【数の子とは】旬・食べ方・保存方法を調理師が解説|食中毒の注意点もあわせて紹介

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おせち料理の定番として知られる「数の子」。そのプチプチとした食感と、塩気の効いた味わいに、新年のごちそう感を感じる方も多いはず。
実はこの数の子、ニシンの卵であることをご存知ですか?

数の子ってどんな食材?
どう保存すればいい?
食べ方や注意点は?

そんな疑問に、和食調理師として25年以上の経験を持つ筆者が、やさしくお答えします。

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数の子(カズノコ)の旬を知る

かずのこ

産卵期(原料期)

商品流通期

▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

数の子そのものは加工品であり、原料となるニシンの産卵期(春)が“旬の素材”の時期です

一方、日本国内で主に流通・消費されるカズノコは11月〜1月の塩蔵や味付け品が中心。この時期、最も品質の良い製品が市場に出回ります
特におせち需要に合わせた12月中旬〜年末が多く、脂ののった卵と塩加減のバランスが絶妙になります。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

おせち用の数の子を買うなら、11月から正月直前の期間が狙い目。この時期の製品は熟成と塩抜き加工が適切にされており、食感・塩味ともに安定しています。

数の子とは ~解説・特徴~

数の子(かずのこ)とは、ニシン(鰊)の卵巣を塩漬けや味付けにした加工食品です。おせち料理では「子孫繁栄」の象徴として欠かせない存在であり、そのプチプチとした独特の食感と塩味が特徴です。

主な特徴

  • 原料はニシン(英語:Herring)
  • 一尾から一対の卵巣(数の子)が採れる
  • 加工方法によって「塩数の子」「味付け数の子」「干し数の子」に分類
  • 食感はパリパリ、ポリポリ、プチプチ系
  • 加工品ながらも栄養価が高く、特にたんぱく質とビタミンEが豊富

数の子の目利き

数の子は加工食品であるため、「見た目」と「質感」が鮮度や品質を見極める重要なポイントです。

チェック項目見分け方のポイント
色合い淡い黄金色〜薄いベージュが理想。くすんだ色や黒ずみは品質劣化のサイン。
割れの有無割れや崩れが少ないものほど高品質。見た目が整っているほど味の浸透も良い。
ハリと弾力触って弾力があり、ふっくらしたものが良品。ぺたんとしているものは乾燥気味。
臭い生臭さがなく、ほんのり磯の香りがする程度。刺激臭がある場合は劣化の可能性。
粒の密度卵の粒がびっしり詰まり、均一であること。粒が粗くバラついているものは劣る。
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現役和食調理師のヒント

「塩数の子」を選ぶなら、割れが少なく表面にうっすら膜のようなツヤがあるものがベスト。安価な品は粒が粗く、食感も劣ることが多いので、見た目が整っているかをよく確認しましょう。

数の子と相性の良い食材

数の子はそのまま食べても美味しいですが、和の食材と合わせることで旨みや食感がより引き立ちます。以下におすすめの組み合わせをまとめました。

食材組み合わせの理由
かつお節塩抜き後にまぶすとうま味と香りがプラスされ、酒肴にぴったり。
昆布味付け数の子でよく使われる定番。昆布のうま味が数の子の塩味と調和
醤油シンプルに醤油+鰹節+ごま油で和えるだけでも絶品。
いくらお正月の縁起物コンビ。異なる魚卵の食感と味のコントラストが楽しい
白ごま風味のアクセントに。和え物やおにぎりの具材としても相性◎。
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現役和食調理師のヒント

味の強い食材や香りのある食材と合わせると、数の子のクセのない塩味が引き立ちます。特に「鰹節+醤油+ごま」は和のゴールデンコンビ。お正月以外にもおすすめです。

数の子に合う調理法

数の子は“下ごしらえ(塩抜き)”を前提とし、調味・和え物としての使い方が主流です。

調理法おすすめ度理由
和え物醤油、かつお節、ごまなどと合わせるだけで簡単・美味。食感も生きる。
味付け漬け込み白だしや昆布だしに漬けて“味付け数の子”に。おせちの定番。
酢の物酸味でさっぱりと食べられるが、塩加減の調整がやや難しい。
おにぎりの具細かく刻んで醤油ごまと混ぜると食感のアクセントに。お正月の変わり種としても。
炒め物加熱で食感が失われやすく、旨みが逃げるため一般的ではない。
煮物×食感が台無しになり、数の子の良さが活かしにくい。おすすめしない。
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現役和食調理師のヒント

数の子は「加熱NG」の繊細な食材。「漬ける・和える・のせる」が基本の3本柱です。旨みや食感を活かしたいなら、やはり冷製調理がベストですね。

数の子の保存方法と食中毒の注意点

保存方法(未開封・開封後・塩抜き後)

状態保存方法保存期間の目安補足
未開封
(塩数の子)
冷蔵(5℃以下)1〜2か月高濃度の塩分で長期保存が可能。製品表示に従う。
開封後
(塩数の子)
冷蔵5〜7日程度空気に触れると酸化・臭みが出るため早めに消費。
塩抜き後冷蔵(水につけて)当日〜翌日塩分が抜けると腐敗が早まる。使い切り推奨。
味付け数の子冷蔵1週間前後タレに漬けてあるためやや保存性が高い。
冷凍(※非推奨)-18℃以下1か月程度食感が劣化しやすく、解凍後に粒が崩れることもある。

⚠️ 食中毒の注意点と対策

  • 数の子自体は高塩分で保存性が高いが、塩抜き後は腐敗が進みやすくなります。
  • 保存中に酸っぱい臭いや粘りが出たものは食べないようにしましょう。
  • 塩抜きに使った水を常温放置すると雑菌が繁殖しやすいため、冷蔵庫で行うのが基本です。
  • ごくまれに「味付け数の子」などでアニサキス混入の報告例もありますが、基本的に加熱・冷凍・加工でリスクは低いです。
  • 保存料や着色料の多い商品は保存性はある反面、開封後の衛生管理が重要になります。

かずのこの栄養素(食品成分表)

かずのこ(塩蔵、水戻し)

栄養素水戻し単位
廃棄率0%
エネルギー80
水分80.0g
タンパク質15.0g
脂質3.0g
食物繊維(総量)0g
炭水化物0.6g
ナトリウム480
カリウム2
カルシウム8
マグネシウム4
リン94
0.4
亜鉛1.3
0.06
マンガン0.02
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)2
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD17.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.9
ビタミンK
ビタミンB1
ビタミンB20.01
ナイアシン
ビタミンB60.04
ビタミンB124.5
葉酸
パントテン酸
ビオチン
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」
栄養素含有量(水戻し)ひとこと評価
ビタミンD17.0 µg魚卵類でもトップクラス。骨の健康維持に非常に優秀。
タンパク質15.0 g良質なたんぱく源。脂質が少なく高たんぱく低脂肪。
ナトリウム480 mg塩蔵特有の高含有。塩抜きで減らせるが摂りすぎ注意。
ビタミンB124.5 µg神経と血液の健康に関わる重要栄養素。魚卵の特徴。
亜鉛1.3 mg免疫・味覚に関与。魚卵の中ではしっかり多め。

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数の子の英語・漢字表記

表記内容
漢字数の子
鯑(旧字)
英語Herring roe
発音記号[ˈhɛrɪŋ roʊ](ヘリング ロウ)

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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