ほっくり甘くて優しい味わいが魅力の「南瓜の煮物」。
定番の和食ですが、実は
「煮崩れ」
「味が濃い」
「柔らかすぎる」
など、失敗しやすい料理の代表格です。
結論から言うと、南瓜の火加減と“止め時”を見極めることが最大のコツ。
この記事では、現役和食調理師がプロの視点で、出汁の割合・火加減・見極めの合図まで丁寧に解説します。一晩寝かせて味を含ませると、より深みのある一皿に仕上がります。
よくある失敗と原因
- 南瓜が柔らかすぎる → 火の入れすぎ(余熱で火が通ることを忘れている)
- 味が薄い → 煮込み時間が短い or 調味料不足
- 味が濃い → 煮詰めすぎ、分量間違い
- 煮崩れ → 火が強い or 面取り不足
- 甘すぎる → 南瓜の品種特性+砂糖の入れすぎ
材料(2〜3人分)
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 南瓜 | 1/4個(約300〜400g) | 主役。ほっくりとした食感を出す |
調味料(割合・分量)
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 600〜800cc | 12〜16 | 全体のベース。味を支える旨み |
| 薄口醤油 | 50ml | 0.5 | 塩味と風味を整える |
| 濃口醤油 | 50ml | 0.5 | 色とコクを出す |
| 砂糖 | 50g | 1 | 甘みと照りを加える |
| みりん | 50ml | 1 | まろやかさと照りを与える |

現役和食調理師のヒント
甘い品種(栗かぼちゃなど)の場合は、砂糖・みりんを各20%減がおすすめ。
色を淡く仕上げたい場合は、薄口醤油のみ使用でもOK。
下処理

- 南瓜の表面をよく洗い、ワタと種をしっかり取り除く
理由:雑味を防ぐ - 食べやすい大きさに切る(約4〜5cm角)
理由:均一に火を通す - 面取りをする
理由:煮崩れ防止と見た目の美しさ

現役和食調理師のヒント
南瓜は皮が硬いので、包丁の根元を使って“押し切る”ようにカット。
作り方(よくわかるレシピ)
南瓜を下茹でする
- 鍋に湯を沸かし、塩ひとつまみを加える。
- 南瓜を入れて軽く茹でる(2〜3分)。
- 竹串が少し抵抗を感じる程度でザルに上げる。
→ 中心がやや硬く、表面にうっすら火が通った状態でOK。
この下茹でで“煮崩れ防止”と“味しみの下地”が整います。
煮る
- 鍋に出汁・調味料を全て入れ、中火で沸かす。
- 沸騰したら南瓜を加え、火を弱めて静かに煮る。
(※南瓜が“踊る”ように煮立たせない) - 落とし蓋をして約10〜15分、味を見ながら煮含める。
→ 竹串がすっと通り、中心がやや硬めで止める。
(余熱で火が通り、崩れずしっとり仕上がる)
味をしみ込ませる
- 火を止めて鍋のまま粗熱を取る。
- 常温まで冷めたら冷蔵庫で半日〜一晩寝かせる。
→ 翌日、角がしっとりして艶が出ていれば完璧。
温める場合
- 弱火でゆっくり温める。
- 強火で再加熱すると崩れやすいので注意。
失敗しない3つのコツ
- 下茹では軽く(中心は硬めでOK)
- 煮立てず“コトコト”を維持
- 煮えたらすぐ火を止め、余熱+寝かせで味を含ませる
保存方法
| 方法 | 期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵 | 2〜3日 | 汁に浸して保存すると乾燥防止 |
| 冷凍 | 約2週間 | 冷めてから汁ごと冷凍する |
| リメイク | 翌日 | コロッケ・いとこ煮・スープにも応用可 |
アレンジ

- そぼろあんかけ:煮汁に片栗粉+鶏そぼろであんをかける
- 南瓜コロッケ:潰して衣をつけて揚げる
- スープ仕立て:出汁を倍量にして優しい味わいに
- いとこ煮:小豆を加えてお祝い料理風に
旬と豆知識
南瓜の旬は夏〜秋ですが、甘みが増しておいしくなるのは冬至前後。
βカロテン・ビタミンEが豊富で、免疫力アップにも効果的です。
和食では「冬至に南瓜を食べると風邪をひかない」と言われています。
現役和食調理師のひと言
南瓜の煮物は“火を入れるより、止める技術”が試されます。
芯が残るか残らないかの“わずかな瞬間”で火を止めること。
これだけで、見た目も味もしっとり上品に仕上がります。
余熱と寝かせの力を信じて、ゆっくり育てるように煮てみてください。
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