「桜の季節に川をのぼる姿から名付けられた『桜鱒(さくらます)』
桜鱒(さくらます)ってどんな魚?
英語表記や栄養成分は?
春を告げる魚として知られる桜鱒は、桜色の身と上品な脂が特徴。旬の時期に味わうと格別で、焼き物や刺身、洋風料理まで幅広く楽しめます。
ここでは、旬の時期・味わい・栄養素・相性の良い食材・英語や漢字の表記まで、調理師の視点でまとめました。
※本記事には広告が表示されます。
さくらますの旬
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|

現役和食調理師のヒント
春先の桜鱒は、脂のりがちょうどよく塩焼きや刺身に最適です。夏以降は味が落ちるため、やはり“桜の季節に食べる”のが一番ですね。
さくらますの解説

桜鱒(さくらます)は、サケ科サケ属の回遊魚で、降海型のヤマメが海に下りて成長した姿を指します。体長は40〜60cmほどで、桜の花びらのように淡いピンク色を帯びた身が特徴的です。
見た目は鮭に似ていますが、桜鱒はより繊細でやわらかい身質を持ち、脂のりも上品。刺身にすると口の中でとろける食感が楽しめ、焼き物や煮付けにしてもふっくらと仕上がります。
- 淡水で育ち海水に出る。そのあとに産卵のため淡水に帰ってくる
- 「山女魚(ヤマメ)と同種で、降海する魚を「サクラマス」と呼ぶ
- 山女魚よりも体型はおおきく育つ(40~70㎝)
- 大半が天然物で北海道が漁獲量ぼ70%を占める
- うろこは小さくて取りやすい
- 皮が厚く、骨は柔らかい
- 漁獲量が少なく、脂がのっていることから高級魚として扱われる
- 寄生虫がいるので生食は避けた方が良い(日本海裂頭条虫)
- 寄生虫は-20℃で24時間凍らせることで予防できる
味わいの特徴
- 身色:桜色を帯びた淡いピンク
- 食感:やわらかく、きめ細かい
- 脂の質:鮭より控えめで上品な旨味
- 料理適性:和食・洋食どちらにも合う
特に春先に漁獲される桜鱒は「春の味覚」として珍重され、料亭や鮮魚店でも人気の高い魚です。

現役和食調理師のヒント
桜鱒は“鮭よりも繊細、ヤマメよりも力強い”といったイメージ。脂のバランスがよく、塩焼きでも刺身でも失敗が少ない優等生です。
地方名
| 呼称 | 主な地域・由来 |
|---|---|
| 雪代鱒 ユキシロマス | 雪解け水の時期に川へ遡上するため、春の季節を表す呼び名 |
| 本鱒 ホンマス | サクラマスの正式名として使われることが多い |
| 真鱒 ママス | 「本物のマス」の意味。地域によってサクラマスを指す呼称 |
| 銀鱒 ギンマス | 海に下りて銀色に輝いた体色を持つ個体を指す |
| 琵琶鱒 ビワマス | 琵琶湖に生息する陸封型のサクラマス。淡水で一生を過ごす |

現役和食調理師のヒント
料理人としては“銀鱒”は脂がのって旨い個体、“ビワマス”は上品で淡白な個体、と覚えておくと便利です。名前だけでなく味の違いを意識すると献立に活かせますよ。
桜鱒の目利き(鮮度の見分け方)
桜鱒は鮮度が命。選ぶときは以下のポイントをチェックしましょう。
腹にハリがある …
痩せているものは味が落ちやすいです
目が澄んで黒々としている …
濁りやくもりがあるものは鮮度が落ちています
エラが鮮やかな赤色 …
茶色やくすんだ色は避けましょう
身に張りと弾力がある …
やわらかすぎるものは鮮度が低下しています
体表が銀色に輝いている …
ウロコがしっかり付いているものが新鮮

現役和食調理師のヒント
鮮度の良い桜鱒は皮目がつややかで、包丁を入れたときに“スッ”と切れます。逆に水っぽい個体は、刺身よりも塩焼きや煮付けに回すと美味しくいただけます。
桜鱒に合う調理法
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 塩焼き | ◎ | 脂がのった身と皮目の香ばしさが際立つ定番調理法 |
| 刺身 | ○ | 新鮮な個体なら上品な脂と桜色の身を堪能できる |
| 煮付け | ○ | 身がやわらかく、甘辛い味付けがよく染み込む |
| ムニエル | ◎ | バターのコクと淡い脂が好相性。洋風でも楽しめる |
| 燻製 | ○ | 保存性が高まり、香りが加わり酒肴にぴったり |
| ホイル焼き | ○ | 味噌やバターと合わせると旨味が引き立つ |

現役和食調理師のヒント
桜鱒は“和”にも“洋”にもよく馴染む万能魚。塩焼きで素材そのものを味わうのもいいですが、ムニエルにすると上品な白身が一気にごちそう感を増しますよ。」
桜鱒と相性の良い食材
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 大根おろし | 脂の旨味をさっぱりと中和。塩焼きの定番の添え物 |
| レモン すだち | 爽やかな酸味で風味を引き立て、刺身や焼き物に◎ |
| 木の芽 | 春らしい香りが桜鱒の旬と調和。味噌焼きやホイル焼きに |
| 味噌 | ホイル焼きや西京漬けにすると旨味が増す |
| バター | ムニエルやソテーでコクをプラス。洋風アレンジに最適 |
| 山葵 | 刺身に合わせることで脂の甘みを引き立てる |
| 白ワイン | ムニエルや蒸し焼きに使うと、臭み消しと香りづけに効果的 |
さくらますの栄養素 ~食品成分表~
さくらます
| 栄養素 | 焼き | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 0 | % |
| エネルギー | 208 | 146 | ㎉ |
| 水分 | 57.4 | 69.8 | g |
| タンパク質 | 28.4 | 20.9 | g |
| 脂質 | 12.0 | 7.7 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 71 | 53 | ㎎ |
| カリウム | 520 | 390 | ㎎ |
| カルシウム | 26 | 15 | ㎎ |
| マグネシウム | 38 | 28 | ㎎ |
| リン | 370 | 260 | ㎎ |
| 鉄 | 0.5 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.7 | 0.5 | ㎎ |
| 銅 | 0.08 | 0.06 | ㎎ |
| マンガン | 0.01 | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 55 | 36 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | 15.0 | 10.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 3.3 | 2.3 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.12 | 0.11 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.23 | 0.14 | ㎎ |
| ナイアシン | 10.0 | 8.8 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.32 | 0.52 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 9.2 | 7.6 | ㎍ |
| 葉酸 | 26 | 21 | ㎍ |
| パントテン酸 | 1.28 | 0.97 | ㎎ |
| ビオチン | – | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | 1 | ㎎ |
| 栄養素 | 含有量(焼き) | ひとこと評価 |
|---|---|---|
| ビタミンD | 15.0 µg | 魚類でも上位クラス。骨・免疫に◎ |
| ビタミンB12 | 9.2 µg | 造血・神経に必須。サーモン類らしく高い |
| ナイアシン | 10.0 mg | エネルギー代謝を支える。青魚並みに豊富 |
| カリウム | 520 mg | 体内の水分・塩分バランスに関与。魚の中でも高め |
| リン | 370 mg | 骨や歯の構成成分。魚介類の強みが出ている |

おかみさんの一言
桜鱒は、たんぱく質もしっかり、DHAやEPAといった体にいい脂も豊富。春の食卓に出すと、“旬を食べてるなぁ”って感じがして嬉しくなりますね。健康にも美容にもやさしいお魚なんですよ。
桜鱒の英語・漢字表記

漢字表記:桜鱒
ひらがな表記:さくらます
英語表記:Cherry salmon
発音記号:[ˈʧɛri ˈsæmən]
カタカナ読み:チェリー サーモン
