梨(なし)の旬と選び方|プロの調理師が教える相性の良い食材と保存のコツ

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梨の旬 ~おいしい時期~

梨(なし)

梨は品種によって収穫時期が異なりますが、全体的な旬は 7月下旬から11月ごろ。特に市場に多く出回り、味も安定しているのは 8月〜9月 です。
調理師としての実感では、8月下旬から9月初旬の梨は水分量と糖度のバランスが特に良く、料理に使わずともそのまま食べて一番おいしい時期です。また、早生(わせ)品種の「幸水」などはさっぱりした甘み、晩生(おくて)品種の「あきづき」や「新高」はコクのある甘みと香りが特徴で、それぞれに違った魅力があります。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

梨とは?|みずみずしさが魅力の日本の果物

梨(なし)は、日本の夏から秋にかけて旬を迎える代表的な果物のひとつです。外皮は硬めでシャキッとした食感、果肉はたっぷりの果汁を含み、口に入れた瞬間に爽やかな甘さが広がります。

● 味わいの特徴
日本の梨は主に「和梨」と呼ばれるタイプで、ラ・フランスのような洋梨とは異なり、シャリッとした歯ごたえと清涼感のある甘さが特徴です。夏の暑い時期に冷やして食べると、みずみずしさがより引き立ちます。
特に、旬の時期に収穫された梨は糖度が高く、果汁も豊富。調理師の経験から言えば、包丁を入れたときに果汁がにじむほどの梨は、味も香りも極上です。

● おいしい梨の選び方
表面にハリとツヤがあり、皮がしっかりしているもの
軸が太くてしっかりしているもの
ずっしりと重さを感じるもの(果汁が多い証拠)
香りがふわっと立つものは熟して甘くなっています

プロの目から見ると、やや色づきが強くなりかけた頃が食べごろ。買ってすぐよりも、1〜2日常温に置いておくことで甘さが増すこともあります。

● 栄養素と効能
梨は90%以上が水分ですが、カリウムや**食物繊維(ペントース類)**も含まれており、体にやさしい果物です。

  • カリウム:体内の余分なナトリウムを排出し、むくみ対策に◎
  • 食物繊維:整腸作用があり、便通の改善をサポート
  • ソルビトール:自然な甘み成分で、口当たりのやさしさにも貢献

また、梨に含まれる「プロテアーゼ酵素」は肉類の消化を助けるため、食後のデザートや肉料理のあとに食べると、胃もたれ防止にもつながります。

梨と相性の良い食材・組み合わせ例

梨はそのまま食べても美味しい果物ですが、他の食材と組み合わせることで、料理の幅がぐっと広がります。甘みとみずみずしさを活かした組み合わせは、和洋問わずさまざまな料理に応用できます。

● 和食の食材と相性の良い組み合わせ

  • 梨 × 大根
     → シャキシャキ食感同士のサラダやなますに。すりおろして和風ドレッシングにも使えます。
  • 梨 × ミョウガ・大葉
     → 薬味の香りと梨の甘みが調和し、夏にぴったりの冷菜に。ポン酢を少量加えると引き締まった味に。
  • 梨 × 味噌
     → 梨をすりおろして味噌と合わせれば、甘みのある“梨味噌”に。焼き茄子や田楽に添えると絶品。

● 洋風・アレンジ料理におすすめの組み合わせ

  • 梨 × 生ハム
     → 王道の組み合わせ。塩気と甘みのバランスが良く、前菜やおつまみに最適です。
  • 梨 × チーズ(カマンベール、リコッタなど)
     → 梨の甘さとチーズのコクが好相性。クラッカーやバゲットに乗せてオードブルにも。
  • 梨 × 白ワインビネガー+オリーブオイル
     → 洋風のマリネやサラダドレッシングに。爽やかな酸味と果汁の甘さが調和します。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

梨は加熱すると香りがやや飛びやすいですが、薄切りにしてさっと炒める、またはすりおろしてタレやソースに加えることで、自然な甘みとコクを料理にプラスできます。和風・洋風どちらでも、意外と万能な果物です。

梨の保存方法|甘みと食感を保つコツ

梨はとても水分の多い果物で、保存方法を間違えるとすぐに水分が抜けたり、シャキシャキ感が損なわれたりします。購入後は、できるだけ早めに食べるのが基本ですが、正しく保存すれば数日~1週間ほど美味しさを保てます。


● 常温保存(1~2日以内)

  • 涼しい場所に置く(25℃以下が理想)
  • 風通しがよく、直射日光の当たらない場所に
  • 梨同士を重ねないように注意

※夏場は常温保存には向きません。購入したその日か翌日には食べきりましょう。


● 冷蔵保存(3日〜1週間)

  • ポリ袋やラップで1玉ずつ包み、冷蔵庫の野菜室
  • 乾燥を防ぐことでシャリッとした食感をキープ
  • あまり冷やしすぎると甘みが感じにくくなるため、食べる1〜2時間前に冷やすのがおすすめ

● カット後の保存

  • 断面が空気に触れると変色するため、レモン汁をかけてからラップで密閉
  • 冷蔵庫で保存し、翌日中には食べ切るのが理想

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現役和食調理師のヒント

お店では、梨は“冷やしすぎない冷暗所”で管理します。ご家庭でも、冷えすぎを避けることで、香りと甘みをより感じやすくなります。

梨の品種

  • 赤梨系
    幸水・豊水・あきづき・新高・新興・南水・恵水など
  • 青梨系
    二十一世紀・二十世紀。サンセーキ・夏さやか・秀玉など

梨の栄養素 ~食品成分表~

日本なし
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率15%
エネルギー38
水分88.0g
タンパク質0.3g
脂質0.1g
食物繊維(総量)0.9g
炭水化物11.3g
ナトリウム
カリウム140
カルシウム2
マグネシウム5
リン11
亜鉛0.1
0.06
マンガン0.04
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.1
ビタミンK
ビタミンB10.02
ビタミンB2
ナイアシン0.2
ビタミンB60.02
ビタミンB12
葉酸6
パントテン酸0.14
ビオチン0.5
ビタミンC3
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
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梨の英語・漢字表記

日本の梨は、英語で一般的に 「Japanese pear(ジャパニーズ・ペア)」 または 「Asian pear(エイジアン・ペア)」 と呼ばれます。どちらも日本を含むアジア圏で親しまれている梨を指しますが、以下のような違いがあります。

  • Japanese pear(Japanese-style pear)
     → 日本の「和梨(わなし)」を指すことが多く、丸くてみずみずしい食感が特徴。
  • Asian pear
     → 中国・韓国なども含めた東アジア全体の梨を含む表現。

なお、欧米で「pear(ペア)」というと西洋梨(ラ・フランスなど)のことを指すのが一般的です。日本のシャキッとした食感の梨は、見た目も味わいも異なるため、“Asian pear”という名称で区別されています。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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