風呂吹き大根|プロが教える“よくわかるレシピ”

煮物

やわらかく煮えた大根に、甘味噌をかけて味わう「風呂吹き大根」。
見た目は素朴でも、出汁の香りと味噌の深みが合わさった“和の美味しさ”が詰まった一皿です。

しかし、「大根が硬い」「味噌が塩辛い」「味がぼやける」など、意外と失敗も多い料理。
原因は、火加減と味噌の練り方にあります。

現役和食調理師の結論は――
👉「大根は“踊らせず”、味噌は“焦がさず”。」

ゆっくり火を通すことで芯まで味が含み、口に入れた瞬間ふわっと広がる香りに仕上がります。


よくある失敗と原因

  • 大根が硬い → 下茹で不足 or 火が強すぎる
  • 煮崩れる → 沸騰させてしまっている
  • 味噌が塩辛い → 練り時間が短い or 分量ミス
  • 味が薄い → 大根が冷めてから味噌をかけた
  • 味噌が分離する → 火が強すぎる or 練り胡麻の入れ方が早い

材料

食材

材料分量役割
大根約1/2本(4切れ分)主素材。中心部を使うと均一に煮える
昆布適量出汁の旨味を加える
柚子少々香りと彩り(皮を千切りに)

みそだれ

調味料分量割合役割
出汁100cc5甘味噌の旨味ベース
砂糖60g3甘味とコクを出す
みりん40cc2照りとまろやかさを加える
味噌100g5香りと旨味の主軸
練り胡麻10g0.5コクと口当たりをなめらかにする

下処理

  • 大根:2〜4cm厚に切り、皮を厚めに剥く。裏面に十字の隠し包丁を入れ、面取りをする。
  • 昆布:乾いた布巾で軽く拭く(洗わない)。
  • 柚子:皮を薄く剥き、千切りにして水にさらす。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

大根の中央部分を使うと、煮崩れにくく上品な甘味が出ます。


作り方(よくわかるレシピ)

  1. 下茹でする(中火)
    鍋に米のとぎ汁と大根を入れ、竹串がスッと通るまで茹でる(約20分)。
    🔸 合図:「竹串を刺したとき、軽い抵抗で抜ける」がベスト。
    茹で上がったら流水で軽く洗い、ぬめりを取る。
  2. 出汁で煮る(弱火)
    鍋に昆布と水を入れ、大根(隠し包丁を下に)を加える。
    沸騰直前で火を弱め、具材が踊らない程度の火加減で30〜40分。
    🔸 合図:「表面が艶やかに透き通る」ころが止め時。
  3. 味噌だれを作る(弱火)
    鍋に出汁・砂糖・みりん・味噌を入れ、弱火でゆっくり練る。
    とろみがつき始めたら火を止め、練り胡麻を加えてよく混ぜる。
    🔸 合図:「しゃもじで線を引くとゆっくり戻る」くらいの濃度が目安。
  4. 盛り付ける
    温かい大根を器に盛り、味噌だれをかける。
    天盛りに柚子の皮を添えて完成。

現役和食調理師のコメント

風呂吹き大根は「火」と「焦げ」の料理。
大根は沸騰させずに“含ませる”、味噌は焦がさずに“練り上げる”のが鉄則です。
少し手間はかかりますが、火加減を守れば料亭の味になります。
柚子の香りを添えると、甘味噌の甘さがぐっと締まります。


失敗しない3つのコツ

  • 下茹では米のとぎ汁 or 生米でじっくりと
  • 昆布出汁は沸騰させない(香りが飛ぶため)
  • 味噌だれは焦がさず練ること

保存方法

  • 大根の煮含め:汁ごと冷蔵で2日程度。
  • 味噌だれ:冷蔵で1週間、冷凍で1か月保存可能。
  • 食べる前に:味噌を温め直すと香りが立ち、柚子がより引き立つ。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鰆の西京焼き鶏の照り焼き
  • 副菜:ほうれん草の胡麻和え里芋の含め煮
  • 汁物:赤だし味噌汁すまし汁(柚子風味)

旬と豆知識

大根の旬は冬。寒さで糖度が上がり、煮物に最適です。
中心部は甘く柔らかく、煮物や風呂吹き大根に向きます。
▶ 詳しくは【大根の特徴と上手な使い方】へ。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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