やわらかく煮えた大根に、甘味噌をかけて味わう「風呂吹き大根」。
見た目は素朴でも、出汁の香りと味噌の深みが合わさった“和の美味しさ”が詰まった一皿です。
しかし、「大根が硬い」「味噌が塩辛い」「味がぼやける」など、意外と失敗も多い料理。
原因は、火加減と味噌の練り方にあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「大根は“踊らせず”、味噌は“焦がさず”。」
ゆっくり火を通すことで芯まで味が含み、口に入れた瞬間ふわっと広がる香りに仕上がります。
よくある失敗と原因
- 大根が硬い → 下茹で不足 or 火が強すぎる
- 煮崩れる → 沸騰させてしまっている
- 味噌が塩辛い → 練り時間が短い or 分量ミス
- 味が薄い → 大根が冷めてから味噌をかけた
- 味噌が分離する → 火が強すぎる or 練り胡麻の入れ方が早い
材料
食材
みそだれ
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 100cc | 5 | 甘味噌の旨味ベース |
| 砂糖 | 60g | 3 | 甘味とコクを出す |
| みりん | 40cc | 2 | 照りとまろやかさを加える |
| 味噌 | 100g | 5 | 香りと旨味の主軸 |
| 練り胡麻 | 10g | 0.5 | コクと口当たりをなめらかにする |
下処理

- 大根:2〜4cm厚に切り、皮を厚めに剥く。裏面に十字の隠し包丁を入れ、面取りをする。
- 昆布:乾いた布巾で軽く拭く(洗わない)。
- 柚子:皮を薄く剥き、千切りにして水にさらす。

現役和食調理師のヒント
大根の中央部分を使うと、煮崩れにくく上品な甘味が出ます。
作り方(よくわかるレシピ)

- 下茹でする(中火)
鍋に米のとぎ汁と大根を入れ、竹串がスッと通るまで茹でる(約20分)。
🔸 合図:「竹串を刺したとき、軽い抵抗で抜ける」がベスト。
茹で上がったら流水で軽く洗い、ぬめりを取る。 - 出汁で煮る(弱火)
鍋に昆布と水を入れ、大根(隠し包丁を下に)を加える。
沸騰直前で火を弱め、具材が踊らない程度の火加減で30〜40分。
🔸 合図:「表面が艶やかに透き通る」ころが止め時。 - 味噌だれを作る(弱火)
鍋に出汁・砂糖・みりん・味噌を入れ、弱火でゆっくり練る。
とろみがつき始めたら火を止め、練り胡麻を加えてよく混ぜる。
🔸 合図:「しゃもじで線を引くとゆっくり戻る」くらいの濃度が目安。 - 盛り付ける
温かい大根を器に盛り、味噌だれをかける。
天盛りに柚子の皮を添えて完成。
現役和食調理師のコメント
風呂吹き大根は「火」と「焦げ」の料理。
大根は沸騰させずに“含ませる”、味噌は焦がさずに“練り上げる”のが鉄則です。
少し手間はかかりますが、火加減を守れば料亭の味になります。
柚子の香りを添えると、甘味噌の甘さがぐっと締まります。
失敗しない3つのコツ

- 下茹では米のとぎ汁 or 生米でじっくりと
- 昆布出汁は沸騰させない(香りが飛ぶため)
- 味噌だれは焦がさず練ること
保存方法
- 大根の煮含め:汁ごと冷蔵で2日程度。
- 味噌だれ:冷蔵で1週間、冷凍で1か月保存可能。
- 食べる前に:味噌を温め直すと香りが立ち、柚子がより引き立つ。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鰆の西京焼き・鶏の照り焼き
- 副菜:ほうれん草の胡麻和え・里芋の含め煮
- 汁物:赤だし味噌汁・すまし汁(柚子風味)
旬と豆知識
大根の旬は冬。寒さで糖度が上がり、煮物に最適です。
中心部は甘く柔らかく、煮物や風呂吹き大根に向きます。
▶ 詳しくは【大根の特徴と上手な使い方】へ。
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