牛肉の「肩バラ(ブリスケット)」は、旨味と脂のコクが深い赤身部位です。スジや脂肪が多い一方で、煮込みやスモークなど、時間をかけた調理に最適。海外では「Brisket(ブリスケット)」としてBBQやスモークに欠かせない人気部位です。
本記事では、調理師歴25年以上の筆者が、肩バラの特徴・適した料理・栄養・英語表記をわかりやすく解説します。
「牛肉の部位ごとの特徴を理解したい
「料理に活かしたい」
「赤身肉をおいしく使いたい」
という方にぴったりの内容です。
部位の知識を深めることで、牛肉全体の理解もぐっと広がり、料理の幅が広がります。牛肉の他の部位についても詳しく知りたい方は、下記のまとめもぜひご覧ください。
👉 【牛肉の部位一覧】特徴・おすすめ料理・使い分けを調理師が解説
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肩バラ(ブリスケット)とは ~部位の解説~

肩バラ(ブリスケット)は、牛の肩から胸の下部にかけて位置する部位で、脂肪と赤身が層になった濃厚な肉質が特徴です。
牛が歩く際に常に動かす部位のため、筋が発達して硬めですが、その分旨味とコクが非常に豊か。
ゆっくりと時間をかけて加熱すると、ゼラチン質がとろけてしっとり柔らかくなります。
部位の位置と特徴
- 牛の肩の下〜前脚上部に位置
- 運動量が多く、筋繊維が太く脂肪が多い
- スジが多く、コラーゲンが豊富
- じっくり加熱するととろけるような食感に
- 濃厚な味わいで、煮込み・スモーク・BBQに最適

現役和食調理師のヒント
肩バラは脂が多く、表面を湯引きして余分な脂を落とすと、より上品な味わいに。旨味が濃厚なため、赤ワイン煮込みや味噌煮などの濃い味付けとも相性抜群です。
肩バラの特徴まとめ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部位名 | 肩バラ(ブリスケット) |
| 英語表記 | Brisket |
| 位置 | 肩から胸の下部にかけて(前脚の上部) |
| 肉質 | 筋が多く硬め。赤身と脂肪が層状になっている |
| 味わい | 旨味とコクが濃厚。脂の甘みも強い |
| 特徴 | コラーゲンが豊富で、煮込みやスモークで柔らかくなる |
| 向く料理 | 煮込み(シチュー・角煮)、BBQ、スモーク、すき焼き、しゃぶしゃぶ |
| 栄養面 | 脂質・エネルギー高め。たんぱく質・ビタミンB群も豊富 |

現役和食調理師のヒント
肩バラは、スジや脂をゆっくり加熱して旨味を引き出す料理に最適です。一度下ゆでして余分な脂を落としてから煮込むと、くどさが消え、コクだけが残ります。味の濃いソースや煮込み料理で、素材の力を最大限に引き出しましょう。
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松阪牛の「三角バラ」はきめ細やかな霜降りとコクのある味わいが特徴。
肩バラの細かい部位

肩バラ(Brisket)は、肩から胸の下部にかけて広がる大きな部位で、一般的に以下のような4つのサブパーツ(細かい部位)に分けられます。
三角バラ(チャックリブ/Chuck Rib)
- 位置:肩バラの上部(肩寄り)、肋骨の上あたり
- 形状:三角形に近い形
- 特徴:脂が入りやすく、見た目も美しい
- 肉質:適度にサシが入り柔らかい
- 味わい:風味豊かで濃厚
- 用途:焼肉の「カルビ」としてよく使われる
- ✅「バラ肉の中で最上級部位」と言われることも
🧑🍳:焼肉屋の「特上カルビ」はこの部位であることが多いです。
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ブリスケット・ポイント(Point / ペクラトル)
- 位置:肩バラの前方・先端部分
- 別名:ペクラトル(Pectoral)
- 特徴:赤身が多く、繊維がやや粗いが柔らかめ
- 味わい:濃厚な旨味、肉の風味が強い
- 用途:焼肉、たたき、ローストビーフ、煮込みにも適す
🧑🍳:アメリカでは“Point”と呼ばれ、BBQの「スモークブリスケット」に使われます。
ブリスケット・フラット(Flat / ボディーサイド)
- 位置:肩バラの中央~下部、前脚付け根寄り
- 特徴:筋肉質でやや硬め
- 味わい:たんぱくでコクがある
- 用途:煮込み・スモーク・シチュー・角煮
- 日本では「ブリスケ」として認知。代表的なブリスケット部位。
🧑🍳:時間をかけて加熱すると柔らかく、BBQ・シチュー・煮込みに最適です。
カタバラコブ(Deckle / Rib Cap)
- 位置:ブリスケットを覆うように上にのる細長い赤身
- 特徴:繊維が粗く、やや硬め
- サシ:入ることもあるが、脂身と筋が多い
- 用途:切り落とし・挽肉・煮込み用
- 肩バラの中でもあまり単体で流通しない部位。
🧑🍳:煮込みやカレーなどに混ぜると、旨味が出やすい部位です。
🧾 まとめ表
| 細かい部位名 | 特徴 | 向く料理 |
|---|---|---|
| 三角バラ | サシが入り柔らかく濃厚 | 焼肉 (特上カルビ) |
| ブリスケット・ポイント (ペクラトル) | 赤身多め・濃厚な味わい | 焼肉 ロースト たたき |
| ブリスケット・フラット (ボディーサイド) | 硬め・たんぱくなコク | 煮込み スモーク 角煮 |
| カタバラコブ | 細長い赤身、筋多め | 煮込み 挽肉 切り落とし |

現役和食調理師のヒント
肩バラは筋が多く硬めの部位ですが、部位ごとの特徴を理解して調理法を選ぶことがポイントです。たとえば、三角バラは焼肉に、ブリスケットは煮込みやスモークに。
肩バラに向く料理

肩バラ(ブリスケット)は、脂肪とコラーゲンが豊富で、時間をかけて煮込む料理やスモーク調理に最適です。部位によって肉質や味わいが異なるため、特徴に合わせて使い分けましょう。
| 細かい部位 | 向く料理 | 調理のポイント |
|---|---|---|
| 三角バラ (チャックリブ) | 焼肉(特上カルビ) すき焼き | 表面を香ばしく焼いて、脂の甘みを引き出す |
| ブリスケット・ポイント (ペクラトル) | 焼肉 たたき ローストビーフ | 中心まで火を通さず、ミディアム程度で仕上げるとしっとり |
| ブリスケット・フラット (ボディーサイド) | ビーフシチュー 角煮 BBQ スモーク | 低温で長時間煮込むことでゼラチン質がとろける |
| カタバラコブ(デッケル) | カレー 煮込み ハンバーグ | 圧力鍋やスロークッカーで柔らかく |
調理法別のおすすめ部位
| 調理法 | ポイント | 向く部位 |
|---|---|---|
| 煮込み料理 | コラーゲンが溶け、柔らかくジューシーに | ブリスケット・フラット カタバラコブ |
| スモーク BBQ | 脂がゆっくり溶けて旨味が凝縮 | ブリスケット・フラット |
| 焼肉 すき焼き | サシを活かした香ばしい風味 | 三角バラ ブリスケット・ポイント |
| たたき ローストビーフ | 赤身の旨味を活かす | ブリスケット・ポイント |
焼肉・すき焼き・しゃぶしゃぶに最適。
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肩バラと他の部位との違い

肩バラは「脂のコクと旨味」を活かした煮込み向きの部位ですが、似た位置にある肩ロースやトモバラ(一般的なバラ肉)とは、肉質や用途が異なります。調理法を選ぶことで、それぞれの部位をおいしく使い分けられます。
| 項目 | 肩バラ(Brisket) | 肩ロース(Chuck Roll) |
|---|---|---|
| 肉質 | 繊維が太く筋が多い。脂と赤身が層状 | きめ細かく柔らかい。適度なサシ |
| 味わい | コクと旨味が濃厚 | 肉の旨味+脂のバランスが良い |
| 特徴 | コラーゲン豊富で煮込み向き | 柔らかく焼き料理向き |
| 向く料理 | 煮込み シチュー 角煮、スモーク | すき焼き しゃぶしゃぶ ステーキ |
| 調理のコツ | 長時間加熱でスジを柔らかく | 短時間加熱でも柔らかく仕上がる |

現役和食調理師のヒント
肩バラは煮込みで真価を発揮。シチュー・角煮・味噌煮込みにおすすめ。
肩ロースは万能部位。焼き・煮込み・しゃぶしゃぶなど幅広く活躍。
肩バラの栄養素(参考:牛ばら肉)
文部科学省が公開している「日本食品標準成分表(八訂)」には、「肩バラ」という項目は存在しません。そのため、この記事では、性質が最も近い「牛ばら肉(脂身つき)」の栄養成分を参考として掲載しています。
和牛肉 ばら 脂身付 生
可食部100gあたり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 472 | ㎉ |
| 水分 | 38.4 | g |
| タンパク質 | 11.0 | g |
| 脂質 | 50.0 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 44 | ㎎ |
| カリウム | 160 | ㎎ |
| カルシウム | 4 | ㎎ |
| マグネシウム | 10 | ㎎ |
| リン | 87 | ㎎ |
| 鉄 | 1.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 3.0 | ㎎ |
| 銅 | 0.09 | ㎎ |
| マンガン | – | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 3 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンK | 16 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.11 | ㎎ |
| ナイアシン | 3.1 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.16 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.2 | ㎍ |
| 葉酸 | 2 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.74 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
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肩バラの英語・漢字表記

肩バラは英語で “Brisket(ブリスケット)” と呼ばれます。
「Brisket」はもともと英語で「胸の肉」「あばらの下側」を意味し、牛肉の中でも肩から胸の下部にかけての脂と筋の多い部位を指します。海外では、特にアメリカ南部のBBQ料理で人気の部位として知られています。
| 表記項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | 肩バラ |
| 英語表記 | Brisket |
| 英語発音 | /brískit/(ブリスキット) |
海外のメニューやレシピでは、部位名が英語で表記されていることも多くあります。
👉 【英語一覧】牛肉・豚肉・鶏肉の部位の名前まとめ で、主要な部位の英語表記を一覧で確認できます。
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