白愚痴(しろぐち)とは?旬・特徴・食べ方を調理師が解説|英語名white croakerも紹介

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白愚痴(しろぐち)とはどんな魚?
旬の時期や味の特徴、どんな料理に合うの?
英語では「white croaker」と呼ばれるって本当?

白愚痴は上品でやさしい味わいが魅力の白身魚で、塩焼きや煮付け、吸い物など和食によく使われます。鮮度が落ちやすいため、旬の時期にしっかりと選ぶことが美味しさのポイントです。

この記事では、白愚痴の旬・特徴・目利き・相性の良い食材・おすすめ調理法・栄養素・英語表記(white croaker)まで、調理師の視点でわかりやすく解説します。

初めて扱う方も、食卓に取り入れたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

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白愚痴の旬~おいしい時期~

しろぐち

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

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初夏:鮮度が良く刺身に最適。産卵前のふっくらした身と卵巣が楽しめます。
:脂がのり、塩焼き・煮付け・昆布締めで凝縮された旨さを感じられます。

白愚痴とは ~特徴と味わい~

白愚痴(しろぐち)は、スズキ目ニベ科ニベ属に分類される海水魚で、体長はおよそ30~40cm。銀白色の細長い体を持ち、水揚げ直後はうっすら赤みを帯びた透明感のある身をしています。
関西では「グチ」、英語では white croaker(ホワイトクローカー) と呼ばれます。


名前の由来
「グチ(愚痴)」という名は、口を動かして「グーグー」と音を出す習性に由来します。近縁種の「ニベ」や「イシモチ」も同じように鳴く性質があり、これらは「鳴き魚」として知られています。


味わいと特徴
白愚痴はクセのない上品な白身で、身質は柔らかく、加熱しても硬くなりにくいのが特徴です。
旬の時期にはほどよく脂がのり、ほのかな甘みと旨味が感じられます。
塩焼き・煮付け・唐揚げ・酒蒸し・吸い物など、さまざまな調理法に向く万能魚です。特に吸い物では上品な出汁が出て、淡白ながら深みのある味わいを楽しめます。


市場での扱いと用途
年間を通して流通しており、比較的安価で入手しやすい魚ですが、鮮度が落ちやすいため、購入後は早めの調理がおすすめです。
また、水分が多く練り製品に適していることから、ちくわ・かまぼこなどの原料魚としても使われます。練り製品の材料としては品質が高く、価値のある魚とされています。


まとめ

  • 分類:スズキ目ニベ科ニベ属
  • 英語名:white croaker
  • 特徴:銀白色の細長い体、柔らかい白身
  • 味わい:淡白で上品、脂がのると甘みが増す
  • 調理法:塩焼き・煮付け・唐揚げ・吸い物・酒蒸し
  • 注意点:鮮度が落ちやすい、購入後は早めに調理
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白愚痴は煮崩れしにくく、出汁がよく出るため、吸い物・煮物・酒蒸しに最適です。

白愚痴の地方名

白愚痴(しろぐち)は、日本各地で水揚げされている魚ですが、地方によって呼び名が異なることがあります。特に、近縁種や混同されがちな魚(ニベやイシモチ)と同じ扱いをされることもあります。

地域呼び名・特徴
関西地方グチ、シログチ
四国地方ニベ(混称されやすい)
九州地方アカグチ(赤みがかった体色の個体)
瀬戸内海周辺イシモチ(本来は別種だが混称されがち)
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市場では「グチ」や「アカグチ」と表記されることもありますが、いずれもやわらかく淡白な白身で、調理法は同じように扱えます。地魚として地元の料亭で使われることも多い魚です。

白愚痴の目利き

白愚痴は鮮度が落ちると身がやわらかくなりやすく、刺身や焼き物には不向きになります。以下のポイントを参考に、鮮度のよいものを選びましょう。

項目見分け方
黒目がはっきりして透明感があるもの
体色銀白色にツヤがあり、全体にハリがあるもの
エラ鮮やかな赤色で、ぬめりやくすみがないもの
身の弾力指で押してすぐ戻る、ふっくらした弾力のあるもの
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白愚痴は身がやわらかい分、鮮度の差が味に直結します。刺身や昆布締めで食べる場合は「透明感」「目の澄み具合」「ハリのある身」をしっかりチェックしましょう。

白愚痴と相性の良い食材

白愚痴はクセが少なく上品な白身魚なので、香味野菜や酸味、旨味のある出汁素材とよく合います。

食材組み合わせの理由・使い方例
しょうが煮付けや酒蒸しに加えると臭み消し+香りづけに効果的
昆布昆布締めにすることで旨味を引き出し、刺身にも最適
大根煮付けにすると味が染み込み、白身の旨味を引き立てる
すだち
かぼす
焼き物に添えるとさっぱりとした後味に
長ねぎ酒蒸しや煮物に添えると甘みが増し相性抜群
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淡白な魚は薬味や香味野菜が決め手。昆布締めにしてから刺身にすると、ねっとりとした旨味が加わって一段上の味わいに仕上がります。

白愚痴に合う調理法

白愚痴は加熱してもパサつきにくく、柔らかさを保てるため、焼き・煮付け・揚げ物まで幅広い料理に活用できます。

調理法おすすめ度理由
塩焼き 脂がのった旬の身をシンプルに味わえる定番料理
煮付け 甘辛い味付けが身に染み込み、ご飯のおかずにぴったり
唐揚げ 小型のものを丸ごと揚げれば骨まで食べやすい
酒蒸し 出汁の旨味とやわらかい身の相性がよい
刺身 鮮度が非常に良ければ可能。昆布締めがおすすめ
酢の物 酸味との相性があまりよくなく、食感もやや弱い
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塩焼きにする際は、強火で皮目をパリッと焼くと脂が活きて美味。煮付けには、下処理で熱湯をかけてから煮ると臭みが出にくくなります。

ぐちの栄養素(食品成分表)

白愚痴(しろぐち)は、高たんぱく・低脂質の白身魚で、消化吸収がよく、年齢を問わず食べやすいのが特徴です。特にビタミンB12やDHA・EPAなど、魚ならではの栄養素を含んでおり、健康的な食事にも適しています。

ぐち
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率60%
エネルギー78
水分80.1g
タンパク質18.0g
脂質0.8g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム95
カリウム260
カルシウム37
マグネシウム28
リン140
0.4
亜鉛0.6
0.03
マンガン0.01
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)5
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD2.9
ビタミンE(トコフェロールα)0.5
ビタミンK
ビタミンB10.04
ビタミンB20.28
ナイアシン2.8
ビタミンB60.18
ビタミンB122.5
葉酸6
パントテン酸0.46
ビオチン
ビタミンC
  • タンパク質:18.0 g
     白身魚として高水準の良質たんぱく。
  • ビタミンD:2.9 µg
     骨の健康に関与。魚類の中でもしっかり多め。
  • ビタミンB2:0.28 mg
     エネルギー代謝を助ける。白身魚としてはやや高い。
  • ビタミンB12:2.5 µg
     神経・造血に必須。魚介類らしく豊富。
  • カリウム:260 mg
     体内の塩分バランス調整に。魚類として標準〜やや多め。


補足:脂質は0.8 gとごく少なく、総じて「高たんぱく・低脂質」のヘルシーな白身魚です。リン(140 mg)やマグネシウム(28 mg)もほどよく含みます。

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

白愚痴の英語・漢字表記

項目表記
漢字表記白愚痴(しろぐち)
英語名White croaker
発音記号[waɪt ˈkroʊkər]
カタカナ表記ホワイト・クローカー

🔎 補足:
「croaker」は「グーグー鳴く魚」という意味で、実際に鳴き声を発することから名づけられています。「white croaker」は米国やアジアの英語資料で使われる表現で、日本の“しろぐち”もこの系統に含まれます。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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