素朴な甘辛味でご飯がすすむ「茄子の田舎煮」。
失敗しやすいのは「油を吸いすぎてベタつく」「皮が硬い/色がくすむ」「味がぼやける」。
結論は “油を最小限でコーティング → 甘味を先に入れて浸透 → 酒でやわらかく煮含める”。
火加減とタイミング(合図)を言語化したので、誰でも安定して再現できる。
※本記事には広告が表示されます。
よくある失敗と原因
- ベタつく:最初に油を入れすぎ、強火で長く炒める
- 皮が硬い・色落ち:塩水処理なし/高温で炒め過ぎ/煮詰め過ぎ
- 味がぼやける:砂糖とみりんを後入れ → 浸透が遅れる
- 煮崩れ:炒めで火を入れ過ぎ、煮込みも長い
- 辛味が立ちすぎ:唐辛子の入れっぱなし
材料
食材
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 茄子 | 4本(約400g) | 主役。油で薄くコーティングして旨味を抱かせる |
| 赤唐辛子 | 1本 | 風味のアクセント(入れっぱなしNG) |
| サラダ油 | 大さじ2〜3 | 最小量で表面をコート。吸い過ぎ防止 |
調味料
| 調味料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 濃口醤油 | 30ml | 香りとコクの柱 |
| 砂糖 | 10g | 先入れで浸透・照り出し |
| みりん | 15ml | まろやかさ・てり |
| 料理酒 | 100ml | 旨味の溶媒。柔らかく煮含める |
英語表記:Rural eggplant stew(Rustic Braised Eggplant / Inaka-ni)
下処理
- 茄子:縦半分→皮目に2mm幅の浅い切れ目→一口大。1%塩水(水500mlに塩5g)に5分さらし、しっかり水気を拭く
*塩水でえぐみ抜き&色出し/油はね防止 - 赤唐辛子:種を除き、最初に香りを出して途中で取り出す(辛味コントロール)
作り方
- 油に唐辛子の香りを移す(中火)
鍋にサラダ油・赤唐辛子。油の面がゆらりとして香りが立ったら、唐辛子は取り出す。
合図:唐辛子の縁がうっすら色付き始めたらOK。 - 茄子を軽く炒める(中火・1〜2分)
茄子を入れ、油が全体に薄く回るまでさっと。完全に火を通さない。
合図:皮がつやっとし、角がやや透明感。油を吸い切る前に次へ - 甘味を先に入れて浸透(中火)
砂糖→みりんの順に鍋肌から。30秒ほど炒り絡めて甘味を入れ込む。
合図:鍋底に薄い“てりの膜”が出て、茄子がふっくら - 酒・醤油で煮含める(弱火・5〜10分)
料理酒→沸いたら醤油。落し蓋をして弱火。
合図:煮汁が“とろっ”と縁で遅れて戻る/箸がスッと刺さる - 仕上げ(火止め)
味を見て塩分は醤油数滴で微調整。火を止めて3分置くと味がなじむ。
失敗しない3つのコツ
- 油は最小限+短時間:ベタつき防止。コーティング目的に徹する
- 甘味先行→酒→醤油の順で入れる(浸透と香りを最適化)
- 唐辛子は“香り出しだけ”:煮込みは外して辛味暴走を防ぐ
保存方法
- 冷蔵:密閉容器で2〜3日。粗熱はバットで薄く広げて急冷。
- 冷凍:不可(解凍で食感崩れ・皮硬化)。
- 弁当:煮汁を軽く切り、完全に冷ましてから詰める。
相性の良い料理
- 主菜:鯖の塩焼き/豚の生姜焼き(甘辛×塩味でご飯が進む)
- 汁物:豆腐とわかめの味噌汁(塩味の重なりをやさしく)
- ご飯:白飯/麦ごはん(香りと甘辛に合う)
旬と豆知識
茄子の旬は初夏〜秋(地域差あり)。
皮目の浅い切れ目は、味の染み・皮の噛み切りやすさ・見た目の“てり筋”の三拍子効果。

現役和食調理師のヒント
田舎煮は“素朴”が持ち味。甘味を先に入れて芯まで含ませ、酒でやわらかく煮る。
落し蓋で静かに煮含め、火を止めてからの“ひと呼吸”で味が決まる。
失敗の原因と解決法
| 失敗 | 原因 | 解決方法 |
|---|---|---|
| 柔らかすぎ・崩れ | 炒め過ぎ+煮過ぎ | 炒めは“油が回るまで”。煮込みは弱火5〜10分で止める |
| 皮が硬い | 下処理不足/強火過多 | 1%塩水にさらす。加熱は中火→弱火へ |
| 味が薄い | 調味の順序ミス | 砂糖→みりん→酒→醤油の順。火止め後になじませ時間 |
| 味が濃い | 煮詰め過多 | 水または酒を少量足し、ひと煮で調整 |
| ベタつく | 油入れ過ぎ | 油は大さじ2〜3で開始。追加しない |
| 焦げた | 強火放置 | 直ちに別鍋へ移し、焦げ部を除去。以後弱火&混ぜ |
