ホームベーカリーが続かなかったとき
「自分は向いていなかったのかも」
「結局、三日坊主になるタイプなんだ」
そう感じてしまう人は少なくありません。ホームベーカリーが三日坊主になる理由は、性格や意志の弱さではないことがほとんどです。多くの場合、生活との噛み合わせや始め方の設計に原因があります。続かなかった人たちには、いくつかの共通したポイントがあります。それが分かれば、
「どうすれば続きやすくなるのか」
「そもそも無理をしていなかったか」
を冷静に考えられるようになります。この記事ではホームベーカリーが三日坊主になりやすい人の共通点を整理しながら、「続かなかった=向いていない」とは限らない理由を解説します。
読み終える頃には、「自分がダメだったのではない」と感じられるはずです。
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結論
三日坊主になる原因は“意志”ではなく“設計”だった
三日坊主になると
「自分は向いていなかったのかも」
「結局、続かないタイプなんだ」
と感じてしまいがちです。ですが、ホームベーカリーが続かない理由の多くは、やる気や性格の問題ではありません。生活の中にどう組み込んだか、という“設計”の問題であることがほとんどです。たとえば
- どのタイミングで使うつもりだったのか
- どれくらいの頻度を想定していたのか
- 手間や量を現実的に見積もれていたか
こうした部分が曖昧なまま始めると、使い始めてから「思っていたのと違う」と感じやすくなります。つまり問題は「続けられなかったこと」ではなく、続けられる前提で設計されていなかったこと。この記事では、その“設計ミス”がどこで起きやすいのかを、ひとつずつ整理していきます。
「じゃあ、続いている人は何が違うの?」と感じた方もいるかもしれません。
▶ ホームベーカリーが続いている人が無意識にやっている3つのこと
三日坊主にならない人の“考え方の違い”が分かります。
ホームベーカリーが三日坊主になる人の共通点
最初から理想を高く設定しすぎている
ホームベーカリーを始めるとき「毎日焼きたい」「家族に焼きたてを食べさせたい」そんな前向きな気持ちを持つ人はとても多いです。
実は三日坊主になりやすいのは、こうしたやる気が高い人ほどというケースも少なくありません。知らないうちに「毎日使うのが当たり前」「使わない日は失敗」という高いハードルを自分に課してしまうからです。
現実には毎日使っていなくても続いている人はたくさんいます。週に1〜2回、思い出したときに焼く。“たまに焼く”くらいの距離感のほうが、結果的に長く続くことも多いのです。
最初から完璧を目指してしまうと、一度使えなかっただけで「もう続かないかも」と感じやすくなります。理想を少し下げることは、やる気がないことではありません。
むしろ、長く付き合うための現実的なスタートラインです。
焼く工程より“前後の手間”を想像していない

ホームベーカリーというと、「材料を入れてスイッチを押すだけ」というイメージを持ちやすいものです。そのため、パンが焼けている時間だけを想像して始めると、実際に使い始めたときに「思っていたのと違う」と感じやすくなります。たとえば、
- 材料を量って準備する
- 焼き上がりのタイミングを気にする
- 使い終わった後にパーツを洗って片付ける
こうした前後の工程は使う前にはあまり意識されません。ですが、この部分が負担に感じ始めると、次第に使う回数は減っていきます。「焼くのは楽しいけれど、その前後が少し面倒」この感覚に心当たりがある人は多いはずです。
ホームベーカリーが続くかどうかは、焼く工程そのものよりも、この前後の手間をあらかじめ想像できていたかで分かれることが少なくありません。
生活リズムに組み込めていない

始める前は「平日は忙しいから、休日に焼こう」「朝に焼きたてを食べたい」とイメージしていた人も多いはずです。ところが実際に使い始めてみると、平日は想像以上に余裕がなく、休日は他の予定が入って後回しになる。朝は時間が足りず、結局タイミングを逃してしまう。こうしたズレは使い始めてから気づくことがほとんどです。
ホームベーカリーを「時間があるときに使うもの」「特別な日に楽しむもの」として扱ってしまうと次第に出番が減っていきます。
続いている人は特別なイベントとしてではなく、日常のどこで使うかをあらかじめ決めています。それが曖昧なままだと、三日坊主になりやすい傾向があります。
量・サイズが生活に合っていない
ホームベーカリーを選ぶとき「一度にたくさん焼けたほうが安心」と考える人は少なくありません。ですが、実際に使い始めてみると、一度に焼ける量が多すぎて、食べきれなかったり、冷凍が増えたりすることがあります。「せっかく焼いたのに残ってしまう」この感覚が負担になると、次第に使う回数は減っていきます。
反対に「このくらいで十分だった」と感じる家庭も多く、毎回焼き切れる量のほうが、気軽に使いやすいと感じるケースも少なくありません。
量の問題は機械の性能やスペックの話ではなく、その家庭の生活リズムや食べ方との相性です。「多いほうが安心」という考え方が、結果的にプレッシャーになってしまうこともあります。
ちょうどいい量は数字ではなく、使い続けられるかどうかで決まるものです。
買った時点でゴールになっている
ホームベーカリーを購入した直後は「これからたくさん使おう」「今度こそ続けたい」と気持ちが高まるものです。ですが、最初の数回で思うようにいかなかったとき「自分には向いていなかったのかもしれない」と判断してしまう人も少なくありません。この時点で、“使い続けること”よりも“買ったこと”がゴールになってしまいます。
一方で長く続いている人ほど、最初から力を入れすぎていません。「合わなければやめてもいい」「続いたらラッキー」くらいの気持ちで始めています。
完璧に使いこなそうとしないこと。うまくいかない回があっても、それを失敗だと決めつけないこと。その余白があるかどうかが、三日坊主を防ぐ分かれ道になります。
三日坊主を防ぐために、最初に考えておきたい視点
続け続けるために必要なのは意志の強さや根性ではありません。三日坊主を防いでいる人が最初から意識しているのは、次のような視点です。
- 毎日使わなくてもOKだと思えているか
- 使うタイミングを一つだけ決めているか
- 量や頻度を控えめに見積もれているか
どれも特別なことではありません。「できる日だけ使う」「週末のどちらかで焼けたら十分」そのくらいの感覚で始めている人ほど、長く続いています。
完璧な使い方を決める必要はありません。この視点を持っているだけで、「続かなかったらどうしよう」という不安は、自然と小さくなります。
初めてホームベーカリーを検討する方向けに、選び方・考え方・失敗しにくいポイントをまとめたページがあります。▶︎ 初めてのホームベーカリー|調理師が教える“失敗しない選び方”と成功の法則
それでも不安な人へ|いきなり決めなくていい

続くかどうかは正直なところ、実際に使ってみないと分からない部分もあります。ここまで読んで「理屈は分かったけど、まだ決めきれない」と感じているなら、それは自然なことです。無理に今、結論を出す必要はありません。ホームベーカリーは使いながら判断してもいい家電です。
生活に合うかどうかを確かめてから決める。合わなければやめてもいい。判断を少し後ろにずらす、という考え方があるだけで、「失敗したらどうしよう」という不安は、かなり軽くなります。
試行錯誤そのものが負担になる人は実際の失敗例を見ると判断しやすくなります。
▶ホームベーカリー奮闘記|うまくいかなかった原因と試したことを全部まとめました
まとめ
ホームベーカリーが三日坊主になってしまうのは、性格や意志の弱さが原因ではありません。多くの場合は、
- 最初から理想を高く設定しすぎていた
- 焼く前後の手間や、生活リズムを想像しきれていなかった
- 量や頻度が、実際の暮らしに合っていなかった
といった、始め方や考え方のズレによって起こります。続いている人ほど、毎日使おうとしません。完璧に使いこなそうともしません。合わなければやめてもいい、という余白を残しています。大切なのは「続かなかった=向いていない」と決めつけないこと。自分の生活に合うかどうかを、責めずに確かめる視点を持つことです。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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