牛肉の「ネック(長頸)」は、首まわりの筋肉部分にあたる部位で、別名「首肉」とも呼ばれます。運動量が多い部位のため、筋繊維がしっかりとしていて硬めですが、旨味とコクが非常に濃いのが特徴です。
煮込み料理やスープ、シチューなど、じっくり火を通す調理法に向く部位として知られ、プロの調理現場でも「隠れた旨味肉」として人気があります。
一方で、普段スーパーでは見かけにくく、
ネック(長頸)とはどこの部位?
どんな料理に合うの?
と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、牛肉ネックの位置・特徴・おすすめ調理法・英語表記(Chuck Neck)まで、現役調理師の視点でわかりやすく解説します。通販で部位を選ぶ際の参考にもぜひご活用ください。
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牛肉ネック(長頸・首肉)とは? ~概要~

牛肉のネック(Neck)は、名前の通り首まわりの筋肉部分にあたる部位です。
別名で「長頸(ちょうけい)」、または「首肉」とも呼ばれ、牛が日常的に頭を支えたり動かしたりする際に使う筋肉のため、運動量が非常に多く、筋繊維がしっかりと発達しています。
そのため、肉質はやや硬めですが、筋肉の中に含まれるコラーゲンや旨味成分が豊富で、煮込むことで深いコクと濃厚な味わいを楽しめます。
ネックは肩(カタ)やスネと同様に「煮込み向きの赤身肉」として扱われることが多く、シチュー・スープ・カレー・ボルシチなど、時間をかけてやわらかく仕上げる料理に最適な部位です。
スーパーではあまり見かけませんが、精肉店や通販サイトでは「ネック」「長頸」「首肉」として販売されていることがあり、お得な価格で旨味の強い肉を選びたい方におすすめの隠れた人気部位です。

現役和食調理師のヒント
ネックは筋が多く、焼き物にはあまり向きませんが、煮込み料理やスープの出汁用としては一級品です。
ネックの特徴と味わい
牛肉のネック(長頸・首肉)は、首まわりの筋肉部分にあたるため、筋繊維がしっかりとしていて、やや硬めの肉質が特徴です。牛が日常的に頭を支え、上下に動かす際に使う部位のため、運動量が非常に多く、赤身中心で脂肪が少なく、コラーゲンを多く含む構造になっています。
肉質の特徴
- 筋肉質で引き締まった肉質
筋繊維が発達しており、焼きすぎると硬くなりやすい一方で、じっくり火を通すことでやわらかくなり、旨味が溶け出すのが魅力です。 - 脂肪が少なく、きめは粗め
脂身が少なくあっさりとした印象で、赤身本来の風味を味わえます。 - 結合組織・コラーゲンが豊富
煮込み調理でゼラチン化し、とろけるような食感とコクが生まれます。
味わいの特徴
- 旨味が濃く、コク深い味わい
脂肪の少なさに反して、赤身の旨味が強く、味がしっかりしているのが特徴です。
煮込み料理ではスープに旨味が溶け込み、料理全体を支える出汁肉としても優秀です。 - 香りが豊かで風味が強い
肉の風味が濃厚なため、香辛料や赤ワインなどと合わせても存在感を保ちます。

現役和食調理師のヒント
ネックは「硬いけれど旨い肉」の代表格です。焼くよりも時間をかけて煮込むことで、やわらかくほぐれ、旨味がしっかり染み出します。
ネックの位置と分類

牛肉のネック(長頸・首肉)は、名前のとおり首まわりの筋肉部分にあたる部位です。
頭と肩(カタ)のあいだに位置し、牛が頭を支えるときに常に使われているため、運動量が非常に多く、筋肉がよく発達しているのが特徴です。
肩ロースの前方にあり「肩(カタ)」や「スネ」と並んで、煮込み料理に向く赤身肉として扱われます。

現役和食調理師のヒント
ネックは肩やスネと同じようによく動かす筋肉部位なので、繊維がしっかりしており、長時間の加熱で旨味を引き出すタイプの肉です。
ネックに合う料理・調理法

牛肉のネック(長頸・首肉)は、筋肉質でやや硬めの肉質ですが、コラーゲンや旨味成分が豊富なため、煮込み料理やスープでその力を発揮します。
じっくり火を通すことで、とろけるような食感と濃厚なコクが生まれます。
| 調理法 | 特徴・ポイント | 向いている料理 |
|---|---|---|
| 煮込み | 水分を加えてゆっくり加熱することで、硬い筋繊維がやわらかくなり、旨味がスープ全体に溶け出す。 | ビーフシチュー カレー 赤ワイン煮 ポトフ |
| スープ 出汁用 | 骨付きで煮込むと出汁が濃厚に。コラーゲンが溶け出し、スープがまろやかに仕上がる。 | 牛骨スープ コンソメ フォーのスープ |
| 低温調理 | 温度を一定に保ちながら加熱すると、硬くならずしっとりした食感に。 | ローストビーフ風 ほぐし肉サラダ |
| ひき肉 | 旨味が強く、ミンチにすると食べやすくコク深い味わいになる。 | ハンバーグ ミートソース コロッケの具 |

現役和食調理師のヒント
ネックは筋が多く、短時間加熱では硬さが残りやすいため、ステーキや焼肉などの直火焼きには不向きです。
和牛ネックと輸入牛ネックの違い

牛肉のネック(首肉)は、産地や品種によって味わい・脂の質・香りが大きく異なります。
特に、和牛と輸入牛では次のような違いがあります。
| 比較項目 | 和牛ネック | 輸入牛ネック |
|---|---|---|
| 脂肪の質 | 霜降りが細かく、脂に甘みと香りがある | 赤身中心で脂は少なめ、あっさりとした味わい |
| 肉質 | きめ細かく、時間をかけるとしっとり柔らか | やや繊維が粗く、弾力が強い |
| 味の特徴 | コクと旨味が強く、煮込みにすると深い味わい | さっぱりとした味で、スープやミンチに向く |
| 価格 | 高価(霜降りやブランド牛は特に高価) | 比較的リーズナブルで手に入りやすい |
| おすすめ用途 | 特別な煮込み料理、和食の出汁用、特別な牛すじ煮込み | 日常使いのカレー・シチュー・スープ |

現役和食調理師のヒント
和牛ネックは脂の旨味とコクが豊かで、高級感のある味わいになります。
一方、輸入牛ネックは赤身の風味がしっかりしており、スープやカレーなど、日常使いに最適です。
ネックの栄養素(100gあたり参考値)
現在、文部科学省が公開している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 には、「ネック(首肉・長頸)」に該当するデータは掲載されていません。
そのため本ページでは正確な栄養成分値を示すことができません。
ネックは「肩やかたロースに近い位置」にあるため、赤身中心でたんぱく質が豊富、脂肪はやや少なめの傾向があると考えられます。
▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
ネックの英語表記・別名(Chuck Neck / Beef Neck)
牛肉のネック(首肉)は英語で一般的に次のように表現されます。
| 日本語名 | 英語表記 | 補足 |
|---|---|---|
| ネック (首肉・長頸) | Neck / Beef Neck | 一般的な呼称。部位名として最もよく使われる。 |
| チャックネック (肩・首にまたがる部位) | Chuck Neck | 肩(Chuck)に含まれる首寄りの部分を指す。 |
| ネックミート | Neck Meat | 料理・加工用の表記として使用されることがある。 |
Beef neck is rich in collagen and perfect for soups and stews.
(牛の首肉はコラーゲンが豊富で、スープやシチューに最適です。)
Chuck neck is a tough cut that becomes tender after slow cooking.
(チャックネックは硬い部位ですが、じっくり煮込むと柔らかくなります。)
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