飯蛸(いいだこ)の旬はいつ?マダコとの違い・見分け方や美味しい食べ方も紹介

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春の味覚として親しまれる「飯蛸(いいだこ)」は、小さな体に卵を抱えた姿が特徴のタコの一種です。やわらかい身とほのかな甘みがあり、煮付けや酢の物で人気の食材です。「マダコとの違いは?」「旬の時期はいつ?」など、調理師の視点から、飯蛸の特徴・旬・選び方・美味しい食べ方までをわかりやすくご紹介します。

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飯蛸(いいだこ)の旬

飯蛸(いいだこ)の旬は、主に春(3月〜5月)です。
とくにメスが卵を抱える3月〜4月は、お腹に“いい(卵)”をたっぷりと蓄えた状態で、もっとも美味しい時期とされています。

地域主な旬の時期特徴
関西・瀬戸内海3月〜4月卵を抱えたメスが多く獲れ、桜煮や煮付けに最適
九州北部2月下旬〜4月早めに漁が始まる地域もあり、出荷量も多め
関東以北ほとんど流通なし関西以西が主な産地。流通量はごく少ない
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

春に産卵期を迎えるため、卵をもったメスが出回るのがこの時期限定。卵は加熱すると「ぷちぷち」とした食感になり、煮物や炊き合わせ料理では風物詩として重宝されています。

飯蛸(いいだこ)の旬 ~特徴~

飯蛸

飯蛸(いいだこ)は、マダコ科に属する小型のタコで、全長10~15cmほどの小ぶりな体が特徴です。とくに春先にはメスのお腹にたまご(卵巣)を抱えており、ふっくらとした姿になります。これが「飯(いい)を抱えたように見える」ことから、「飯蛸」と呼ばれるようになりました。

見た目はマダコに似ていますが、次のような違いがあります。

  • 体が全体的に小ぶりで、足も短い
  • 吸盤が1列(マダコは2列)
  • 卵が入っているメスが特に珍重される
  • 柔らかく甘みがあるため、煮付けや桜煮で人気

主に春(3〜5月)に旬を迎えるため、店頭に出回るのは限られた時期だけ。小さいながらも出汁の出る魚介として、和食では季節を彩る食材です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

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飯蛸は火を通しても硬くなりにくく、煮ても焼いてもふんわりとした食感が楽しめます。下処理も比較的簡単なので、春の家庭料理にもおすすめです。

地方名

  • 子持蛸
  • 一口蛸
  • 石蛸
  • カイダコ

飯蛸の目利き(鮮度の見分け方)

飯蛸はサイズが小さいため、一見どれも同じように見えますが、鮮度の良し悪しで風味や食感が大きく変わります。以下のポイントをチェックして選びましょう。

チェックポイント鮮度が良い飯蛸の特徴
色ツヤ全体的につやがあり、透明感のある赤茶色をしている
吸盤吸盤がしっかりと立っていて、白くて清潔感がある
身の張り頭部(胴)がふっくらと丸く膨らんでいる(特に卵入りメス)
におい生臭さがなく、ほんのり磯の香りがする程度
ぬめり表面にほどよいぬめりがある(乾燥しているものはNG)
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春に出回る卵入りの飯蛸は、お腹がふくらんでいて身がやや透けて見えるものがベスト。加熱してもふっくらと仕上がり、煮物や酢の物で見た目にも美しく仕上がります。
また、冷凍品よりも生のほうが香り・食感ともに優れています

マダコと飯蛸の違い・見分け方

市場やスーパーでは、マダコと飯蛸が並んで販売されることもあります。見た目は似ていますが、以下のような明確な違いがあります。

比較項目飯蛸(いいだこ)マダコ
大きさ小型(10〜15cm)中〜大型(30〜60cm以上)
吸盤の数1列2列
春(3〜5月)夏〜秋(地域による)
食感やわらかめ・卵のぷちぷち感弾力のあるしっかりした食感
味わい優しい甘み・出汁が出やすい濃い旨味で歯ごたえあり
よく使う料理煮付け、桜煮、酢の物刺身、たこ焼き、唐揚げ

見分け方のポイント

卵が見えるものは飯蛸のメス(春限定)
吸盤が1列なら飯蛸、2列ならマダコ
体全体が小さく、ぷっくりしている(特にメス)=飯蛸

飯蛸と相性の良い食材

飯蛸はやさしい甘みとやわらかな食感が特徴で、和食との相性が抜群です。特に春の料理では、季節の食材と組み合わせて彩り豊かに楽しめます。

食材組み合わせの理由・使い方例
菜の花春の旬同士の組み合わせ。酢味噌和えや煮物にすると色味も美しい
煮物で合わせると、食感の違いが楽しい。だしもよく合う
生姜煮付けの臭み消しと風味付けに。さわやかな後味に
木の芽煮物や酢の物の仕上げに添えると香りが引き立つ
酢味噌さっぱりとした酢味噌が、飯蛸の甘みを引き立てる定番の合わせ調味料
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現役和食調理師のヒント

飯蛸は素材の味がやさしい分、淡い味付けで引き立てるのがポイントです。強い香味野菜や辛味よりも、春らしい苦みや香りを活かした組み合わせが向いています。

飯蛸に合う調理法

飯蛸は煮ても硬くなりにくく、さまざまな調理法に向いています。とくに卵を抱えた春の飯蛸は、見た目・食感ともに煮物や和え物にぴったりです。

調理法おすすめ度理由
煮物卵入りの飯蛸に甘辛い味がしみ込み、春の定番料理に
酢の物さっぱりとした味付けが飯蛸の甘みを引き立てる
焼き物小ぶりなので焼きすぎに注意すれば香ばしさが楽しめる
蒸し物柔らかく仕上がり、卵の食感も残しやすい
揚げ物小さいため加熱しすぎると硬くなりやすい
刺身・生食×一般的には加熱調理が前提。鮮度・衛生面の観点から非推奨
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

煮物にする場合は下茹でしてぬめりを落としてから味付けすると、味の入りがよくなります。酢の物にする場合は、軽く湯引きして氷水で締めると身がぷりっとして美しく仕上がります。

飯蛸(いいだこ)の栄養素 ~食品成分表~

いいだこ(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー64
水分83.2g
タンパク質14.6g
脂質0.8g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム250
カリウム200
カルシウム20
マグネシウム43
リン190
2.2
亜鉛3.1
2.96
マンガン0.06
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)35
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)2.7
ビタミンK
ビタミンB10.01
ビタミンB20.08
ナイアシン3.2
ビタミンB60.11
ビタミンB122.0
葉酸37
パントテン酸0.70
ビオチン
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

飯蛸は高たんぱく・超低脂質に加え、銅・亜鉛・鉄が強み。短時間の火入れ香味づけで、栄養と食感を両立させましょう。

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飯蛸の英語・漢字表記

表記内容
漢字飯蛸(いいだこ)
英語名ocellated octopus
または baby octopus※一般流通名
発音記号[ɑːsəleɪtɪd ˈɑːktəpəs]
[ˈbeɪbi ˈɑːktəpəs](
学名Octopus ocellatus
別名・地方名望潮魚(ぼうちょうぎょ/のぞみしおうお)※漢名に由来する別称


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