鯛(たい)の旬・特徴・相性の良い食材|現役和食調理師が解説

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鯛の旬はいつ?
どの料理が一番美味しい?
英語で鯛って何て言うの?

鯛は見た目の華やかさと上品な味わいから、日本料理に欠かせない高級魚。祝い事やおもてなしの席でよく使われ、刺身から塩焼き、煮付けまで幅広い料理に活躍します。この記事では、旬の時期や特徴、相性の良い食材と調理法、そして英語表記「Sea bream」まで詳しく解説します。

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鯛の旬

鯛(真鯛)の旬は、天然物が春(3〜5月)、養殖物は秋〜冬が美味しい時期です。
まずは全国的な基準として、この時期が旨味のピークとされています。


天然・養殖の違い

  • 天然真鯛:春の産卵前が旨味のピーク。桜の咲く時期に獲れる「桜鯛」は特に美味。
  • 養殖真鯛:通年安定して流通。特に秋〜冬は水温低下で身が締まり、脂のりも良くなる。

天然物

養殖物

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

地域による旬の違い

地域や水温によって、旬の時期が少し前後します。

  • 九州沿岸:水温が高めのため、冬〜春にかけて味が良くなる
  • 瀬戸内海:春と秋の2回、味がのる時期がある
  • 北海道南部:夏場が漁のピークで、比較的味が安定
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

春の桜鯛は皮目を香ばしく焼くと、上品な香りと脂が引き立ちます。養殖鯛は脂がしっかりあるので、刺身やカルパッチョにすると旨味が活きます。

鯛とは ~特徴と味わい~

鯛

鯛(たい)はスズキ目タイ科の魚で、日本では特に真鯛(まだい/学名 Pagrus major)を指すことが多く、姿・色・味ともに“魚の王様”と称されます。体長は成魚で40〜60cmほど、長寿で10年以上生きる個体も珍しくありません。

特徴

  • 色合い:体は淡い赤色で、背は赤みがかった金色、腹は銀白色に輝く
  • 体型:体高があり、やや丸みを帯びた美しいシルエット
  • 生息域:北海道南部以南〜九州沿岸までの広い海域に分布し、岩礁や砂地の沿岸域に生息
  • 寿命:長寿で成長がゆるやか。大きくなるほど味わいも増す

味わいと料理の特徴

  • 白身魚の王様と呼ばれる上品な甘みと旨味
  • 身質は締まりがあり、加熱してもふっくら柔らかい
  • 刺身、塩焼き、煮付け、蒸し物、鯛めしなど、和洋中すべての料理に適応
  • 皮目に強い旨味があり、湯引きや皮付き焼きで香りが際立つ

他の鯛類との違い

一般に真鯛は祝い事や高級料理に使われることが多く、希少性と味の良さで別格とされる
真鯛以外にも、チダイ、キダイ、クロダイなどが「鯛」と呼ばれるが、味や旬は異なる

  • 名前の一部に「〇〇タイ」と名の付く鯛は300種類を超える
  • スズキ目スズキ亜目タイ科に含まれる近縁の魚は13種類しかいない
  • 養殖はおいしくないというのは昔の話。今は天然物と比較しても違いが分からない程においしい
  • 市場に出回る約75%は養殖
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現役和食調理師のヒント

真鯛は刺身ならほんのり甘く、焼くと皮目の香ばしさが引き立ちます。皮を引かずに湯引きすると、身の甘みと皮の旨味を両方楽しめます。

鯛の地方名

真鯛は日本各地で漁獲され、地域や大きさ、季節によってさまざまな呼び名があります。

呼び名主な地域補足・由来
カツラダイ関西地方頭部の形が兜(かつら)をかぶったように見えることから
サクラダイ全国(特に春の漁期)桜の咲く時期に獲れる真鯛。産卵前で旨味が増す
ウオジマノタイ石川県七尾湾周辺能登半島の漁港・魚島(ウオジマ)で水揚げされた真鯛
ホンダイ九州地方真鯛を区別して呼ぶ際の一般的な地方名
ホンダチ四国・九州「ホンダイ」と同義で、地域なまりによる呼び方
オオダイ全国体長の大きな真鯛を指す呼称
シバダイ四国南西部小型の真鯛や若魚を指す地方名
カスゴ関西・瀬戸内体長15cm前後の若い真鯛の呼び名。酢締めや焼き物に利用

鯛の目利き(鮮度の見分け方)

目が澄んでいるものを選ぶ
新鮮な鯛は黒目がはっきりしていて、白く濁っていない。
濁っている場合は時間が経っているサイン。

体表の色が鮮やか
真鯛は赤みが濃く、輝きがあるものが良品。
くすんだ色や黒ずみは鮮度低下の兆候。

身に張りと弾力がある
指で軽く押すとすぐに戻る弾力があるもの。
だらんと柔らかいものは鮮度が落ちている。

エラが鮮紅色
エラ蓋を開けて、中が鮮やかな赤色であること。
茶色やくすんだ赤は鮮度低下の証拠。

腹がきれいで破れていない
内臓の劣化や臭みの広がりを防ぐため、腹がしっかりしているものを選ぶ。

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現役和食調理師のヒント

春の桜鯛は特に色が鮮やかで見分けやすいです。焼き物用なら皮目の赤が濃いものを、刺身用なら身の透明感があるものを選ぶと間違いありません。

タイ科近縁の鯛 13種

★スズキ目タイ科マダイ亜科(4種)
真鯛(マダイ)
台湾鯛(タイワンダイ)
血鯛(チダイ)
鰭小鯛(ヒレコダイ)

★スズキ目タイ科キダイ亜科(3種)
星連子(ホシレンコ)
黄鯛(キダイ)
黄鰭赤連子(キビレアカレンコ)

★スズキ目タイ科ヘダイ亜科(6種)
平鯛(ヘダイ)
黒鯛(クロダイ)
黄茅渟(キチヌ)
南洋茅渟(ナンヨウキチヌ)
南黒鯛(ミナミクロダイ)
豪州真鯛(オーストラリアキチヌ)(オキナワチヌ)

鯛と相性の良い食材

食材組み合わせの理由・使い方例
昆布昆布締めで旨味を倍増し、刺身や寿司に最適
柚子
すだち
焼き物や蒸し物に香りと酸味を添え、後味さっぱり
素材の旨味を引き立て、塩焼きや塩釜焼きに
醤油刺身や煮付けに合わせて旨味を強化
下味や蒸し物で風味を加え、身をふっくら仕上げる
生姜煮付けやあら炊きで臭み消しと香味付け
味噌西京漬けや煮物でコクをプラス
菜の花春の鯛と合わせると季節感が出る

おかみさんの一言

鯛は上品な白身だから、シンプルな塩や柑橘で味わうのが一番。春なら菜の花を添えて、お皿の上まで季節を感じさせたいわね。

鯛に合う調理法

調理法おすすめ度理由
刺身上品な甘みと旨味をそのまま味わえる
塩焼き皮目の香ばしさと身のふっくら感が引き立つ
煮付け甘辛い味がしみ込み、ご飯に合う
蒸し物酒蒸しや茶碗蒸しで旨味が凝縮
西京漬け味噌の風味で旨味とコクをプラス
鯛めし出汁と一緒に炊き込むことで香りと旨味が米に広がる
カルパッチョオリーブオイルや柑橘で爽やかに味わえる

おかみさんの一言

鯛はどんな調理法でも美味しいけど、やっぱり塩焼きと鯛めしは外せないわね。香りが立った瞬間に“あぁ、これぞごちそう”ってなるのよ。

鯛の栄養素(食品成分表)

まだい 養殖 (皮つき)
可食部100g当たり

栄養素焼き単位
廃棄率3555%
エネルギー186160
水分63.868.5g
タンパク質22.720.9g
脂質12.09.4g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.10.1g
ナトリウム5552
カリウム500450
カルシウム2412
マグネシウム3232
リン260240
0.20.2
亜鉛0.50.5
0.020.02
マンガン0.01
ヨウ素86
セレン4636
クロム1
モリブデン
ビタミンA(レチノール)1711
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD5.67.0
ビタミンE(トコフェロールα)4.62.4
ビタミンK
ビタミンB10.140.32
ビタミンB20.090.08
ナイアシン6.35.6
ビタミンB60.320.40
ビタミンB122.61.5
葉酸34
パントテン酸1.251.34
ビオチン9.47.7
ビタミンC33
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

おかみさんの一言

たんぱく質がしっかりあって、脂は控えめ。しかもビタミンB群やカリウム、マグネシウムなんかのミネラルも入ってるから、疲れやすいときや体を整えたいときにぴったり。

鯛の英語・漢字表記

  • 漢字表記:鯛
  • 英語表記:Sea bream(シー ブリーム)
  • 発音記号:[ˈsiː ˌbriːm]

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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