大根と厚揚げの煮物|プロが教える“よくわかるレシピ”

よくわかるレシピ

じっくり煮込んだ大根に、厚揚げの旨味がじんわり染みる「大根と厚揚げの煮物」。
かつお節の香りと柚子の爽やかな風味が広がる、冬にぴったりの和食です。

「大根が硬い」
「味が染みない」
「厚揚げにスが入る」

といった失敗も多い料理。
その原因は、下ごしらえと火加減の見極めにあります。

プロの結論は――
👉 「下茹でした大根を使い、弱火でゆっくり含める」。

そうすることで、出汁が濁らず、ふっくらとした煮物に仕上がります。
最後に刻み柚子を添えれば、香り高く上品な一皿に。

よくある失敗と原因

  • 大根が硬い → 下茹で不足・煮込み時間が短い
  • 厚揚げがスカスカ → 強火で加熱しすぎ
  • 味が染みない → 煮汁が多すぎる or 時間不足
  • 焦げる → 落とし蓋なしで加熱
  • 香りが弱い → かつお節や柚子を加えるタイミングが遅い

材料

材料分量役割
大根約300g主素材。下茹でして柔らかくする
厚揚げ1枚ボリュームとコクを加える
鷹の爪1本下茹で時の臭み消し・殺菌効果
かつお節適量出汁と香りを深める
柚子適量仕上げの香り付け(天盛り用)
調味料分量割合役割
出汁500cc10全体の旨味ベース
薄口醤油50cc1色を保ちながら味を整える
みりん50cc1甘味と照りを与える

下処理

  • 大根:3cm厚の輪切り→皮を厚めに剥き、半月切りに。
     米のとぎ汁+鷹の爪を入れた鍋で下茹でし、竹串がスッと通るまで(約15分)。
     → 茹で上がったら水にさらしてぬか臭さを取る。
  • 厚揚げ:熱湯をかけて油抜きし、4cm角に切る(油抜きで味が染みやすくなる)。
  • 柚子:表面の黄色い皮だけを千切りに(白い部分は苦味が強い)。

作り方

  1. 鍋に材料を並べる(中火前)
    下ごしらえした大根と厚揚げを鍋に入れる。
    調味料を合わせて注ぎ、材料が被る程度の高さにする。
    キッチンペーパーをかぶせ、上にかつお節をのせて落とし蓋をする。
    🔸 合図:「煮汁が軽く湧いて、泡が静かに立つ」状態で次へ。
  2. 火を入れる(中火〜弱火)
    中火で沸かし、沸騰したらすぐに弱火へ。
    🔸 注意:強火で炊くと厚揚げにスが入り、食感が悪くなる。
    味を見ながら約10〜15分ほど煮る。
  3. 仕上げ(火を止めるタイミング)
    煮汁が半分以下になり、大根が淡い飴色になったら火を止める。
    盛り付けの直前に、刻み柚子を天盛りにして香りを添える。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

大根は「下茹でで香りを抜き、煮汁で旨味を入れる」ことが大切。焦らず弱火でコトコト、鍋の中で“静かに踊る泡”を保つのが合図です。


失敗しない3つのコツ

  • 大根は米のとぎ汁+鷹の爪で下茹でする(臭みを除く)
  • 煮るときは弱火でコトコト(厚揚げにスが入らない)
  • かつお節は煮る段階で入れる(香りを移すため)

保存方法

  • 冷蔵保存:密閉容器に入れ、2〜3日が目安。温め直すときは煮汁を足して弱火で。
  • 冷凍保存:汁ごと小分けにして約2週間。自然解凍後は再加熱で味を戻す。
  • お弁当活用:汁気をしっかり切れば崩れにくく、冷めてもおいしい。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鯖の味噌煮鶏もも照り焼き
  • 副菜:ほうれん草のごま和え里芋の土佐煮
  • 汁物:味噌汁(豆腐+わかめ)

旬と豆知識

大根の旬は冬(11〜2月)。甘味と水分が増し、煮物に最適です。
厚揚げは年間通して使いやすく、タンパク質とカルシウムを補えます。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】【大根の上手な使い方】へ。


現役和食調理師のひと言

大根は「茹でで香りを抜き、煮て味を入れる」が基本。
焦らず弱火で火を通すことで、出汁の旨味が芯まで染み込みます。
最後に添える柚子が、料理全体を一段上の香りへ引き上げてくれます。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

煮物は“火を入れる”より“味を含ませる”料理です。大根の甘味と厚揚げのコクが引き立つよう、火加減と時間を見極めましょう。出汁を吸い込んだ瞬間こそが、和食の真髄です。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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