ポストコーヒーの診断は当たるのか?
「酸味が強すぎた」「思ってた味と違った」という声もあれば、「診断通りで好みにぴったり」「知らない豆に出会えた」という真逆の声もあります。
では、実際はどうなのか。
私はポストコーヒーを30か月継続して利用している現役調理師です。日々コーヒーの風味を言語化する仕事柄、“酸味・苦味・香りのバランス”には人一倍敏感です。
そんな私が結論から言うと──
ポストコーヒーの診断は「当たる/外れる」という考え方自体が少しズレています。
診断はあなたの好みを当てる占いではありません。最終的には12種類の嗜好タイプに分類される仕組みで、診断結果は自分で変更することもできます。
つまり、診断の精度よりも「あなた自身の好みをどれだけ理解しているか」「どのタイプに寄せるか」で満足度が大きく変わるのです。
このページでは、
- 診断の仕組みと“12種類の嗜好タイプ”
- 当たりやすい人・外れやすい人の特徴
- ミスマッチが起きる本当の理由
- 診断で失敗しないコツ
- 実際の診断結果と届いた豆の例
を、30か月の実体験をもとにわかりやすくまとめました。
「診断で失敗したくない」「自分の好みを知りたい」そんな人が“今すぐ判断できる”内容にしています。まずは、診断の本質と“当たる・外れる”の真実からお話しします。
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結論|ポストコーヒーの診断は当たる?30か月使った本音

結論から言います。
ポストコーヒーの診断は「当たる/外れる」という考え方自体が少しズレています。正しくは、“診断はあなたの好みの方向性を12タイプに分類するだけのツール”です。
30か月ポストコーヒーを継続し、毎月の豆の違いを味わってきた調理師として断言すると──
- 自分の好みが明確な人は診断が機能する
- 好みが曖昧な人ほど外れに感じやすい
- 外れの原因は診断ではなく“月の豆の個性や焙煎”
というのが現実です。診断は“あなたの好みを当てる占い”ではありません。むしろ、あなた自身が 「自分はどの味が好きか?」を理解するための入口 に近い。その前提を踏まえて、診断の仕組みや12タイプの違いを解説していきます。
ポストコーヒー診断の役割
まず、まずここを誤解している人が多いのではっきりさせます。
■診断=「この月に届く豆を決める仕組み」ではない
診断結果は、“あなたの好みの大枠を12種類のタイプのどこに分類するか”という判断にすぎません。
■12種類のタイプは後から自由に変更できる
診断結果が合わなければ、あなた自身で別のタイプに変更できます。つまり、診断が外れた=あなたが間違ったタイプにいるだけというケースが非常に多い。
■好みがはっきりしている人は診断しなくても良い
例えば、「深煎りしか飲まない」「酸味ゼロがいい」「ナッツ・チョコ系だけが好き」。こういう人は、自分の好みに合うタイプを最初から選べばよいので、診断すら不要です。
ポストコーヒー診断の前に必ず知っておくべき基礎
コーヒーの味は「たった3つの要素」で決まる
🔰焙煎度(浅い → 深い)で味の方向性が決まる
コーヒーの味を一番左右するのが 焙煎の深さ です。
- 浅煎り(Light)
→ 明るい酸味、果実感(フルーティ) - 中煎り(Medium)
→ 酸味と苦味のバランスがちょうど良い - 深煎り(Dark)
→ 強い苦味、コク、ビターな味
📌 つまり、あなたが“酸味好きか苦味好きか”だけで、方向性はほぼ決まります。

現役和食調理師のヒント
「焙煎(ばいせん)」は、コーヒー豆に“火を入れる”ことです。浅めに火を入れると酸味が、深く焼くと苦味やコクが強くなります。料理でいう“焼き加減”の違いと思えばOKです。
🔰酸味・苦味のどちらを優先するかでタイプが絞られる
迷ったらまず、これだけ考えればOK。
- 酸味が好き → Light(浅煎り)
- 苦味が好き → Dark(深煎り)
- どちらも飲める → Medium(中煎り)
📌 実はポストコーヒーの12タイプは、この“酸味 vs 苦味”の比率を細かく分類しただけ。
🔰香り(フレーバー)の方向性で、さらに好みが分かれる
コーヒーは風味の幅が広く、主にこの3種類。
- フルーティ系(果物っぽい香り)
- ナッツ系(香ばしさ・甘さ)
- スモーキー系(焦がし・苦味)
📌 これを“強めたい or 弱めたい”で好みが決まる。
ただし重要:ポストコーヒーでは“フレーバーそのものは選べない”
ポストコーヒーの診断で選べるのは 焙煎度(浅煎り〜深煎り) だけです。フレーバーは ロースターが選んだ豆の特徴に依存するため、指定不可。
✔ フルーティ系が飲みたい → 浅煎り(Light)を選ぶ
✔ ナッツ・香ばしい系が飲みたい → 中煎り(Medium)を選ぶ
✔ スモーキー・苦味強めが好き → 深煎り(Dark)を選ぶ
つまり、「フレーバーは焙煎度の選び方で“寄せる”しかない」という仕組み。

現役和食調理師のヒント
コーヒーは“焙煎度”だけで味の方向性が大きく変わります。ポストコーヒーでは焙煎は変更できますが、フレーバーは選べません。果実感を求めるなら浅煎り、コクや苦味を求めるなら深煎りを選ぶのが基本です。
ここまで理解すれば、12タイプは難しくない
「Light/Medium/Dark」と「NERD/Lover/User」は焙煎度 × 好みの強度 を組み合わせただけ。あなたが「どの味を求めているか」= 12タイプのどれに近いかという仕組み。
だからポストコーヒー診断は“当たる人と当たらない人”が分かれる
基礎の理解がある人は診断が当たりやすく、逆にコーヒーをあまり飲まない人は「そもそも自分の好みがわかっていない」ためミスマッチが起こりやすい。
12種類の診断タイプ一覧と特徴

ここまでで、コーヒーの味を決める3つの要素「焙煎度」「酸味・苦味」「フレーバーの方向性」が分かったと思います。これらを踏まえると、ポストコーヒーの診断結果で表示される 12種類のタイプ が「なぜこの形で分類されているのか」が理解しやすくなります。
12タイプ=「焙煎度 × 好みの強度」というシンプルな構造です。
まずは、この“全体像”を見てから、個別のタイプに進むのが理解の近道です。
浅煎り(Light)の3タイプまとめ
Light NERD(浅煎りしか認めない、強こだわりタイプ)
- 浅煎りの“フルーティさ・華やかさ”を最優先
- 中煎りを飲むのはごくまれ
- コーヒーの酸味に抵抗がない、むしろ大好き
👉 浅煎りを極めたい、本格派。
Light Lover(基本は浅煎り、でも少し幅がある)
- 浅煎りがメイン
- 中煎りも“気分で”飲める
- 酸味と香ばしさのバランスをたまに変えたい
👉 浅煎り7:中煎り3 くらいのバランスタイプ。
Light User(浅煎りが好き、けど普通に中煎りも飲む)
- 基本は浅煎り
- 中煎りの飲みやすさも“普通に楽しむ”
- フレーバー探索が好き
👉 柔軟で、浅煎り〜中煎りを幅広く楽しむ人向け。
中煎り(Medium)の3タイプまとめ
Medium NERD(中煎り固定派、最もブレにくい)
- 中煎りの“甘さと香ばしさの中間”が好き
- 浅煎りや深煎りに寄せる気はほぼない
- 毎日飲んでも飽きない人向け
👉 中煎りこそ正義の固定派。
Medium Lover(中煎り軸、たまに浅・深も飲む)
- 中煎りメイン
- 気分で浅煎りの軽さや深煎りのコクも楽しむ
- 味の幅を少し持たせたい
👉 中煎り7:浅・深3くらいの幅。
Medium User(中煎り中心、浅~深まで柔軟に飲む)
- 飲みやすさを最優先
- 浅煎りの明るさも深煎りのコクも“どちらもOK”
- 少しずつ好みを探したい人向け
👉 幅広いタイプを試したい人に最適。
深煎り(Dark)の3タイプまとめ
Dark NERD(深煎り特化。揺るがない最硬派)
- 深煎り以外ほぼ不要
- 中煎りは飲むとしても滅多にない
- コク・苦味・重厚さを最大限求める
👉 「深煎り以外認めない」人はこれ。
Dark Lover(深煎り軸、たまに中煎りも飲む)
- 深煎りがメイン
- 香ばしさや甘みが軽めにほしいときは中煎りも飲める
- 日によって飲み分けたい
👉 深煎り7:中煎り3 の王道バランス。
Dark User(深煎り多め、でも普通に中煎りも飲む)
- 深煎りが好き
- でも中煎りの飲みやすさも受け入れる
- カフェオレ派にもよく合う
👉 深煎り中心の“柔軟タイプ”。
特徴的な3タイプ
Mr.Third Wave(最も浅い)
- 浅煎り特化
- フルーティ・紅茶のような軽さ
- 浅煎りを極めたい人向け
Balancer(最も中間/万能型)
- 12タイプの中心
- 浅〜深まで幅広く届く
- 初心者はまずこれに設定してから微調整が最適
Mr.Italian Roast(最も深い)
- 深煎り極特化
- 苦味・重厚感・カフェオレ向き
- スモーキーな風味が好きな人にぴったり
実際に30か月継続して届いた豆のレビューはこちらにまとめています。
▶ すべての月のレビューを見る

ミスマッチが起きる理由
ポストコーヒーの診断は「外れた…」と感じる人が一定数いるのは事実です。ただし、これは 診断の精度が低いのではなく、“診断の仕組み” と “コーヒー自体の性質” に理由があるだけ です。
以下の5つを理解しておくと、“当たる/外れる” の正体がスッと理解でき、無駄なストレスが消えます。
■「生活の嗜好」と「コーヒーの好み」を推測する
実際に聞いている内容は 大きく2種類 に分かれています。
①生活の好みを聞く質問(フルーツ・デザート・チョコなど)
一見コーヒーに関係ない質問ですが、甘味・酸味・香りなど“味の傾向”を間接的に推測するためのデータ です。
②コーヒーの好みを聞く質問(焙煎度・フレーバー・産地など)
こちらは コーヒーの味の好みを直接聞く質問 です。
味覚はもっと細かく分かれるのに、生活の嗜好 × コーヒーの嗜好 → 12タイプという “圧縮分類” を行うため、どうしても微妙なズレは出ます。これは診断の欠陥ではなく、「人の好みを12種類にまとめる」という仕組み上の限界 です。
■「焙煎度の許容幅」を推測しているだけ
診断が最終的に判断しているのは、あなたがどの焙煎帯(浅・中・深)をどれくらい許容できるか。浅煎り〜深煎りの中で、「あなたはライト寄り」「ミディアム寄り」のように位置づけるためのもの。逆に言えば、「甘味と酸味のバランスがこうで…」のような繊細な好みまで当てる仕組みではない。
■最終的に12タイプへ収束するため、似た結果が多い
診断の最終結果は 全部で12タイプ。つまり、本当は50〜60通りあってもおかしくない「人間の味の好み」を、12の箱にグッとまとめて入れている状態。
当然、「なんか近いけど、微妙に違う」という人が出るのは当たり前。診断の限界というより、分類方式の宿命 と言える。
■ロースター(焙煎士)のスタイルの差が大きい
同じ「浅煎り」でも、焙煎士によってまったく味が違う。
- 酸味強めに仕上げるロースター
- 香りを重視して酸味を抑えるロースター
- ボディを出す浅煎りを作るロースター
同じ “ライト” でも感じ方が変わるため、診断結果と届いた豆の印象がズレることがある。これは診断のせいではなく、コーヒー焙煎の世界が多様すぎるのが原因。
失敗しないコーヒー診断の使い方

ミスマッチは“診断が悪い”のではなく、「人の味覚を12種類に分類する」という仕組みの限界が原因です。しかし、使い方を少し工夫するだけで ズレは大幅に減らせます。30か月続けた経験から、実際に効果があったコツだけをまとめます。
① 最優先は焙煎度
- 酸味が得意 → 浅煎り寄り(ライト)
- 甘味と香り重視 → 中煎り寄り(ミディアム)
- 苦味・コク重視 → 深煎り寄り(ダーク)
診断の中で一番重要なのは 焙煎度の指定。焙煎度の設定がズレると、すべてがズレます。迷ったら 中間の「Balancer」→そこから微調整 が最も安全。
② 酸味が苦手なら深煎り
酸味に弱い人ほどミスマッチが発生しやすいです。
- Light(浅煎り)=酸味が強い傾向
- Medium(中煎り)=軽めの酸味
- Dark(深煎り)=酸味弱め、苦味とコクが中心
もし酸味が苦手なら、
👉 Dark → Lover or User
くらいの「深いが許容幅の広い」設定が最も失敗しません。
③ フレーバー重視なら浅煎り
フローラル・シトラス・ベリー・ワインなど、“香りの個性” を楽しみたいなら浅煎り寄り(Light)を選ぶ必要があります。深煎りにすると、香りが全部焼き切れてしまうため、フレーバーは出ません。
■改善のカギは“タイプの見直し”
ここが最も誤解されやすいポイントです。ポストコーヒーのフィードバックは、今選んでいるタイプの範囲内での微調整 にすぎません。
例:Dark NERD→ どれだけ「酸味が弱いほうがいい」と伝えても、浅煎りは絶対に届かない。
例:Medium Lover→ 苦味を強くして欲しくても、深煎りにはならない。
つまり、フィードバックだけでは根本的な方向性は変わらない。

現役和食調理師のヒント
もし2〜3回飲んで「なんか違う…」と感じるなら、タイプ(Light/Medium/Dark × NERD・Lover・User)そのものを変えるのが一番早いです。
■好みが明確なら診断は補助
深煎りだけが好き、酸味ゼロじゃないと無理、香りより苦味重視……
こういう人は診断よりタイプの直接選択のほうが正確です。たとえば——
- 深煎りが絶対 → Dark NERD
- 香りと甘味のバランス → Medium Lover
- 浅煎り主体だけど幅も欲しい → Light User
診断は“方向性のガイド”として使い、最終決定は自分で行うほうがミスマッチは少なくなります。
診断は使うべき?向く人・向かない人

診断は“ハマる人にはすごく便利”ですが、“ハマらない人にはただのノイズ”になります。30か月使ってわかったのは、診断が活きる人と、活きない人が明確に分かれるということです。
ここからは、
「診断が向いている人」
「診断が向かない人」
を基準に、あなたがどちら側なのか整理します。
診断が向いている人
- コーヒーは好きだが、細かい違いはまだ分からない
- 焙煎度の好みを確かめたい
- 新しい豆との出会いを楽しみたい
- 浅煎り〜中煎りまで幅広く飲める
- “毎月違う味” をポジティブに感じられる
- 自分では選ばない豆を試したいタイプ
診断が向かない人
- 深煎り以外はほぼ受け付けない
- 酸味ゼロが絶対条件
- 香りより苦味を重視
- 好きな産地・焙煎が完全に固まっている
- 毎月違う味が届くと逆にストレス
- 同じ味を安定して飲みたい
こういう人は診断に頼らず、Dark系・Medium系・Light系を自分で指定したほうが満足度が高い。

現役和食調理師のヒント
焙煎度は、診断結果の“焙煎度を調整する”スライドバーで変えられます。左=浅煎り、真ん中=中煎り、右=深煎り。ミスマッチが続くときは、このバーを動かして焙煎度を見直すのが一番効果的です。
ポストコーヒーの診断は、最初の「方向性」を決めるだけの軽いツールです
▶ コーヒー診断をやってみる(公式)
最終まとめ
ポストコーヒーの診断は、“味の好みを完全に当てる装置”ではありません。しかし、自分の好みの方向性を知るための優れた入口 であり、使い方を理解すればミスマッチは大きく減らせます。
- 診断は「生活の嗜好 × コーヒーの好み」を組み合わせて12タイプに分類する仕組み
- 外れる原因は診断の欠陥ではなく、分類方法とコーヒーの個性そのもの
- ミスマッチを減らすコツは、焙煎度の指定とタイプ見直しが最重要
- 好みが曖昧な人には診断が向き、好みが明確な人は“直接タイプ選択”が最適
診断の本質を理解したうえで活用すれば、毎月届くコーヒーは“当たり外れのガチャ”ではなく、あなたの好きな味へ近づいていくガイドツール に変わります。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
和食の世界で25年以上。旬の食材や家庭でできる調理のコツを、やさしく、わかりやすくお届けしています。料理がもっと楽しく、おいしくなるきっかけになれば嬉しいです。
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