ホームベーカリーを使い続けていると、
「これ、結局高いのか安いのか?」と感じる瞬間が出てきます。
材料費だけを見ると市販の食パンより高く感じることもありますし、使い込むほどに消耗品の交換も必要になります。一方で、何度も焼いている人ほど「それでも使い続けている」のも事実です。
このページでは、実際に焼いてきたレシピの原価目安と、見落としがちなホームベーカリーの消耗品コストを整理しながら、「ホームベーカリーは本当に高いのか?」を冷静に考えていきます。
節約テクニックや最安比較を目的としたページではありません。続けるか・やめるかを判断するための材料として、原価と消耗の“現実”をまとめました。
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結論
ホームベーカリーは「高いか安いか」だけでは判断できない
ホームベーカリーのパンは原価だけを見れば決して安くはありません。材料にこだわるほどコストは上がり、消耗品の交換も含めると、市販の食パンより高く感じる場面もあります。
「焼く時間そのものを楽しむ」
「配合を試す」
「失敗も含めて積み重ねる」
という趣味としての価値で考えると、ホームベーカリーは決して高い買い物ではありません。
このページで整理する原価や消耗品の情報は節約のためではなく、納得して続けるための判断材料です。
ホームベーカリーのパンは本当に高いのか?
ホームベーカリーのパンが「高い」と言われやすい理由の多くは、材料費だけを切り取って見てしまうことにあります。強力粉・バター・牛乳・砂糖などを一つずつ足していくと、確かに市販の食パンより高く見えることがあります。しかし、これは作り方も前提も違うものを、同じ土俵で比べている状態です。
市販の食パンは大量生産・流通・原材料調達を前提に作られており、家庭で1斤ずつ焼くホームベーカリーのパンとはコスト構造そのものが異なります。そのため、単純に「1斤いくら」で比較しても、本来の価値は見えてきません。
ホームベーカリーで原価を見る目的は、できるだけ安く作ることではありません。どこにお金がかかっているのか、どの配合や材料が原価に影響しているのかを知ることで、「自分にとって納得できるかどうか」を判断するための材料になります。
原価は節約のための数字ではなく、続けるかどうかを決めるための目安として考えるのが現実的です。
ホームベーカリー食パンの原価目安【実例】

※この原価表は、当時実際に使用していた材料価格をもとに算出しています。
現在は原材料価格が変動しているため、あくまで目安としてご覧ください。
| 掲載レシピの材料 | 容量 | 価格 | 単価 |
|---|---|---|---|
| 強力粉 | 1 kg | 380 円 | 95 円 / 250g |
| 米粉 | 500 g | 250 円 | 125 円 / 250g |
| ライ麦粉(細挽き) | 250 g | 381 円 | 15.2 円 / 10g |
| ドライイースト | 50g | 280 円 | 16.8円/ 3g |
| 水 | 2000 cc | 100 円 | 5円/ 100cc |
| スキムミルク | 175g | 380 円 | 10.9円/ 5g |
| 塩 | 500g | 100 円 | 1円/ 5g |
| 塩(ぬちまーす) | 111g | 540円 | 24円/ 5g |
| 砂糖 | 1 ㎏ | 200 円 | 2円/ 10g |
| 三温糖 | 1 kg | 220円 | 2.2円/ 10g |
| てんさい糖 | 650g | 530円 | 8.2円/ 10g |
| 練乳 | 120g | 180円 | 15円/10g |
| 本みりん | 500cc | 300円 | 6円/10g |
| バター | 150g | 300 円 | 20円/ 10g |
| 牛乳 | 1000 cc | 170 円 | 1.7円 /10g |
| 生クリーム | 200 cc | 340 円 | 85円/ 50g |
| 生クリーム (植物脂肪40%) | 200 cc | 170 円 | 42.5円/ 50g |
| ココナッツミルク | 400 cc | 350 円 | 43.75円/ 50g |
| ココナッツオイル | 130 g | 950 円 | 73円/ 10g |
| 杏仁霜 | 150 g | 620 円 | 41.3円/ 10g |
| 片栗粉 | 450 g | 200 円 | 4.4円/ 10g |
| アーモンドミルク | 200 g | 120 円 | 60円/ 100g |
| アーモンドパウダー | 35 g | 280円 | 80円 / 10g |
| アーモンドエッセンス | 30 g | 300円 | 10円/ 1g |
| カルピス(原液) | 470 g | 300円 | 6.39円/ 10g |
| 緑茶(茶葉) | 100 g | 500円 | 25円/ 5 g |
| 紅茶(T-パック) | 2g×50p | 1300円 | 26円/2g(1p) |
| ロイヤルミルクティ | 220g | 89.4円 | 4.1円/10g |
| シナモンパウダー | 7.5 g | 120 円 | 16円/1g |
| ココアパウダー | 110 g | 400円 | 36.3円/10g |
| 柚子 | 1個 | 30円 | 30円/1個 |
| すり胡麻 | 100g | 200円 | 20円/10g |
| 練り胡麻 | 120g | 350円 | 29円/10g |
| 黒酢 | 300ml | 500円 | 8.3円/5g |
| 日本酒 | 300ml | 400円 | 13.3円/10g |
| 赤ワイン | 500ml | 500円 | 1円/1g |
| 白ワイン | 500ml | 500円 | 1円/1g |
| 液味噌(赤) | 430g | 250円 | 5.8円 / 10g |
| 丸餅 | 500g | 500円 | 30円/30g(1個) |
| クリームチーズ | 180 g | 500円 | 50円/18g(1個) |
| トマトジュース | 900 g | 250円 | 2.8円 / 10g |
| プリンミクス | 77g | 160円 | 21 円 / 10g |
| レーズン | 500g | 840円 | 16.8円/10g |
※今回の原価計算に使用している粉類・砂糖・バターなどの製パン材料は、製菓・製パン材料専門店「コッタ」でも購入しています。業務用サイズや製パン向けの材料が揃っているため、ホームベーカリー用の材料をまとめて用意したい場合に便利です。
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原価が高い配合と続けている人の考え方
原価が一気に上がる配合の特徴
ホームベーカリーの原価が高く感じやすいのは、材料を少し変えただけで単価が跳ね上がる配合を選んだ場合です。例えば、強力粉をブランドやドライフルーツやナッツの使用、乳製品の使用などです。
これらは味や満足度を大きく左右しますが、同時に原価にもはっきり影響します。特に乳製品や具材は、少量でもコストを押し上げやすいため、配合を変えるたびに原価差が生まれやすくなります。
続けている人が無意識に避けているポイント
ホームベーカリーを長く使っている人ほど、毎回原価が跳ね上がる配合を選ばない傾向があります。基本配合はシンプル。高価な材料は「試したいときだけ」に使うなど意識せずに行っています。
これは節約のためというより、失敗リスクや飽きやすさを避けるための選択でもあります。結果として、原価も自然に安定しやすくなります。
原価を抑えることが目的にならないほうがいい理由
ホームベーカリーの原価を気にし始めると、「どうすれば一番安く焼けるか」に意識が向きがちです。ただ、原価を最優先にしてしまうと、配合を試す楽しさが減り、結果使わなくなるという流れに入りやすくなります。
原価を見る意味は削るためではなく、納得するためです。「この配合ならこのくらいかかる」と理解したうえで選ぶことで、ホームベーカリーを続けやすくなります。
見落としがちなホームベーカリーの消耗品コスト
パンケース・羽根は「消耗品」として扱われている
ホームベーカリーのパンケースや羽根は、メーカー上は消耗品として扱われています。これは「すぐ壊れる」という意味ではなく、使用年数や扱い方によっては交換が必要になる可能性がある、という位置づけです。
実際には通常の使い方をしていれば、何年も問題なく使い続けられるケースも少なくありません。
交換時期の目安と、実際に使ってきた感覚
私自身は、これまでホームベーカリーを使ってきて、パンケースや羽根を交換したことはありません。普通に使い、無理な扱いをしなければ、簡単に壊れる部品ではないというのが実感です。
つまり、交換時期は年数よりも扱い方に左右されるという印象です。
「壊れてから探す」と意外と面倒な理由
消耗品について厄介なのは、必要になってから探すと意外と手間がかかる点です。特に、「使おうと思ったタイミングで使えない」という状況になると、ストレスが大きくなります。
そのため、消耗品は“すぐ交換するもの”ではなく、“どこで買えるかだけ把握しておくもの”と考えておくと安心です。
ホームベーカリーの消耗品はどこで買うのが安心か
私が使用しているホームベーカリーは型が古く、店頭で探すのはかなりの時間がかかります。Amazonや楽天で品番を入れて探すとすぐに見つかります。
| 消耗品の名称 | 品番 | 希望小売価格 |
|---|---|---|
| パン羽根 | ADD96-1431 | 735円~ |
| スプーン | ADD25-143-P0 | 210円~ |
| パンケース(完成) | ADA12-169 | 4410円~ |
| 主軸受け(完成) | ADA29-168 | 1785円~ |
| リチウム電池 | CR2354 | 315円~ |
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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