無花果(いちじく)は、農林水産省の資料でも「不老不死の果実」と紹介されるほど栄養価の高い果物です。プチプチとした独特の食感と上品な甘さが特徴で、旬は6月から10月まで。
しかし、「いつが一番美味しい時期?」「すぐに傷んでしまう…」「栄養価は本当に高いの?」など、疑問も多いのではないでしょうか。
この記事では、現役和食調理師が無花果の旬の時期、栄養成分、正しい保存方法、美味しい選び方まで徹底解説します。
無花果の旬は6月〜10月|8〜9月が最盛期

無花果(いちじく)の旬は、6月から10月ごろ
無花果には「夏果」と「秋果」の2つの収穫期があります。
夏果と秋果の違い
【夏果】6月〜7月
- ハウス栽培が中心
- 収穫量が少なく希少
- さっぱりとした甘さ
【秋果】8月〜10月
- 露地栽培のメイン時期
- 市場に多く流通
- 濃厚でとろけるような甘さ
- 最も美味しい時期
一般的にスーパーで見かける無花果の多くは「秋果」です。特に8月後半から9月が、味・品質・流通量ともにピークを迎え、最も美味しい時期とされています。10月になるとシーズン終盤となり、徐々に市場から姿を消していきます。
季節で食材を選びたい方へ。9月に旬を迎える野菜と果物を一覧でまとめていますので、献立や買い物の参考にしてください▶【保存版】9月|旬の野菜と果物【一覧表】
無花果とは ~解説~

- 夏から初秋(7月~10月)にかけて旬を迎える果物
- 柔らかい果肉とプチプチとした食感が特徴
- 果皮の色は品種によって赤紫系や黄緑系があり、熟すと手で簡単に裂ける
- 生食だけでなく、ジャムやコンポート、焼き菓子などにも使われる
- 古くから栽培されている果物で、品種も多く存在する
- 熟すと非常に傷みやすく、日持ちがしにくいため取り扱いに注意が必要
- 乾燥いちじく(ドライフルーツ)としても広く流通している
栄養
- 果物の中では比較的エネルギーが低く、100gあたり54kcal程度
- 水分が多く、みずみずしい食感が味わえる
- 食物繊維を含み、ドライタイプではさらに含有量が高まる傾向がある
- カリウムやカルシウムなどのミネラルを含む果物の一つ
- ビタミンB群や葉酸なども含まれている
- 果肉に含まれる小さな種子が、独特の食感のもとになっている
- 赤紫色の果皮にはアントシアニンなどのポリフェノールが含まれている
無花果の保存方法
常温保存:❌ 不向き
無花果は追熟しない果物のため、常温保存には向きません。特に旬の時期(6〜10月)は気温が高く、傷みやすいため、購入後はすぐに冷蔵庫へ入れましょう。
冷蔵保存:おすすめ
保存方法
- 傷がついた無花果は取り除く
- 1個ずつキッチンペーパーで包む
- 保存容器またはポリ袋に入れて野菜室へ
- 無花果同士が重ならないよう注意
保存期間
2〜3日程度が目安

現役和食調理師のヒント
購入後は早めに食べるのがベストです。乾燥に弱いため、必ず1個ずつ包むと良い。水気がある場合はしっかり拭き取る事。
冷凍保存:長期保存したい場合(約1ヶ月)
丸ごと冷凍する場合
- 無花果を洗い、水気をしっかり拭き取る
- 1個ずつラップで包む
- 冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ
- 金属バットの上に置くと急速冷凍できる
カットして冷凍する場合
- 皮をむいて好みの大きさにカット(乱切り・くし切り)
- ラップで小分けして包む
- 冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ
解凍方法&食べ方
- ❌ 完全解凍:水分が出てベチャッとなる
- ✅ 半解凍:シャーベット状で食べるのがおすすめ
- 凍ったまま食べる:シャリシャリ食感を楽しめる
- 冷凍庫から出して5分ほど置くと切りやすくなる
冷凍無花果の皮むき裏ワザ
凍ったまま流水を5秒ほどかけると、皮がスルッとむけます
活用方法
- ヨーグルトのトッピング
- スムージー
- ジャム作り
- 焼き菓子(解凍せずそのまま調理OK)
主な品種群
- 桝井ドーフィン
- 蓬莱柿(ほうらいし)
- とよみつひめ
無花果とよく合う食材

| 食材 | 相性のポイント・おすすめ料理例 |
|---|---|
| 生ハム | 甘みと塩気のコントラストが抜群。サラダや前菜に。 |
| チーズ | 濃厚なコクといちじくの甘酸っぱさが好相性。カナッペやサラダに。 |
| 鴨肉 豚肉 | いちじくソースにして合わせると高級感のある一皿に。 |
| ルッコラ ベビーリーフ | 苦味のある葉物と合わせてサラダに。 |
| トマト きゅうり | みずみずしさと酸味でバランス◎。さっぱりサラダに。 |
| オレンジ レモン | 爽やかな酸味で甘さを引き締める。マリネやデザートに。 |
| バルサミコ酢 | 甘みと酸味が融合。サラダや肉料理に。 |
| はちみつ | 甘みをさらに引き立てる。チーズと合わせて◎。 |
| オリーブオイル | マリネやカルパッチョ風に仕上げると香り良くまとまる。 |
| パン クラッカー | チーズや生ハムと合わせて前菜やおつまみに。 |
| ヨーグルト アイスクリーム | 甘酸っぱさが乳製品と好相性。デザートに最適。 |
| クルミ アーモンド | 香ばしさと食感がアクセントに。お菓子やサラダに。 |
無花果とよく合う調理法

| 調理法 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 生食 | 甘みやジューシーさをダイレクトに感じられる。スムージーやヨーグルトなどに添えると色・食感アップ。 |
| 炙り | 火を通して表面をキャラメリゼすると、甘さが増し香ばしさが出る。 |
| オーブン焼き | ハチミツやバルサミコ酢などと一緒にオーブンで焼くと、しっとりと蜜のようなソースが出る。甘さと風味の深みが強まる。 |
| 煮込み | ワインやシロップ、香辛料で柔らかく煮て風味を引き出す。ソースに使いやすくなる。 |
| ジャム | 加熱して甘みを凝縮させ、保存が利く形に。パンやチーズと好相性。 |
| 乾燥加工 | 水分を飛ばして甘みが濃くなり、保存性が高まる。お菓子・スナックとしても使える。 |
| 甘味+塩気 甘味+酸味 | プロシュート(生ハム)などの塩味、バルサミコや柑橘の酸味との組み合わせで甘さが引き立つ。 |
宮城県の伝統食には「無花果の甘露煮」があります。詳しくは農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 いちじくの甘露煮」
無花果に含まれる主な栄養素

無花果は、ビタミンやミネラル、食物繊維など、様々な栄養素を含む果物です。果肉の赤い色素にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれており、独特のプチプチとした食感の中に栄養が詰まっています。
食物繊維(ペクチン)
無花果には、水溶性食物繊維の一種である「ペクチン」が含まれています。不溶性食物繊維は便のカサを増やして、便通を促す作用があります。毎日の健康的な食生活をサポートする栄養素です。
カリウム
カリウムには体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。筋肉の収縮や神経の働きにも密接にかかわる重要なミネラルのひとつです。
ポリフェノール(アントシアニン)
無花果の果皮や果肉の赤い部分には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。アントシアニンは植物に含まれる色素成分です。
その他のミネラル・ビタミン
カルシウム、鉄、葉酸、ビタミンB群など、体の健康維持に必要な栄養素をバランスよく含んでいます。
生とドライいちじくの栄養価の違い
ドライいちじくは水分が抜けているため、100gあたりでみると生いちじくよりも数値が大きくなり、食物繊維とミネラル(鉄・カリウム・カルシウム)が、生いちじくの約1.5〜2倍多く含まれ、ギュッと凝縮されています。ただし、カロリーも約5倍になるため、食べる量には注意が必要です。
無花果を効率よく食べるポイント
ヨーグルトやチーズと一緒に
ヨーグルトやチーズなどに含まれる乳酸菌と無花果の食物繊維とを一緒に食べることで、相乗効果で腸内環境を整える働きが期待できます
皮ごと食べる
果皮にもアントシアニンなどの成分が含まれているため、よく洗って皮ごと食べるのもおすすめです。
食べ過ぎには注意
水溶性食物繊維のペクチンは、食べ過ぎると下痢症状をきたすことがあります。1日1〜2個程度を目安に、適量を楽しみましょう。
無花果100gあたりの栄養素含有量
| 栄養素 | 乾燥 | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 15 | % |
| エネルギー | 272 | 57 | ㎉ |
| 水分 | 18.0 | 84.6 | g |
| タンパク質 | 3.0 | 0.6 | g |
| 脂質 | 1.1 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 10.7 | 1.9 | g |
| 炭水化物 | 75.3 | 14.3 | g |
| ナトリウム | 93 | 2 | ㎎ |
| カリウム | 840 | 170 | ㎎ |
| カルシウム | 190 | 26 | ㎎ |
| マグネシウム | 67 | 14 | ㎎ |
| リン | 75 | 16 | ㎎ |
| 鉄 | 1.7 | 0.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.6 | 0.2 | ㎎ |
| 銅 | 0.31 | 0.06 | ㎎ |
| マンガン | 0.48 | 0.08 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | — | – | ㎍ |
| モリブデン | – | 4 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 34 | 15 | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.69 | 0.4 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.10 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.06 | 0.03 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.7 | 0.2 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.23 | 0.07 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 10 | 22 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.36 | 0.23 | ㎎ |
| ビオチン | – | 0.4 | ㎍ |
| ビタミンC | – | 2 | ㎎ |

現役和食調理師のヒント
無花果は栄養価が高い果物ですが、カロリーも含まれています。毎日の食事にバランスよく取り入れることが大切です。
無花果の英語表記

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Fig |
| 発音記号 | /fɪɡ/ |
| 読み方(カタカナ) | フィグ |
| 備考 | 日本語の「いちじく」は、英語では一般的に Fig と呼ばれます。複数形は Figs。生果実だけでなく、ドライフルーツとしてもよく流通しています。 |
