枇杷(びわ)の旬はいつ? 英語では何と呼ばれる? 種に含まれる成分で食中毒になるって本当?
初夏に旬を迎える枇杷は、みずみずしい甘さとやさしい酸味が魅力の果物です。一方で、種には「アミグダリン」という有毒成分が含まれており、厚生労働省からも注意喚起がされています。
この記事では、枇杷の旬・特徴・栄養素・英語表記から、食中毒の注意点・選び方・保存方法・相性の良い食材まで、調理師目線でわかりやすく解説します。安全に美味しく枇杷を楽しむために、ぜひ最後までご覧ください。
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枇杷(びわ)の旬 ~おいしい時期~
日本の枇杷は初夏(5月〜6月)に旬を迎えます。
特に長崎県や千葉県などの温暖な地域では、露地物がたっぷりと実り、甘みが増す時期です。
ハウス栽培のものは4月頃から市場に出回りはじめますが、もっとも風味が濃くなるのは5月中旬〜6月初旬。皮が張っていて色ツヤのよいものが、美味しい旬の枇杷の証です。
びわ
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のヒント
枇杷は生食が一番ですが、コンポートやゼリーにもよく合います。旬のものは果汁が豊かで、スプーンですくえるほど柔らかくなります。
枇杷とは~解説~

- バラ科ビワ属の果樹で、日本では古くから親しまれている
- 枇杷(びわ)は初夏の果物。
- 楕円形の黄橙色の果実で果肉は多汁で甘く、柔らかい
- ほんのりとした甘みと酸味が特徴
- 実の大きさの割には種が大きい
- 原産は中国南部とされ、日本へは奈良時代以前に渡来したと言われています。
- 現在では、長崎・千葉・鹿児島などで多く栽培されています。
📌 枇杷の特徴
- 水分が多く、ジューシーで口当たりがなめらか
- 種が大きく、果肉は少なめだが風味がよい
- 熟すととてもデリケートで傷みやすいため、出回る期間は短く「季節の味覚」として重宝されます。

現役和食調理師のヒント
枇杷は和菓子の餡に使われるほか、煮崩れしにくいので白ワイン煮や葛煉りなどにも向いています。熟しすぎない実を選ぶのがコツです。
枇杷の種と食中毒に注意
⚠️ 種には「アミグダリン」という有毒成分が含まれる
枇杷の種(仁)にはアミグダリン(青酸配糖体)という成分が含まれており、体内で分解されると有毒なシアン化水素(青酸)を生成する恐れがあります。
通常の食生活で果実の果肉を食べるぶんには問題ありませんが、種を割って中身を食べたり、お茶や粉末加工などで過剰摂取することは大変危険です。
🚫 厚生労働省からの注意喚起
厚生労働省では、枇杷の種子を使った健康食品(粉末やエキスなど)について、青酸中毒のリスクがあるため摂取しないようにと公式に注意を促しています。▶ 参考:厚生労働省「ビワの種子の摂取について」
魚介類や野菜を食べるときのリスクが気になる方は、こちらのページで【最新版】食中毒の種類・症状・原因一覧をわかりやすく解説しています。

現役和食調理師のヒント
枇杷は果肉だけを食べるようにしましょう。昔は種を煎じて飲む習慣もありましたが、現在では安全性の面からおすすめできません。
枇杷の選び方
新鮮で美味しい枇杷を選ぶポイントは、以下の3点です。
✅ 色
全体が黄橙色に均一に色づいているもの
完熟した枇杷は黄橙色(オレンジがかった黄色)になります。青みや緑が残っているものは未熟の可能性があります。
✅ 皮の状態
うぶ毛が残っていてハリがあるもの
皮にうっすらと産毛(うぶげ)が残っているものは収穫して間もない証拠です。また、皮にハリとツヤがあるものが新鮮です。
✅ ヘタ
ヘタが乾いておらず、みずみずしいもの
ヘタがしおれていたり黒ずんでいるものは、収穫から時間が経っている場合があります。ヘタの周りまできれいなものを選びましょう。

現役和食調理師のヒント
枇杷は追熟しない果物です。店頭で完熟のものを選ぶことが大切。やわらかすぎず、軽く押して弾力があるものがベストです。
枇杷と相性の良い食材
枇杷はやさしい甘さとみずみずしさが特徴で、生食はもちろん、甘味や塩味・酸味と合わせやすい果物です。以下のような食材との相性が良く、料理やデザートに活かせます。
| 相性の良い食材例 | 活用例 |
|---|---|
| ヨーグルト クリームチーズ マスカルポーネ | 枇杷ヨーグルト チーズカナッペ |
| 生ハム 鶏むね肉 | 前菜、冷製料理 サラダ仕立て |
| レモン オレンジ キウイ | フルーツポンチ マリネ |
| 白あん はちみつ 黒蜜 | 和菓子、冷菓 和風パフェ |
| ミント バジル ローズマリー | コンポート ドリンクのアクセント |

現役和食調理師のヒント
枇杷は酸味と塩味をやさしく受け止める果物。生ハムで巻いたり、ヨーグルトと合わせたり、夏向けの涼やかな前菜にもぴったりです。
枇杷の保存方法
枇杷はとてもデリケートな果物で、収穫後に追熟しないため、購入後は早めに食べきるのが理想です。
🧊 常温保存(おすすめ)
- 保存期間:1〜2日程度
- 涼しい場所で風通しのよい場所に、ヘタを下にして置いてください。
- 冷蔵庫に入れると風味が損なわれやすいため、常温保存が基本です。
🧊 冷蔵保存(暑い時期のみ)
- 保存期間:2〜3日
- 暑い時期など、どうしても冷蔵が必要な場合は、1個ずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて野菜室へ。
- 低温に弱いため、できるだけ早めに食べるようにしましょう。
❄️ 冷凍保存(加工用)
- 枇杷は冷凍も可能ですが、食感が変わりやすく、生食には向きません。
- 皮をむき、種を取り除いたものをラップに包んで冷凍すると、スムージーやジャム、ソース用に使えます。

現役和食調理師のヒント
生食が一番ですが、余ったときは白ワインと砂糖でコンポートにして冷蔵保存すると、風味が長持ちしておすすめです。
主な品種群
- 唐川びわ
- 茂木びわ
びわの栄養素(食品成分表)
びわ(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 30 | % |
| エネルギー | 41 | ㎉ |
| 水分 | 88.6 | g |
| タンパク質 | 0.3 | g |
| 脂質 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 1.6 | g |
| 炭水化物 | 10.6 | g |
| ナトリウム | 1 | ㎎ |
| カリウム | 160 | ㎎ |
| カルシウム | 13 | ㎎ |
| マグネシウム | 14 | ㎎ |
| リン | 9 | ㎎ |
| 鉄 | 0.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.2 | ㎎ |
| 銅 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | 0.27 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 510 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.1 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.02 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.03 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.2 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.06 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 9 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.22 | ㎎ |
| ビオチン | 0.1 | ㎍ |
| ビタミンC | 5 | ㎎ |
- β-カロテンが高め
果物の中でも目立つ量。色味どおり“プロビタミンA系”が強み。 - 水分が非常に多く低カロリー
41 kcalと軽く、みずみずしさが主役の果物。 - カリウムは中程度にしっかり
160 mgで、果物としては標準〜やや高め。 - 食物繊維は1.6 g
可食部だけでもほどよく摂れる。 - マンガンがやや多い
0.27 mgは果物としては比較的高めの部類。
▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
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枇杷(びわ)の英語・漢字表記

- 漢字表記:枇杷
- ひらがな:びわ
- 英語表記:Loquat(ロークワット)
- 学名:Eriobotrya japonica
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。
