外バラとは?牛肉の部位を図解で解説|特徴・用途・英語表記【Short Plate】

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牛肉の「外バラ(ソトバラ)」は、腹側に位置する脂のりのよい部位です
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牛肉の中でも「外バラ(Short Plate)」は、脂がしっかりとのった濃厚な味わいが魅力の部位です。焼肉や煮込み料理など、コクを活かしたメニューにぴったりで、旨味の強さから多くの料理人にも愛されています。
ただし、外バラは「カタバラ」「トモバラ」などの似た部位と混同されやすく、どのように使い分ければよいのか迷う方も多いはず。

本記事では、外バラの位置・特徴・味わい・おすすめの調理法を調理師の視点からわかりやすく解説します。

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外バラ(Short Plate)とは? ~概要~

すき焼き鍋で外バラ肉を調理している様子
外バラは、すき焼きや煮込み料理に最適な、濃厚なうま味のある部位

外バラ(ソトバラ/Short Plate)は、牛のお腹の下側、あばら骨の外側に位置する部位です。牛の胴体を横に見たとき、胸から腹にかけての「バラ肉(腹肉)」のうち、外側(表層)にあたる部分を指します。
この部位は、赤身と脂身が層になった構造をしており、しっかりとした旨味と濃厚なコクが特徴です。

外バラは部位の構造上脂肪が多く、繊維もやや粗めで、歯応えのある食感を楽しめます。焼肉では「カルビ系」の肉として使われることが多く、濃厚な味わい脂の甘みを好む方に人気があります。

また、外バラはさらに細かく分けられることがあり、中心部分の「ショートプレート(Short Plate)」、横隔膜に近い「インサイドスカート(Inside Skirt/ウチハラミ)」、境界付近の「フランク(Flank/笹肉)」などが含まれます。
それぞれ脂の量や繊維の向きが異なり、用途によって使い分けられています。

同じバラ肉の中でも、カタバラ(肩に近い)、トモバラ(後ろ脚に近い)と混同されやすい部位ですが、外バラは特に「濃厚さ」と「ジューシーさ」に優れた部位です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

脂の甘みを生かすなら焼肉や牛丼、じっくり火を入れる料理ならシチューやスープもおすすめ。赤身の旨味と脂のバランスが良いので、濃い味付けの料理に向くのが特徴です。

外バラの特徴と味わい

鉄板の上で外バラ肉を焼く焼肉の調理シーン
外バラは脂の甘みとジューシーさが特徴で、焼肉では人気の定番部位

外バラは、脂のりが非常に良く、濃厚な旨味とコクを持つ部位です。赤身と脂身が層になった構造をしており、ジューシーさと香ばしさを両立しています。
焼くと脂がじゅわっと溶け出して甘みが際立ち、煮込むとコクのあるスープが取れるのも大きな特徴です。

筋や膜が多く、繊維はやや粗めでしっかりとした噛み応えがあります。そのため、焼肉ではカルビ系の部位として人気があり、適度な厚さにスライスして焼くと食感と旨味を同時に楽しめます。
また、長時間の加熱調理により柔らかくなる性質もあるため、煮込み料理(シチュー・スープ・牛丼)などにも適しています。

外バラの魅力はなんといっても脂の甘みと濃い味わい。肉そのものの主張が強いので、タレやソースなど、しっかりした味付けの料理と相性が良い部位です。

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外バラは、旨味と脂のバランスが抜群で、食べ応えのある部位です。
脂が多い分、厚切りよりも薄切りの方が食べやすく、香ばしく焼くと甘みが際立ちます。

外バラ(ソトバラ)の細かい部位一覧

外バラの部位を使った生肉盛り合わせ(焼肉用)
外バラには、カルビなど人気部位が多く含まれます
細かい部位名特徴・位置主な用途
ショートプレート
(Short Plate)
外バラの中心部分。脂肪が多く濃厚な旨味。外バラの代名詞的部位焼肉カルビ
牛丼
煮込み
インサイドスカート
(Inside Skirt)
横隔膜に近い内側の部位。「ウチハラミ」とも呼ばれる。柔らかく旨味が強い焼肉(ハラミ系)
炒め物
フランク(Flank)
笹肉(ささにく)
外バラの後方〜中バラにかけての部位。赤身が多く、笹の葉のような形焼肉
すき焼き
炒め物
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どの部位も焼肉でおいしい肉です。

カタバラ・トモバラとの違い

外バラは牛のお腹の外側(表面側)に位置する部位で、あばら骨の外側から下腹部にかけて広がっています。「バラ肉」と呼ばれる部分は大きく3つに分かれ、外バラはその中でも最も脂のりが良く、旨味が濃い層を持つ部位です。

牛の腹部は、部位ごとに以下のように分類されます。

部位名位置特徴
カタバラ前脚近くの肩側筋が多く、出汁や煮込みに向く
外バラ腹の中央、あばら骨の外側脂が多く、濃厚な旨味。カルビに使用される
トモバラ後脚に近い下腹部脂がやや控えめで、赤身の割合が多い

外バラはこの中でも最も濃厚でジューシーな味わいが楽しめるため、焼肉・牛丼・煮込み料理など、しっかりした味付けの料理に向いています。

また、外バラはさらに細かく「ショートプレート」「インサイドスカート」「フランク」などに分かれることもあり、それぞれの部位によって脂の量や食感が微妙に異なります

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現役和食調理師のヒント

ソトバラカブリ」「ナカバラ」などは、一部の解体法・流通業者での慣用的名称なのでややこしい。

外バラに向いている料理・調理法

皿に盛り付けられた生カルビの写真
外バラはカルビ焼肉の定番。タレ焼きや網焼きで脂のうま味を引き出します

外バラは、脂身の甘さと濃厚な旨味が魅力の部位です。焼くと香ばしく、煮込むとコクが深まり、幅広い調理法に対応できます。
ただし、筋が多くやや硬めのため、調理法によって食感や味わいが大きく変わります。

以下の表を参考に、料理に合わせて使い分けましょう。

調理法特徴・ポイント向いている料理例
焼肉
(カルビ)
表面を香ばしく焼くことで脂の甘みが際立つ焼肉
タレ漬けカルビ
煮込み料理長時間の加熱で筋が柔らかくなり、旨味がスープに溶けるビーフシチュー
牛スープ
コムタンスープ
炒め物薄切りにしてサッと炒めると、脂のコクで深い味わいに牛バラの野菜炒め
プルコギ風炒め
丼もの甘辛い味付けと脂の甘さが相性抜群牛丼
すき焼き丼
出汁
スープ
骨付きやブロックを使えば濃厚な出汁が取れる牛骨スープ
テールスープの代用
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甘辛の煮物やタレ焼きなど、ご飯に合う料理に使うと満足度が高いですよ。
さっと焼くとジューシー、じっくり煮るとほろほろ。調理法で表情が変わる楽しい部位です。

外バラ(Short Plate)の栄養素~食品成分表~

和牛肉 脂身付 バラ(生)

栄養素バラ単位
廃棄率0%
エネルギー472
水分38.4g
タンパク質11.0g
脂質50.0g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム44
カリウム160
カルシウム4
マグネシウム10
リン87
1.4
亜鉛3.0
0.09
マンガン
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)3
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.6
ビタミンK16
ビタミンB10.04
ビタミンB20.11
ナイアシン3.1
ビタミンB60.16
ビタミンB121.2
葉酸2
パントテン酸0.74
ビオチン
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」
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外バラは脂の量が多いぶん、エネルギーが高め食べ応えのある部位です。しっかり脂がのっているので、少量でも満足感が得られるのが魅力。赤身とのバランスを意識して、野菜や豆腐などの副菜と一緒に摂ると良いですよ。

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外バラの英語表記と海外での呼び名(Short Plate)

外バラは英語で 「Short Plate(ショートプレート)」 と呼ばれます。
海外では「ショートプレート」が正式な名称として流通しており、特にアメリカの牛肉解体基準(USDA規格)では、「Short Plate Section(ショートプレートセクション)」として定義されています。

地域英語名・呼称位置・分類
アメリカ
(USDA規格)
Short PlateSkirt SteakPlate Short RibsRib(リブ)とFlank(フランク)の間に位置
オーストラリ
ニュージーランド
Short Plate同様に腹部外側
フランス
欧州圏
Poitrine(ポワトリーヌ)胸肉の一部として分類
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現役和食調理師のヒント

外バラは英語で「Short Plate」と呼ばれますが、海外ではカットの仕方や基準が異なるため、呼び名が変わることがあります。
たとえば、アメリカでは「Skirt Steak」や「Plate Short Ribs」、ヨーロッパでは「Poitrine(ポワトリーヌ)」として扱われることも。

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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