蕗(ふき)とは?栄養・あく抜き・保存方法まで徹底解説【調理師監修】

蕗(ふき)春の野菜の隠れた健康メリットと使い方 TOP
TOP » 野菜 » 蕗(ふき)とは?栄養・あく抜き・保存方法まで徹底解説【調理師監修】

蕗(ふき)のあく抜きはどうやるの?
栄養にはどんな特徴があるの?

春の山菜として親しまれる蕗は、独特の香りと食感が魅力ですが、強いアクがあるため下ごしらえが欠かせません。正しいあく抜きをすれば、煮物や和え物などで香り高い味わいを楽しめます。
この記事では、蕗の旬の時期、栄養成分、あく抜きの手順や保存方法までを調理師がわかりやすく解説します。

※本記事には広告が表示されます。

蕗の旬 ~おいしい時期~

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

蕗(ふき)は春の訪れを告げる山菜として親しまれています。
特に香りが高く、やわらかいのは「春先〜初夏」にかけての時期です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

和食の調理師として、春のふきの香りは格別に感じます。
煮物やおひたしにすると、季節の恵みを実感できますよ。

蕗とは~解説~

  • 生命力が強く、雪の下でも地下茎で冬を越す
  • 春になると「花穂」が出る。これが「蕗の薹」である

蕗(ふき)は、キク科フキ属の多年草で、独特の香りとほろ苦さを持つ春の山菜です。食用として利用される部分は、葉が開く前の「葉柄(ようへい/茎のような部分)」で、日本では古くから煮物や佃煮として親しまれています。

蕗の特徴

  • 見た目:淡い緑色で筋が多く、長さ30〜60cmほど
  • 香りと風味:鼻に抜ける爽やかな香りと、軽い苦味
  • 旬の時期:春(3月〜5月)
  • 用途:煮物、炒め物、ふき味噌、炊き込みご飯など

栽培と歴史

ふきは日本原産の山菜のひとつで、平安時代の文献にも登場します。現在では野生の「野ふき」だけでなく、愛知早生ふきなどの栽培品種も多く出回っており、家庭でも広く利用されています。

蕗について|一問一答

Q
蕗は多年草ですか?
A

はい。キク科フキ属の多年草です

Q
蕗は生で食べれますか?
A

食べれません。
生で大量に食べることは健康に害を及ぼす恐れがあり危険です
しっかりとアク抜きしましょう

Q
「蕗」と「ふきのとう」との関係は?
A

葉柄の部分を「蕗」
花蕾の部分を「ふきのとう」
※花蕾= 株の中心や先端にできるつぼみ

Q
蕗に毒はありますか?
A

はい。ピロリジジンアルカロイド類という天然毒を含んでいます

Q
ツワブキと蕗の違いは?
A

フキ(蕗)」キク科フキ属
ツワブキ(石蕗)」キク科ツワブキ属

あく抜き ~下ごしらえ~

蕗はそのままではえぐみや苦味が強いため、アク抜きが欠かせない食材です。下ごしらえの丁寧さで、仕上がりの味わいが大きく変わります。

蕗の基本的なアク抜き方法

① 蕗を切る
 ・鍋に入る長さ(30〜40cm)にカットします。
 ・太さが均一になるようにすると火の通りも揃います。

② 板ずりをする
 ・まな板の上で、塩をふって転がすことで繊維がやわらかくなり、色もよくなります。
 (両手でゴロゴロ転がすイメージ)

③ 茹でる
 ・たっぷりの湯で2~3分ほど茹でる(太さや鮮度により調整)
 ・シャキッとした食感を残すには茹ですぎないことがポイント

④ 冷水にとる
 ・すぐに冷水に取り、アクを抜きながら粗熱を取ります。

⑤ 筋を取る
 ・端から皮をむくように、筋をピーッと引く。数本まとめて作業すると時短に。

詳しいアク抜き方法と毒についてはコチラ

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

板ずりと冷水への取り方は、ふきの風味を引き立てるコツです。
煮物に使うときは、下味をしっかり入れて炊きましょう。

蕗の保存方法

蕗は水分が多く傷みやすい野菜のため、状態に応じた保存が大切です。下処理の有無によって保存期間も変わるので、用途に合わせて使い分けましょう。

生のまま保存する場合

  • 保存方法: 乾燥を防ぐために湿らせた新聞紙に包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室
  • 保存期間: 2〜3日以内がおすすめ
    ※時間が経つと筋っぽくなり、香りや食感が落ちていきます。

茹でてから保存する場合(おすすめ)

  • 保存方法: アク抜きをしてから水にさらし、水ごとタッパー等に入れて冷蔵保存
  • 保存期間: 毎日水を替えながら3〜4日程度保存可能
    ※すぐ使える状態なので、お浸しや煮物に便利。

冷凍保存も可能(長期保存向け)

  • 手順:
     1. アク抜き後、食べやすい長さにカット
     2. 水気をよく切り、ラップに包んで冷凍用保存袋へ
  • 保存期間: 約1ヶ月
  • 解凍方法: 凍ったまま煮物や汁物に使うのがおすすめ
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

茹でて冷凍した蕗は少し柔らかくなりますが、煮物や炊き込みご飯に使うときには味の染み込みが良くなり、むしろ重宝します。

主な品種群

  • 水蕗
  • 山蕗
  • 秋田ふき
  • 愛知早生ふき

蕗と相性の良い食べ合わせ

蕗はさわやかな香りとほろ苦さが特徴の春野菜。煮物や和え物、炊き込みご飯などで季節の味覚を引き立てます。以下は、調理師歴25年以上の視点からおすすめする相性の良い食材です。

相性の良い食材例

食材料理名解説
油揚げ蕗と油揚げの煮物油のコクで苦味が和らぎ、旨味が増す定番の組み合わせ。
鰹節蕗のおひたしさっと茹でた蕗に鰹節をかけるだけでも上品な一品に。
鶏肉蕗と鶏の煮物鶏の旨味が蕗に染み込み、食感のコントラストも楽しめます。
味噌ふき味噌山椒や実ふきを刻み、甘めの味噌と合わせた春のご飯のお供。
米(ごはん)蕗の炊き込みご飯季節の香りを閉じ込めた一品。出汁と一緒に炊くと絶品です。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

蕗の「ほろ苦さ」は油・出汁・発酵調味料と非常に相性が良いです。特に「味噌+実ふき」は春らしい保存食としてもおすすめですよ。

蕗(ふき)の栄養素|食品成分表

ふき 葉柄 (ゆで)
可食部100g当たり

栄養素茹で単位
廃棄率10%
エネルギー7
水分97.4g
タンパク質0.3g
脂質g
食物繊維(総量)1.1g
炭水化物1.9g
ナトリウム22
カリウム230
カルシウム34
マグネシウム5
リン15
0.1
亜鉛0.2
0.05
マンガン0.37
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)60
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.2
ビタミンK5
ビタミンB1
ビタミンB20.01
ナイアシン0.1
ビタミンB60.08
ビタミンB12
葉酸9
パントテン酸
ビオチン
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

蕗の漢字・英語表記

  • 漢字表記:蕗
  • ひらがな:ふき
  • 英語表記:Butterbur(バターバー)
  • 学名Petasites japonicus

英語での使われ方と注意点
「Butterbur(バターバー)」は、ふき全般を指す英語名で、特に日本のふきは Japanese butterbur とも呼ばれます。欧米ではハーブや観賞植物として知られ、食用としての利用は一般的ではありません。

あわせて読みたい

芥子菜の特徴ー健康にいい日本野菜の使い方
春菊 しゅんぎく(Garland chrysanthemum)
冬瓜の魅力を探る―特徴・栄養・そしておいしい食べ方

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

プロフィールを見る

タイトルとURLをコピーしました