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菜花に含まれるシュウ酸とアク抜きの注意点

菜花(なばな)は春に旬を迎える栄養豊富な緑黄色野菜ですが、**独特のほろ苦さやえぐみ(アク)**の原因のひとつが「シュウ酸(Oxalic acid)」という成分です。
シュウ酸とは?
- シュウ酸はほうれん草や小松菜にも含まれる天然の有機酸で、摂りすぎるとカルシウムと結合して結石の原因になることもあります。
- 菜花にも比較的含まれており、そのまま大量に食べるのはあまり推奨されません。
調理のポイント:アク抜き(シュウ酸を減らす)
下茹でが基本!
- 沸騰したお湯に1〜2分ほど茹でてから水にさらすことで、シュウ酸や苦味成分が大幅に減少します。
- 茹ですぎると風味が抜けるため、「さっと茹でて、すぐ冷やす」のが調理師の基本です。
茹で汁は再利用しない
- シュウ酸は水に溶け出すため、茹でた後の湯を料理に使うのは避けましょう。
品種による違いにも注目!
- かき菜(掻き菜)や花かつお菜など、一部の菜花系品種はシュウ酸が比較的少なめで、苦味もマイルド。
- 一方で、観賞用としても出回る「菜の花」に近い品種はアクがやや強く感じられる傾向があります。

現役和食調理師のヒント
菜花のアクは、苦味の個性でもあります。
ゴマ和えやからし和えのように、香りの強い調味料と合わせることで、風味のバランスがとれます。
菜花の旬|おいしい時期
菜花(なばな)は、早春に旬を迎える代表的な季節野菜です。
種類によって多少の差はありますが、12月下旬〜3月中旬頃がもっとも美味しく、栄養価も高い時期です。
なばな
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
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現役和食調理師のヒント
春を感じるおひたしやからし和えに使うなら、2月頃の菜花がベスト。茎がやわらかく、香りとほろ苦さのバランスが絶妙です。
つぼみが開く直前が、もっとも風味がよいタイミングです。
菜花とは|解説
菜花(なばな)は、アブラナ科の野菜の若芽やつぼみ、茎を食べる春野菜の総称です。
とくに「花が咲く前のやわらかい部分」を収穫したもので、春らしい香りとほろ苦さが特徴です。
菜花と菜の花の違いとは?
- 「菜花(なばな)」は食用の呼び方で、品種や地域によって花蕾(つぼみ)や茎の部分を食べるために栽培された野菜を指します。
- 一方、「菜の花(なのはな)」は、同じアブラナ科の植物でも観賞用や自然に咲く野花としての呼び名です。
| 用語 | 主な用途 | 見た目・特徴 |
|---|---|---|
| 菜花(なばな) | 食用 | つぼみ・茎がやわらかい。苦味あり |
| 菜の花(なのはな) | 観賞用・野草 | 花が咲いている。苦味が強いことも |
どんな味がするの?
- ほろ苦さと春らしい香りが特徴で、「大人の味わい」として親しまれています。
- 茹でるとやや甘みが出て、おひたし・からし和え・天ぷら・パスタなど幅広い料理に使えます。

現役和食調理師のヒント
菜花は「苦味を活かす野菜」。ポン酢やからし、ごまなど風味の強い調味料と合わせると、奥行きのある味になります。
菜花と相性の良い食材
菜花(なばな)は、独特のほろ苦さと春らしい香りをもつ野菜です。
この個性を活かすには「風味の強い食材」や「コクのある調味料」との組み合わせが良いです。
よく合う食材と調味料の例
| 相性のよい食材 | ポイント・理由 |
|---|---|
| からし(和がらし) | 苦味に辛みがよく合う。菜花の定番和え物に |
| ごま(白・黒) | 香ばしさとコクで菜花の青さを引き立てる |
| ツナ・油揚げ | 油分が加わることで、菜花の苦味がやわらぐ |
| 卵(炒め物・卵とじ) | まろやかさがプラスされ、苦味を緩和できる |
| ベーコン・ハム | 塩気と旨みで洋風にもアレンジしやすい |
| オリーブオイル | 洋風のおひたし・パスタにもおすすめ |
おすすめの組み合わせ例
- 菜花+からし+白だし → 春の香り広がる「からし和え」
- 菜花+ごま+砂糖+しょうゆ → 定番の「ごま和え」
- 菜花+ベーコン+にんにく → 洋風の炒め物やパスタに◎
- 菜花+ツナ+マヨネーズ → 子どもでも食べやすい「洋風和え」

現役和食調理師のヒント
あえてコクのある食材と合わせることで、苦味をまろやかに包み込み、春を感じる一皿に仕上がります。
洋風ならにんにくやアンチョビ、中華ならごま油とも好相性ですよ。
菜花の保存方法
菜花は葉物野菜の中でもとくに傷みやすいため、買ってきたらできるだけ早めに調理しましょう。
すぐに使わない場合は、保存方法を工夫することで1〜3日程度の鮮度保持が可能です。
冷蔵保存(短期保存)
湿らせたキッチンペーパー+立てて保存
- 根元を湿らせたキッチンペーパーで包む
- ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存(できればコップに入れてもOK)
- 乾燥や冷風を避けるのがポイント
⏳ 保存目安:2〜3日以内
冷凍保存(加熱後)
- 軽く下茹でした菜花を冷水にとり、水気をよく絞る
- 食べやすい長さにカットし、ラップで小分けに包む
- フリーザーバッグに入れて冷凍庫へ
⏳ 保存目安:2〜3週間
※解凍後はおひたしや和え物に使うと食感が活きます。
常温保存はNG
冬場でも室温保存は避け、必ず冷蔵・冷凍を活用しましょう。
菜花は常温ではすぐにしおれやすく、風味も落ちます。

現役和食調理師のヒント
茹でた菜花を冷凍する場合は、「固めに茹でて水気をしっかり絞る」のがポイント。水っぽさを抑えれば、解凍後でもおいしくいただけます。
菜花の品種
「菜花(なばな)」は、ひとつの品種名ではなく複数のアブラナ科野菜の若芽を総称した呼び名です。
そのため、見た目や味わいに違いがあり、地域によって呼び名も異なります。
よく出回る主な品種一覧
| 品種名 | 特徴 | 主な産地 |
|---|---|---|
| アブラナ菜花(和種菜花) | 苦味が少なく、花芽が締まっている | 千葉・愛知・九州など |
| 西洋菜花(セイヨウナバナ) | 「菜の花」として出回ることも。花が大きく苦味あり | 関東・中部 |
| かき菜(掻き菜) | 茎がやわらかく甘みがあり、おひたしに最適 | 栃木・群馬・福島など |
| 花かつお菜 | 葉が大きく、ボリューム感あり。味はマイルド | 九州地方 |
| 早生菜花(わせなばな) | 出荷時期が早い品種で、冬〜初春に流通 | 全国各地 |
菜花の栄養素|食品成分表
和種なばな(茹で)花らい
可食部100g当たり
| 栄養素 | 和種 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 28 | ㎉ |
| 水分 | 90.2 | g |
| タンパク質 | 4.7 | g |
| 脂質 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 4.3 | g |
| 炭水化物 | 4.3 | g |
| ナトリウム | 7 | ㎎ |
| カリウム | 170 | ㎎ |
| カルシウム | 140 | ㎎ |
| マグネシウム | 19 | ㎎ |
| リン | 86 | ㎎ |
| 鉄 | 1.7 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.07 | ㎎ |
| マンガン | 0.25 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 2400 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.8 | ㎎ |
| ビタミンK | 250 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.07 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.14 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.5 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.11 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 190 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.30 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 44 | ㎎ |
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菜花(なばな)の英語・漢字表記

漢字表記:菜花(なばな)・菜の花(なのはな)
- 「菜花(なばな)」は、アブラナ科の植物の若芽やつぼみを食用とする総称です。
- 「菜の花(なのはな)」は、特に観賞用の花が咲いたものを指すことが多く、食用との違いは品種や収穫時期によります。
🔸漢字で混同されやすいですが、「菜花」は食用野菜名、「菜の花」は見た目や花を楽しむ名称として使われています。
英語表記:Canola flower(キャノーラ・フラワー)
- 英語で「菜花」に最も近い表現は Canola flower ですが、これは厳密には一部の洋種に対する表現です。完全な対応語ではないが、英語圏での紹介やレシピでは Canola flower を使うことが多い
発音と表現例
| 英語表記 | 発音記号 | カタカナ読み |
|---|---|---|
| Canola flower | /kəˈnəʊlə ˈflaʊər/ | キャノーラ・フラワー |
| Rapeseed flower | /ˈreɪpˌsiːd ˈflaʊər/ | レイプシード・フラワー(主に油用) |
また、料理やレシピの中では以下のように表現されることもあります
- Boiled canola flower with mustard sauce(菜花のからし和え)
- Canola flower salad(菜花のおひたし風サラダ)

現役和食調理師のヒント
海外ではあまり一般的ではない食材ですが、和食での「春の季節感を伝える定番野菜」として、英語圏でも“Japanese seasonal vegetable”として紹介されることがあります。
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