ネウ」と表記されていても、アイナメと同じ魚であることが多いです。混同しやすいので、調理前に確認しておくと安心です。
鮎並の仲間
鮎並(あいなめ)は、スズキ目アイナメ科に属する海水魚で、アイナメ科の中では代表的な種のひとつです。分類上の近縁種として、以下のような魚が挙げられます。
- クジメ(同じくアイナメ科)
見た目はアイナメによく似ていますが、体に縦じま模様がないことで区別されます。味や使い方も近く、食用としても流通します。 - ギンポ類・ホッケ類(スズキ目に含まれる)
分類上はやや離れますが、同じように沿岸の岩礁に生息し、白身魚として利用されます。
鮎並の選び方

新鮮な鮎並(あいなめ)を選ぶポイントは、目・体表・腹部の張りに注目することです。
目利きのポイント
- 目が黒く澄んでいるもの
白く濁っているものは鮮度が落ちています。 - 体表にぬめりがあり、全体にハリがあるもの
乾燥していたり、身がたるんでいるものは避けましょう。 - 腹部がしっかり張っているもの
内臓の鮮度も高い証拠です。 - エラが鮮やかな赤色をしている
茶色や黒ずみがある場合は鮮度が落ちています。

現役和食調理師のヒント
鮎並は生食できる魚でもありますが、刺身にするなら購入当日に処理し、なるべく早めに使い切るのがベストです。日を置くなら煮付けや唐揚げにすると美味しくいただけます。
鮎並と相性の良い食材・食べ合わせ
鮎並(あいなめ)は、クセのない上品な白身が特徴で、幅広い食材と相性よく調理できます。季節や調理法に合わせて、以下のような食材との組み合わせがおすすめです。
相性の良い食材
| 組み合わせ食材 | 特徴・調理法 |
|---|---|
| 昆布 椎茸 | うま味を引き立てる相乗効果があり、煮物や蒸し物に最適 |
| 柚子 すだち かぼす | 淡白な味に爽やかな酸味を加えることで、刺身や焼き物が引き締まる |
| 味噌 酒粕 | 味噌煮や粕漬けにすると、身のやわらかさと風味が際立つ |
| 生姜 ネギ みょうが | 香味野菜が魚の風味を引き立て、臭み消しにもなる |

現役和食調理師のヒント
アイナメは火を通しても身崩れしにくく、焼き物や煮物にしても上品に仕上がります。特に「煮付け+生姜+ネギ」は失敗の少ない定番の組み合わせです。
鮎並の栄養素 ~食品成分表~
あいなめ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 50 | % |
| エネルギー | 105 | ㎉ |
| 水分 | 76.0 | g |
| タンパク質 | 19.1 | g |
| 脂質 | 3.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 150 | ㎎ |
| カリウム | 370 | ㎎ |
| カルシウム | 55 | ㎎ |
| マグネシウム | 39 | ㎎ |
| リン | 220 | ㎎ |
| 鉄 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.5 | ㎎ |
| 銅 | 0.06 | ㎎ |
| マンガン | – | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 6 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 9.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 1.7 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.24 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.26 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.6 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.18 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 2.2 | ㎍ |
| 葉酸 | 8 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.98 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 2 | ㎎ |

現役和食調理師のヒント
脂溶性のビタミンD・Eを活かすなら、バター焼き・ムニエル・香味オイル焼きが◎。
鮎並の英語表記・漢字表記・読み方

| 表記の種類 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 鮎並 |
| 読み方 | あいなめ |
| 英語表記 | Greenling(グリーンリング) ※主に「fat greenling(ファット・グリーンリング)」や「hexagrammos spp.(ヘキサグラモス属)」と表記されることもあります。 |
アイナメの英語名は一つに定まっているわけではなく、種によっては「Fat greenling」や「Japanese greenling」とも呼ばれます。また、分類学的には「Hexagrammos otakii」などの属名で表記されることもあります。
なぜ「Greenling」なの?
アイナメは生息する場所によって、体色が緑や茶色、時には赤っぽく変化します。その「緑がかった色味」が英語名の由来です。
なぜ「Fat」がつくの?
アイナメは他のアイナメ科の魚に比べて体が大きく、特に旬の時期(4月〜7月)には上品で濃厚な脂がのることから、敬意を込めて「Fat」と呼ばれています。
出典
アイナメ[鮎並] – 水産林務部森林海洋環境局成長産業課

