太刀魚の焼き南蛮|プロが教える“よくわかるレシピ”

香ばしく焼いた太刀魚に、甘酸っぱい南蛮だれをじゅわっと含ませる「焼き南蛮」。揚げずに焼くから軽やか、冷めてもおいしく作り置きやお弁当にも重宝します。
失敗しがちなポイントは「身が崩れる」「味がぼやける」「酸味が立つ」。
失敗しないコツは皮目から焼いて固め、熱い南蛮だれを“熱いうちに”かけて冷ましながら含ませることです。

よくある失敗と原因

  • 身が崩れる…太刀魚を皮目から焼かない/触りすぎ
  • 生臭さ…焼き不足で脂が抜けていない、たれを沸かさずに使用
  • 味がぼやける…だし・砂糖・酢・醤油の比率が不適切、野菜の水分で薄まる
  • 酸味が強すぎる…酢を一度沸騰させていない(角が立つ)
  • べちゃつく…焼き上がりの魚や野菜を油っぽいまま漬けている

材料(2〜3人分)

材料分量役割
太刀魚(切り身)350〜400g(3〜4切れ)主役。皮目の香ばしさが要
玉ねぎ1/2個(薄切り)甘みと香りのベース
ししとう6〜8本(穴を1か所)風味と彩り、辛味のアクセント
長ねぎ1/2本(斜め薄切り)香味を足す
少々太刀魚の下味
こしょう少々風味付け
適量焼き用(フライパンは薄く)

南蛮だれ(基本配合)

調味料基本量半量の目安役割
出汁500ml250ml全体の骨格
濃口醤油90ml45ml塩味と色
砂糖45g23g甘みと照り
90ml45mlさっぱり感
赤唐辛子1本1/2本ピリ辛のアクセント

作りやすい分量メモ(半量)

  • 出汁 250ml / 醤油 45ml / 砂糖 23g / 酢 45ml(赤唐辛子 1/2本)
  • 太刀魚 約200g、玉ねぎ1/4個、ししとう4本、長ねぎ1/4本

下処理

  • 太刀魚に軽く塩をふり10分置く→出た水分を拭く。
    臭みと余分な水分を除き、焼き目がつきやすくなる。
  • ししとうは破裂防止に穴を1か所。
  • 玉ねぎ・長ねぎは同じ厚みに。
    漬け込み時の火通りと味のりが均一になる。

作り方(よくわかるレシピ)

  1. 南蛮だれを作る(先に用意)
    鍋に出汁・砂糖・醤油・酢を入れ中火で沸騰させる。沸いたら火を止め、赤唐辛子を加える。
    ふつふつ→香りがふわっと立つ。(酸の角が取れる)
  2. 野菜を焼く
    フライパンに薄く油をひき中火。ししとう→長ねぎ→玉ねぎの順に種類ごとにさっと焼く。
    玉ねぎは縁が透け、軽く焼き色が入る程度。
    焼けたら熱いうちに南蛮だれに漬ける(深めのバットや保存容器)
  3. 太刀魚を焼く
    同フライパンを軽く拭き、太刀魚に塩こしょうし、油を引き、皮目から中火で焼く。
    皮が反らないように最初10秒だけヘラで軽く押さえ、皮面が狐色に。
    裏返して身側は短時間でOK(中心が7〜8割の火通りで止める)
  4. 漬ける
    焼き立ての太刀魚を熱い南蛮だれへ
    じゅっと音がして香りが立つ。室温で粗熱→冷蔵で30分〜1時間。冷める過程で味が入る。

失敗しない3つのコツ

  • 皮目から焼いて形を固定(触りすぎない)
  • 熱い魚 × 熱い南蛮だれで一気に含ませ、冷ましながら浸透
  • 野菜は一種類ずつ火を入れ、水分はできるだけ拭き取る

保存方法

  • 冷蔵:密閉容器で2〜3日(翌日が最も味がなじむ)。
  • 冷凍:不向き(身が締まり食感低下)
  • 弁当:しっかり冷やしてから詰める(汁気は軽く切る)。

相性の良い料理・献立

  • 副菜:きゅうりの浅漬け、切り干し大根
  • 汁物:なめこの赤だし、すまし汁
  • ご飯:白ごはん、雑穀ごはん/酢飯にも合う

旬と豆知識

太刀魚は夏〜秋が主旬(地域差あり)。脂がのって香ばしく焼き向き。
南蛮の語源は“南蛮渡来の調味(酢・唐辛子)”に由来。揚げずに焼きで仕上げると軽やか。


現役和食調理師のひと言

焼き南蛮の決め手は火入れの順序と熱交換
「皮目で形を決め、熱いままたれに落とし、冷める力で含ませる」
——これだけで料亭の“締まり”が出ます。砂糖の量は玉ねぎの甘さを見て微調整するのがプロの勘所です。


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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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