酸っぱい金柑を救済!調理師が教える種取りの裏技とふっくら美味しい甘露煮の作り方

TOP
TOP » 野菜 » 酸っぱい金柑を救済!調理師が教える種取りの裏技とふっくら美味しい甘露煮の作り方

青果店や食品売り場でつややかな金柑を見かけて買ってみたものの、そのまま口にしたら「酸っぱくて食べられない」「種が多くて邪魔になる」と困った経験はありませんか?

実は、一部の特別な品種を除き、一般的な金柑は生のまま食べるよりも、火を通すことで本当の美味しさを発揮します。和食の現場に25年以上立ってきた調理師の視点から言えば、酸っぱい金柑は決して失敗ではありません。ほんの少しの手間をかけるだけで、皮の甘みと果肉の酸味が絶妙に調和した最高のひと皿に生まれ変わります。

この記事では、酸っぱい金柑を美味しく救済する「甘露煮」の作り方と、一番の悩みの種である「種」を綺麗に取り除く調理師の裏技を詳しく解説します。

面倒な「種」を簡単にとる調理師の包丁使い

金柑を調理する上で一番の悩みが、小さな実の中にたくさん入っている「種」です。これを生のうちに無理やりほじくり出そうとすると、実が潰れて見栄えが悪くなってしまいます。

そこでおすすめしたいのが、「切り込みを入れてから、一度茹でて種を押し出す」という方法です。

まず、金柑のヘタを取り、包丁で縦に5本から6本、均等に切り込みを入れます。この時、深さは果肉の半分くらいまで入れるのがコツです。その後、たっぷりのお湯で三分から五分ほど茹でると、実が少し柔らかくなります。

火から下ろして水にさらし、粗熱が取れたら、指で上下を軽く挟むように押してみてください。切り込みの隙間から、種がするりと面白いように出てきます。奥に残った種は竹串を使えば簡単に取り除けます。このひと手間で、食べる時に種が気にならない、口当たりの良い仕上がりになります。


皮が固くならない!ふっくら仕上げる甘露煮の手順

種が綺麗に取れたら、いよいよお砂糖で煮ていきます。ここで皮がシワシワになったり、固くなったりしてしまう失敗が多いのですが、ふっくらと艶やかに仕上げるための大切な決まりごとがあります。

それは、「たっぷりの煮汁で、絶対に煮立たせないように弱火で煮る」ことです。

お鍋に金柑がしっかり被るくらいのお水とお砂糖(お砂糖の量は金柑の重さの半分くらいが目安です)を入れ、火にかけます。沸騰したらごく弱火にして、落とし蓋をします。お湯が静かに揺れる程度の火加減を保ちながら、小一時間ほどじっくりと煮含めます。

強火でぐつぐつ煮てしまうと、皮が急激に縮んで固くなってしまいます。焦らずゆっくりと火を入れることで、皮の苦味が抜け、中までお砂糖の甘みが染み込んだ、宝石のように輝く甘露煮が完成します。


皮の成分を極めるなら、話題の柑橘「じゃばら」にも注目

金柑は「皮を食べる柑橘」の代表格であり、その皮には健やかな毎日を支える素晴らしい栄養が詰まっています。甘露煮にすることで、美味しくたっぷりと皮の成分を取り入れることができます。

しかし、もし特定の成分や日々の体調管理を目的に「柑橘の皮の力」を求めているのであれば、和歌山県産の「じゃばら」という果物をぜひ知っていただきたいです。

じゃばらは金柑のように甘く煮て食べるのにはあまり向きませんが、皮の部分に「ナリルチン」という成分が他の柑橘類とは比較にならないほど大量に含まれています。季節の変わり目のムズムズ対策など、専門家の間でも非常に注目されている果物です。

美味しくお茶請けとして楽しむなら金柑の甘露煮を、日々の健康管理として成分をしっかり取り入れるならじゃばらを。目的に合わせて使い分けるのが、長年食材を見てきた調理師としておすすめしたい賢い方法です。

毎日の生活にじゃばらを取り入れる際、果汁を選ぶべきか、粉末を選ぶべきか。失敗しない選び方をまとめましたので、あわせてご覧ください。


金柑の漢字・英語表記

金柑は、漢字では「金柑(きんかん)」と書きます。「金」は果皮の鮮やかな黄金色を、「柑」は柑橘類の総称を意味し、その名のとおり皮まで食べられる小さな柑橘として古くから親しまれています。

英語では、「kumquat(カムクワット)」と呼ばれています。これは中国語の「金橘(きんきつ)」が語源とされ、「金色の柑橘=ゴールデンオレンジ」という意味を持ちます。英語圏でも “kumquat” という単語で通じ、果実としてそのまま販売されていることも多くあります。

金柑の旬

きんかんの旬は12月から3月ごろ

旬カレンダー(1月〜12月)※色が付いている月が旬の目安です。

買い物前に“今月の旬”を確認しておくと、食材選びがスムーズになります。12月の旬の野菜と果物【一覧表】はこちらからどうぞ▶12月|旬の野菜と果物【一覧表】

金柑とは ~解説~

金柑
  • ミカン科キンカン属の常緑低木の総称
  • 原産国は中国
  • ミカン科キンカン属の柑橘類で、皮ごと食べられる小粒な果物
  • 別名「金橘(きんきつ)」と呼ばれる
  • 温室、ハウス、露地の3つの栽培方法がある
  • 苦みと甘みを備えた皮ごと食べられる果実
  • 宮崎県産が7割をしめる(主に暖かい地方で栽培されている)
  • ピンポン玉よりも小さい一口サイズの果実で中心に種がある
  • 皮付近が一番甘味が強い
  • 特徴的なのは皮の甘さと果肉の酸味の対比
  • 日本では冬〜早春に旬を迎え、主に宮崎・鹿児島・熊本などで栽培されている
  • 鮮やかなオレンジ色で、艶があるものが新鮮
  • 種が多いため、加熱して甘露煮・シロップ漬けなどにすることも多い
  • 生食だけでなく、砂糖漬け・金柑酒・ピール(皮)など加工品も人気
  • ブランド品として有名な「たまたま」「完熟きんかん」などがある
  • 英語では「kumquat(カムクワット)」と呼ばれる

栄養

  • 皮にビタミンCが豊富(果肉より皮の方が含有量が多い)
  • ビタミンEやカリウム、食物繊維もバランスよく含まれる
  • β-クリプトキサンチンやリモネンなどの柑橘由来の香気成分も含む
  • 小粒ながら抗酸化成分を多く含む点が特徴
  • エネルギーは100gあたり71kcal程度で、糖度が高い品種もある

目利き

  • 艶があり、濃い色をしているものが良い
  • 表面に張りがあって重みのあるものが良い
  • つぶが大きい方が良い
  • ヘタが新鮮なものが良い
  • 表皮に傷や黒ずみのない物を選ぶ

保存方法

  • 収穫されてから一週間は常温で保存できる
  • ビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存する
  • 金柑のヘタを取り、半分に切って種を取り冷凍できる
  • 蜂蜜漬けや砂糖漬けにする

主なブランド

  • たまたま
    (糖度16度以上・Lサイズ以上の大きさ)
  • たまたまエクセレント
    (糖度18度以上・3.3cm以上)
  • 春姫
    (ハウス栽培で糖度が16度以上)
  • いりき
    (鹿児島県薩摩川内市入来町の「温室きんかん」で生成りで完熟させ、糖度が16度以上)

金柑とよく合う組み合わせ

金柑の甘露煮のお湯割り
  • 金柑 × はちみつ × 白湯:冬のドリンクやのどにやさしい飲み方として人気
  • 金柑 × クリームチーズ × クラッカー:前菜・ワインのお供に
  • 金柑 × 鶏肉 × バルサミコ酢:甘酸っぱい照り焼き風に
  • 金柑 × ヨーグルト × グラノーラ:朝食デザートにぴったり
  • 金柑 × チョコレート × ピスタチオ:ピールを使った贅沢スイーツに

金柑の栄養素(食品成分表)

きんかん(生)全果
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率6%
エネルギー67
水分80.8g
タンパク質0.5g
脂質0.7g
食物繊維(総量)4.6g
炭水化物17.5g
ナトリウム2
カリウム180
カルシウム80
マグネシウム19
リン12
0.3
亜鉛0.1
0.03
マンガン0.11
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)28
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)2.6
ビタミンK
ビタミンB10.10
ビタミンB20.06
ナイアシン0.6
ビタミンB60.06
ビタミンB12
葉酸20
パントテン酸0.29
ビオチン
ビタミンC49
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」
調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

プロフィールを見る

タイトルとURLをコピーしました