トマトとは?蕃茄の意味から栄養・保存法まで|調理師が徹底解説

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トマトは、漢字で「蕃茄(ばんか)」とも書かれる身近な食材です。

「蕃茄ってどんな意味?」
「トマトは野菜なの?果物なの?」

と疑問に思ったことはありませんか。
答えは「蕃」は「外来・外国の・異国の」という意味、「茄」は「ナス科の植物・茄子」を指す字。トマトはナス科に属することから、「蕃茄」は“外来の茄子”という意味合いで用いられた。

本記事では、調理師歴25年以上の視点から、トマトの旬や味の特徴、栄養価、保存方法までをわかりやすく解説します。料理に活かせる相性の良い食材や、代表的な品種の違いも紹介しているので、日々の献立づくりに役立ちますよ。

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トマトの旬

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

トマトとは?~解説~

トマト
  • トマトはナス科ナス属の果菜類で、原産地は南アメリカのアンデス高地とされています。
  • 日本には江戸時代初期に観賞用として伝わり、食用として広まったのは明治以降です。
  • 漢字で「唐柿(とうし)、赤茄子(あかなす)、蕃茄(ばんか)、小金瓜(こがねうり)、珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)と表記される
  • イタリア語では「pomodoro」(ポモドーロ)と呼ばれる
  • 「蕃」は「外来・外国の・異国の」という意味、「茄」は「ナス科の植物・茄子」を指す字。トマトはナス科に属することから、「蕃茄」は“外来の茄子”という意味合いで用いられた。
  • 蕃茄は明治時代など比較的近代に日本で使われ始めた表現。新聞や文献で“洋名トマト、和名アカナス”などの記述とともに「蕃茄」が登場します。

トマトは野菜?果物?
植物学的には果物(果実)ですが、栄養学や料理の分類では「野菜」として扱われるのが一般的です。欧米でも“fruit or vegetable?”という話題はよくあり、アメリカの裁判で「野菜」として扱うと判断された歴史もあります(1893年、Nix v. Hedden事件)。


味の特徴と用途

  • トマトの味は甘味・酸味・うま味のバランスが特徴で、特にグルタミン酸が豊富。
  • 生食のほか、加熱によって甘味とうま味が凝縮され、煮込み料理やソースに最適です。
  • 魚や肉の臭みを消し、うまみを引き出してくれる
  • 世界中で広く利用され、和食にも「冷やしトマト」「トマトの煮浸し」などで親しまれています。

健康イメージと栄養価
リコピン・ビタミンC・カリウムなどの栄養素を含み、「健康によい野菜」の代表格として人気。
近年では機能性表示食品としての品種や、糖度の高い「フルーツトマト」なども登場しています。

見た目
果実の形は球形、やや扁平なもの、細長い品種など多様
色は一般的な赤に加え、オレンジ、黄色、緑、紫、黒みがかった色なども。
表面はつやがあり、熟すほどに色味が濃くなります。

味わい
甘味・酸味・うま味のバランスがよく、加熱すると甘みとコクがさらに引き立ちます。
フルーツトマトなどの品種は糖度が高くデザート感覚でも食べられる。

食感
種まわりはみずみずしく、果肉はやわらかくて弾力がある。
熟したものはジューシーで舌触りがなめらか、未熟なものはやや固めで酸味が強い。


現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

トマトは生・焼く・煮る・漬けるなどどんな調理法にも向く万能選手。加熱することで栄養吸収率もアップするので、炒め物や煮込み料理にもおすすめです。

トマトと相性の良い食材

トマトはその酸味・甘味・うま味が幅広い食材とマッチし、和洋中問わず活躍する万能野菜です。以下は、栄養や風味の相乗効果が期待できる組み合わせです。


食材相性・ポイント
鶏肉
豚肉
牛肉
煮込みや炒め物に。トマトの酸味が肉の旨みを引き立てる。
オムレツや炒め物に。トマトの酸味が卵のコクを引き締める。
豆腐
チーズ
冷ややっこやカプレーゼなど、さっぱり×濃厚の好相性。
バジル
紫蘇
香りの相乗効果でフレッシュさアップ。
玉ねぎ
ナス
ピーマン
ズッキーニ
一緒に煮込めばラタトゥイユに。
きゅうり
アボカド
サラダで彩り・食感のバランスが◎
オリーブオイル
バター
リコピンの吸収率を高めてくれる。
にんにく
生姜
味噌
うま味や風味を引き出し、炒め物にぴったり。

ポン酢
バルサミコ酢
酸味×酸味でも後味がさっぱりとまとまる。

🥩 たんぱく質と相性抜群

  • 鶏肉・豚肉・牛肉・ひき肉:煮込みや炒め物に。トマトの酸味が肉の旨みを引き立てる。
  • :オムレツや炒め物に。トマトの酸味が卵のコクを引き締めます。
  • 豆腐・チーズ:冷ややっこやカプレーゼなど、さっぱり×濃厚の好相性。

🌿 野菜との相性

  • バジル・しそ:香りの相乗効果でフレッシュさアップ。
  • 玉ねぎ・ナス・ピーマン・ズッキーニ:トマトと一緒に煮込めばラタトゥイユに。
  • きゅうり・アボカド:サラダでの彩り・食感のバランスが◎

🫒 調味料・オイル類

  • オリーブオイル・バター:リコピンの吸収率を高めてくれる。
  • にんにく・しょうが・味噌:うま味や風味を引き出し、炒め物にもぴったり。
  • 酢・ポン酢・バルサミコ酢:酸味×酸味でも後味がさっぱりとまとまる。
    プチトマトのワイン漬け

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現役和食調理師のヒント

トマトは「酸・甘・うま味」のバランスが絶妙。淡泊な食材には旨味を、濃い味にはさっぱり感を。料理全体をまとめる力がある、まさに「名脇役」です。

トマトの保存方法

  • 完熟トマト(赤く熟したもの)は、風通しのよい涼しい場所で常温保存(夏場は冷蔵庫の野菜室)
  • 未熟なトマト(まだ青みがあるもの)は、常温に置いて追熟させましょう。
  • バナナやリンゴの近くに置くと、エチレン効果で追熟が早まります。

冷蔵保存

  • 冷蔵庫に入れると風味が落ちやすいため、ヘタを下にしてポリ袋に入れて野菜室に。
  • 保存目安:3〜4日程度
     ※カットしたトマトはラップをして冷蔵し、1〜2日以内に消費を。

冷凍保存も可能

  • 丸ごと冷凍して、解凍時に皮をむいて煮込み料理に。
  • またはざく切りやすりおろしにして小分け冷凍すれば、スープやソースにすぐ使えます。

おかみさんの一言

冷やし過ぎると甘みが弱くなるため常温保存が基本。気温が高いときや長期保存時は野菜室保存。加熱調理を前提にするなら冷凍もおすすめです。

主な品種群

  • 桃太郎
  • ミニトマト
  • フルーツルビー
  • イタリアントマト
  • ファーストトマト
  • アイコ
  • イエロープラム
  • エバーグリーン
  • マイクロトマト

※世界では8000種を超える品種がある
※日本では120種を超える品種がある

トマトの栄養素(食品成分表)

赤色 トマト 果実
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率3%
エネルギー20
水分94.0g
タンパク質0.7g
脂質0.1g
食物繊維(総量)1.0g
炭水化物4.7g
ナトリウム3
カリウム210
カルシウム7
マグネシウム9
リン26
0.2
亜鉛0.1
0.04
マンガン0.08
ヨウ素
セレン1
クロム
モリブデン2
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)540
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.9
ビタミンK4
ビタミンB10.05
ビタミンB20.02
ナイアシン0.7
ビタミンB60.08
ビタミンB12
葉酸22
パントテン酸0.17
ビオチン2.3
ビタミンC15
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

栄養素の特徴

  • リコピン(赤色色素):抗酸化作用があり、近年は機能性野菜としても注目。
  • ビタミンC:免疫サポートや肌の健康維持に役立つ栄養素。
  • カリウム:ナトリウムの排出を助け、塩分の多い食事と相性がよい。
  • グルタミン酸:天然のうま味成分で、だしやソースにも活用される。

トマトの英語・漢字表記

「蕃茄(ばんか)」は、外国から伝来したナス科の植物という意味で、古くから使われる漢字表記です。また、「赤茄子(あかなす)」という名称は、ナス科で赤い実をつけることから付けられた和名です。

英語では「Tomato」と表記され、アメリカ英語では「トメイトウ」、イギリス英語では「トマートウ」と発音が異なります。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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