シャキッとした歯ざわりと、かつお節の香ばしい風味が楽しめる「蓮根の土佐煮」。
上品な甘辛味と程よい辛みが、食卓の名脇役として人気の一品です。
ただし、「硬い」「味がしみない」「色が黒くなる」などの失敗が起こりやすい料理でもあります。
原因は、下処理と火加減・煮詰めの見極めにあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「酢で下茹ですることで白く仕上げ、煮詰めすぎず“含ませる”」。
れんこんの土佐煮は、シンプルだからこそ“味が決まらない”という声が多い料理です。このページでは、現役和食調理師として 失敗しない火入れ・味しみのコツ を簡潔にまとめました。
よくある失敗と原因
- 蓮根が硬い → 下茹で不足
- 味がしみない → 火加減が強く、出汁が飛んでいる
- 味が濃い → 煮詰めすぎ
- 酸っぱい → 酢の入れすぎ、または酢水に長時間漬けた
- 黒くなる → 酢水に入れなかった or 鉄鍋を使用した
材料(調味料の役割つき)
食材
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 蓮根 | 約200g | 主素材。食感と色味を決める |
| 赤唐辛子 | 1本 | 香りと辛味のアクセント |
| かつお節 | 適量 | 風味と旨味の仕上げ |
調味料
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 300cc | 30 | ベースの旨味 |
| 薄口醤油 | 10cc | 1 | 色を保ちながら味をつける |
| 濃口醤油 | 20cc | 2 | 香りとコクを出す |
| 砂糖 | 20g | 2 | 甘味と照りを出す |
| みりん | 10cc | 1 | まろやかさと照り |
| 料理酒 | 10cc | 1 | 香りと旨味を引き立てる |
下処理

- 蓮根
皮を剥き、1cm幅の輪切り(または半月切り)にする。
切ったらすぐに酢水(比率:水20:酢1)に浸ける。
※ 長時間浸けると風味が抜けるため、5分以内が目安。 - 赤唐辛子:種を取り、小口切りにする。

現役和食調理師のヒント
酢水は「変色防止」と「えぐみ抜き」の効果があります。
作り方(よくわかるレシピ)

- 蓮根の下茹で(中火)
鍋に水と酢を入れ、沸騰したら蓮根を加える。
約3分茹でる(食感を残したい場合は1〜2分)。
🔸 合図:「竹串を刺して少し抵抗がある」程度でOK。
茹でたらザルにあげ、水気を切る。 - 煮含める(弱火)
鍋に出汁・醤油・砂糖・みりん・酒を入れ、下茹でした蓮根と赤唐辛子を加える。
中火で沸騰させ、アクを取ったら弱火にして10〜15分煮る。
🔸 合図:「煮汁が半分ほどになり、蓮根の角が透けてくる」頃。 - 仕上げる(火を止める)
火を止め、かつお節を手でもみながら加える。
全体を軽く混ぜて風味を移す。 - 盛り付け
器に蓮根を盛り、上からかつお節を少量あしらう。
赤唐辛子を添えて彩りを整える。
現役和食調理師のコメント
蓮根は「歯ごたえを残す」か「柔らかく含ませる」かで火加減が変わります。
シャキッと仕上げたいなら短め、味を含ませたいなら弱火でじっくり。
どちらの場合も、“汁気がなくなりきる前”に火を止めるのがポイント。
仕上げのかつお節は火を止めてから入れることで、香りがしっかり残ります。
失敗しない3つのコツ
- 切ったらすぐに酢水(変色防止)
- 煮汁が半分残る程度で止める
- かつお節は火を止めてから入れる
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器で3〜4日間。
- 冷凍保存:風味が落ちるため不向き。
- 作り置きのポイント:翌日になると味がなじみ、より美味しくなる。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鯖の味噌煮・鶏の照り焼き
- 副菜:高野豆腐の含め煮・菜の花の辛子和え
- 汁物:なめこの味噌汁・すまし汁(柚子入り)
旬と豆知識

蓮根は秋から冬が旬。
新蓮根(8〜10月)はみずみずしく、晩秋の蓮根はデンプン質が増えてホクホク感が強くなります。“穴があいている”ことから、「先を見通す縁起物」としておせち料理にも欠かせません。
▶おせち料理の意味とは?祝い肴から煮物まで一覧表
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【蓮根の栄養ページ】へ。
