産直市場で根元が赤紫の細長いかぶを見かけて「これ、どうやって食べるんだろう」と手が止まった。お店で出てきた桜色の漬物がおいしかったのに、作り方がわからない。
日野菜はそんな出会い方をすることが多い野菜です。
私は調理師として日野菜の漬物を店で出してきました。作り方はそんなに難しくありません。
ポイントは3つ
塩は控えめにする(軸1kgに25g=約2.5%)
一晩重しをしたら、必ず味見をする
酢は塩漬けのあとに入れる
味付けした日から食べられますが、私の食べ頃は3日目です。
日野菜の漬物の作り方

材料(軸1kg・葉300g/塩分は約2.5%)
| 材料 | 軸 | 葉 |
|---|---|---|
| 日野菜 | 1kg | 300g |
| 塩(1日目) | 25g | 17g |
| 酢(2日目) | 120g | 60g |
| 味の素(2日目・好みで) | 2g | 2g |
1日目:洗う・切る・水にさらす・塩をして重し

①日野菜を洗う
軸と葉を先に切り分けてから、別々に洗います。こうしたほうが早く洗えます。
- 付け根:葉と軸の付け根は硬いので、切り落とします
- 葉:砂がついていることが多いので、ていねいに洗います
- ひげ根:残すと食感が悪くなるので、切り落とします
- 皮:むかずに使います。汚れが気になるときは、野菜用のたわしで軽くこすってください
②日野菜を切る
軸と葉は別々に漬けるので、切ったら別々の容器に入れます。
- 軸:2〜3mmの輪切り
- 葉:1cmほどの長さ
③ 軸と葉を別々に水にさらす

20〜30分水にさらして、アクを抜きます。そのあと、水気をよく切ります。
④ 塩をして重しをする
軸と葉に別々に塩をして、重しをのせます。
- 塩の量:軸1kgに塩25g、葉300gに塩17g
- 混ぜ方:塩が全体にまんべんなく行き渡るように混ぜます
- 重し:約2kg。軽めでかまいません
このまま一晩(10〜12時間)置きます。
2日目:味見して酢で味付け(ここから食べられます)

① 水気をしっかり絞る
一晩たつと軸からも葉からも水が出ています。軸と葉それぞれ、出てきた水分をよく絞ります。
② 味見をする(いちばん大事な工程)
ここで必ず一切れ食べて、塩加減を確かめます。
- 塩が薄いとき:塩を足します
- 塩辛いとき:軽く水で洗います

塩を足すのはかまいませんが、水で洗うのはできるだけ避けたいところです。だから1日目の塩は、やや控えめにしておくのがコツです。
③ 酢と味の素で味付けする
よく絞った軸と葉に、それぞれ酢と味の素を入れて混ぜます。
- 軸:酢120g、味の素2g
- 葉:酢60g、味の素2g
酢を入れると、日野菜がきれいな色に変わります。
④ 1日置いて、味をなじませる
軸と葉を別々の容器に入れ、表面にラップをぴったりかぶせて軽く押さえます。日野菜が調味液から出ないようにするためです。重しはのせずに、そのまま冷蔵庫で1日置きます。

この時点でも食べられますが、もう1日置くのがポイントです。1日置くと、味がなじみます。
3日目:食べ頃。葉と混ぜるかはお好みで

1日置いたら食べ頃です。軸と葉は別々のまま食べても、混ぜて食べてもかまいません。
葉と混ぜると、こう変わります(混ぜるときは、全体をよく混ぜてください。混ぜ方が足りないと、色がまだらになります。)
- 軸が桜色に染まる:葉の色が移り、白い軸がうっすら桜色になります。日野菜漬けが「桜漬け」と呼ばれるのは、この色からです。
- 軸と葉の量の偏りがなくなる:食べ進めると、どちらかだけが残ってしまうことがあります。そんなときは混ぜてしまえば、最後まで一緒に食べられます。

軸の白さを残したいときは、別々のままで大丈夫です。絶対に混ぜなければいけないものではありません。
動画で見る作り方
英語で解説した動画はコチラ▶【From the cook’s point of view】How to make “Pickled HINONA”
日野菜の漬物を桜色にきれいに仕上げるコツ
私は色づけで失敗したことはありません。酢を入れれば、日野菜はきちんと色づきます。押さえておきたいのは次の3つです。
酢を入れたら、調味液から出さない
いちばん大事なのはここです。酢を混ぜたら、表面にラップをぴったりかぶせて、上から軽く押さえます。日野菜が調味液にしっかり漬かった状態にしておくためです。

調味液から出ている部分は、発色しにくいので液体に漬かるようにするか、翌日には上下をひっくり返すように混ぜる事。
酢が少ないと、色が薄くなる
酢が少ないと、色づきも弱くなるように感じます。分量(軸1kgに酢120g、葉300gに酢60g)を目安に、しっかり入れてください。
色が足りないときは、葉と混ぜる
3日目に軸の色が物足りなければ、葉と混ぜてください。葉の色が移って、きれいな桜色に仕上がります。まだらになっても、もう一度よく混ぜれば、全体がきれいな桜色に染まります。
日野菜の漬物でよくある失敗と原因
| 失敗 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 塩辛い | 1日目の塩が多すぎた | 2日目の味見で軽く水洗いする。次からは塩をやや控えめに |
| 塩が薄い | 1日目の塩が少なかった | 2日目の味見で塩を足す |
| 漬かりが浅い | 重しの時間が短い 重しが重すぎて塩が行き渡らない | 一晩(10〜12時間)置く。重しは約2kgと軽めに |
| 味がぼける | 水気の絞り方が足りない | 2日目、酢を入れる前に軸と葉をよく絞る |
| 色がつかない | 調味液から出ていた 酢が少ない | ラップをぴったりかぶせて調味液に漬ける。色が足りなければ葉と混ぜる |
| 色がまだら | 葉との混ぜ方が足りない | 全体をもう一度よく混ぜる |
日野菜の漬物の日持ち・保存方法

冷蔵庫で1週間を目安に食べきってください。 保存の仕方がよければ、2週間ほどもちます。
長持ちさせる保存のコツ
- 調味液から出さない:表面にラップをぴったりかぶせて、日野菜が液に漬かった状態にしておきます
- 食べる分だけ小出しにする:容器ごと何度も出し入れせず、その都度食べる分だけ取り出します
- 清潔な箸で取り分ける:使った箸や濡れた箸を入れないようにします
汁が白く濁ってきた、ぬめりが出てきたなど、傷んだときの見分け方は「漬物の賞味期限切れは食べられる?調理師が教える日持ちの見分け方と冷凍のコツ」でまとめています。
熱湯をかけなくていいの?昔ながらの漬け方との違い
ほかのレシピを見ると、塩でもんだあとに熱湯をかけてアクを抜く方法がよく紹介されています。私の店の作り方では、熱湯はかけません。理由は3つあります。
熱湯をかけない3つの理由
- 水にさらすだけで、アクは十分に抜ける
→20〜30分水にさらせば、熱湯をかけなくても大丈夫です - 熱湯をかけると、食感が変わる
→生のまま漬けたほうが、日野菜らしい食感が残ります - 手間が減る
→お湯を沸かしてかけ、冷水で洗う工程がなくなります。店でも家でも、そのほうが続けやすい作り方です
昔ながらの漬け方とこの記事の作り方の違い
| 昔ながらの漬け方 | この記事の作り方 | |
|---|---|---|
| アク抜き | 塩でもむ+熱湯をかける | 水に20〜30分さらす |
| 味付け | 塩・みりん・酢、またはぬか | 塩・酢・味の素 |
| 食べ頃 | 4日〜1か月 | 3日目 |
| 作る量 | 1kg〜1桶(約5kg) | 軸1kg・葉300g |
日野菜の漬物の種類
日野菜の漬物には、いくつかの漬け方があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| さくら漬け | 根と葉を合わせて、根を淡い桜色に染める浅漬け |
| えび漬け (甘酢漬け) | 甘酢で漬ける。7〜10日ほどで食べられる |
| ぬか漬け | 米ぬかと塩で漬ける。食べ頃は約2週間〜1か月 |
| 一夜漬け | 塩で一晩漬ける。間引いた若い日野菜で作ることが多い |
【出典】
- 漬物の種類と食べ頃:日野町立南比都佐小学校「日野菜の漬け方」
- ぬか漬けの作り方:農林水産省「うちの郷土料理 日野菜漬け 滋賀県」
- 塩でもんで熱湯をかける漬け方(約4日):しがQuo「日野菜漬け」
桜漬けにははっきりした決まりがなく、家庭やお店ごとに作り方が違います。この記事の作り方も、葉と合わせて根を桜色に仕上げるので桜漬けと呼んでいます。
日野菜がどんな野菜か、旬や選び方はこちらで解説しています。
▶ 日野菜(ひのな)とは?旬・選び方・食べ方
漬け上がりの食卓と「桜漬け」の由来
葉と合わせて1日たつと、白かった軸がうっすら桜色に染まります。器に盛って出すと、お客さんや家族から「きれいな色」「これ何の漬物?」と聞かれることがよくあります。
噛むとポリポリと小気味いい音。日野菜ならではの辛みが少しあって、酢の酸味がきいた漬物です。「ご飯が進む」と言われることもあります。
室町時代、日野の領主・蒲生貞秀が漬物にしたところ、色が桜の花のように美しかったことから「桜漬け」と呼ばれるようになったと伝わっています。【出典】農林水産省「日野菜漬け」(伝統食のページ)
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日野菜の旬が終わっても、漬物を一品そえたいときは
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調理師として実際に取り寄せて、9袋それぞれの内容量・塩分・賞味期限、送料まで調べました。
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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