日野菜の漬物をお店で出すと、お客さんから「これ何の漬物?」と聞かれることがよくあります。産直市場で見かけても、名前も食べ方もわからず、通り過ぎてしまう人が多い野菜かもしれません。
日野菜は滋賀県日野町で生まれたかぶの仲間です。
日野菜をひとことで言うと
見た目:細長い根で上が赤紫、下が白
旬:秋と春。秋のものは寒さで色が濃くなる
食べ方:定番は漬物。「桜漬け」とも呼ばれる
このページでは調理師として日野菜を扱ってきた目線で、味の特徴や歴史、下ごしらえ、選び方、保存方法までまとめました。
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日野菜とは?どんな野菜か

日野菜は滋賀県日野町で生まれたかぶの仲間です。発祥の地では「あかな」とも呼ばれ、1998年には滋賀県の「滋賀の食文化財」に選ばれました。
見た目と大きさ
- 形:直径2〜3cmほどの細長い根で、長さは25〜40cmほど
- 色:土から出て日に当たる上の部分が赤紫、土の中の下の部分が白
- 葉:茎や葉脈も赤紫に色づく
赤紫と白の2色に分かれた姿が、日野菜のいちばんの特徴です。
味の特徴
生の日野菜は身がしまっていて、ほどよい辛みと苦みがあります。火を通すと、辛みがまろやかになるといわれています。

私がいつも作るのは漬物です。漬けると、日野菜ならではの辛みが少し残って、ポリポリとした歯ごたえになります。
歴史|「桜漬け」の由来
日野菜の始まりは室町時代の1470年代といわれています。日野の領主・蒲生貞秀が、鎌掛(かいがけ)の山で自生していた菜を見つけ、育てさせたのが始まりです。
この菜を漬物にすると、桜の花のような色に染まりました。天皇にも献上され、その漬物は「桜漬け」と呼ばれるようになったと伝わっています。江戸時代には、彦根藩の井伊家に納める野菜にもなりました。
産地と地理的表示(GI)
- 発祥地:滋賀県日野町の鎌掛地区
- 今の主な産地:滋賀県の草津市などで多く育てられ、九州から信越まで広く栽培されています
- GI登録:2022年に「近江日野産日野菜」として、国の地理的表示(GI)に登録されました
【出典】
見た目・歴史・産地・GI:Wikipedia「日野菜」
味の特徴:しがQuo「日野菜」
滋賀の食文化財:農林水産省「うちの郷土料理 日野菜漬け 滋賀県」
日野菜の旬|おいしい時期
日野菜の旬は、秋(10〜1月)と春(5〜6月)の年2回です。中でもおすすめは秋です。寒さに当たると赤紫色が鮮やかになり、11月中旬ごろに採れるものが、いちばんおいしく色も美しいといわれています。
| 時期 | 出回る月 | 特徴 |
|---|---|---|
| 秋(メイン) | 10〜1月 | 寒さで赤紫色が濃くなる。11月ごろが最盛期 |
| 春 | 5〜6月 | 量は少なめ |
| 夏 | ― | 暑さで育てにくく、ほとんど出回らない |
※一般的には「12月末まで」とされていますが、私は1月にも店頭で見かけています。
日野菜が育つまで
日野菜は種をまいてから40〜50日ほどで収穫できます。真夏は病気や虫が出やすく、春の早すぎる時期にまくと花芽がついてしまうため、春と秋の2回に分けて育てられています。
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
【出典】
旬の時期:マイナビ農業「滋賀の伝統野菜『日野菜』とは?」、JAグリーン近江「日野菜漬」
11月ごろがいちばんおいしい・育つまでの日数:Wikipedia「日野菜」、タキイ種苗「ヒノナカブ」
日野菜の食べ方
定番は漬物|酢と合わせると桜色になる
日野菜のいちばん定番の食べ方は漬物です。酢と合わせると、白い根がうっすら桜色に染まります。この色から、日野菜の漬物は「桜漬け」とも呼ばれています。
漬け方には、桜漬けのほかに甘酢漬け(えび漬け)やぬか漬けなどがあります。
調理師が店で出している分量と手順は、こちらで詳しく解説しています。
▶ 日野菜の漬物(日野菜漬け)の作り方|3日目が食べ頃 調理師の分量と塩加減のコツ
調理師のおすすめ|日野菜の漬物チャーハン
漬物が残ったら、チャーハンに入れるのがおすすめです。
ポイントは、仕上げに入れること。最後にさっと混ぜるだけなので、漬物のパリパリとした歯ごたえが残ります。酢の酸味と日野菜の辛みが加わって、さっぱりと食べられるチャーハンになります。

早く入れすぎると、せっかくの歯ごたえがなくなってしまいます。火を止める直前に入れてください。
地元で紹介されている食べ方
日野菜の産地・滋賀県では、漬物のほかにもいろいろな食べ方が紹介されています。
- 天ぷら:火を通すと、辛みがまろやかになる
- ちらし寿司:刻んだ漬物を酢飯に混ぜると、ご飯が桜色に色づく
- おにぎり:刻んだ漬物を混ぜ込む
- サラダ:生のまま薄く切って使う
【出典】
日野町役場「日野菜レシピ集」
しがQuo「日野菜」
macaroni「日野菜のおいしいレシピ8選」
日野菜の下ごしらえ【調理師のコツ】
日野菜は、軸(根)と葉で扱い方が違います。私は先に軸と葉を切り分けてから、別々に洗っています。こうしたほうが早く洗えます。
軸(根)の下ごしらえ
- ひげ根は切り落とす:残すと食感が悪くなります
- 皮はむかない:赤紫の皮ごと使います。汚れが気になるときは、野菜用のたわしで軽くこすってください
- 葉との付け根は切り落とす:硬いので、食べるときに口に残ります
葉の下ごしらえ
ていねいに洗う:葉には砂がついていることが多いので、根元までしっかり洗います
アクが気になるときは水にさらす
日野菜にはアクがあります。漬物にするときは、切ったあと20〜30分水にさらすと、アクが抜けます。

ほかのレシピでは熱湯をかけてアクを抜く方法も紹介されていますが、私は水にさらすだけです。熱湯をかけると食感が変わってしまうので、水にさらすだけで十分です。
日野菜の選び方
日野菜を選ぶときは、軸(根)と葉の両方を見ます。
| 見るところ | 選びたいもの |
|---|---|
| 軸(根) | 赤紫と白の色がはっきりしてきれいなもの |
| ひげ根が少なく、表面がなめらかなもの | |
| みずみずしく、張りがあるもの | |
| 葉 | しなびていないもの |
| 色がきれいなもの |
漬物にするなら、葉つきを選ぶ
漬物にするときは、葉がついたものを選んでください。

日野菜の漬物は、葉と混ぜることで軸が桜色に染まります。葉はおまけではなく、色づけに欠かせない材料です。私の作り方では、軸1kgに対して葉を300gほど使います。
日野菜の保存方法
日野菜は軸と葉で日持ちが違います。買ってきたら、まず軸と葉を切り分けてください。
| 冷蔵での日持ち | 傷み始めのサイン | |
|---|---|---|
| 葉 | 2〜3日 | 色が変わってくる |
| 軸(根) | 5日ほど | ― |
生のまま保存するとき
- 軸と葉を切り分ける
- それぞれ新聞紙で包む
- ポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に入れる

葉は2〜3日で色が変わってきます。漬物にするなら、葉が傷む前に、買ってきた日か翌日には漬け始めてください。
長く楽しむなら漬物にする
漬物にすると、冷蔵で1週間を目安に食べきれます。保存の仕方がよければ、2週間ほどもちます。

葉が元気なうちに漬けておけば、桜色の漬物になります。
▶ 日野菜の漬物(日野菜漬け)の作り方
動画で見る日野菜の漬物の作り方
英語で解説した動画はコチラ▶【From the cook’s point of view】How to make “Pickled HINONA”
日野菜の栄養素(食品成分表)
根と葉を合わせた数値で、β-カロテン(1,200µg)、ビタミンC(52mg)、カルシウム(130mg)、カリウム(480mg)、食物繊維(3.0g)などが含まれています
ひのな 根・茎葉/生
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 4 | % |
| エネルギー | 17 | ㎉ |
| 水分 | 92.5 | g |
| タンパク質 | 1.0 | g |
| 脂質 | – | g |
| 食物繊維(総量) | 3.0 | g |
| 炭水化物 | 4.7 | g |
| ナトリウム | 10 | ㎎ |
| カリウム | 480 | ㎎ |
| カルシウム | 130 | ㎎ |
| マグネシウム | 21 | ㎎ |
| リン | 51 | ㎎ |
| 鉄 | 0.8 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.2 | ㎎ |
| 銅 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | 0.17 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 1200 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.7 | ㎎ |
| ビタミンK | 93 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.05 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.13 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.7 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.14 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 92 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.18 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 52 | ㎎ |
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
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