冬に旬を迎える「蕪(かぶ)」を、さっぱりとした酢漬けで楽しむ一品。
白い身のやさしい甘みと、柚子の香り、ほんのり効いた唐辛子の辛味が絶妙に調和します。
家庭で作ると「水っぽい」「味がぼやける」「酸っぱすぎる」と感じることもありますが、
その原因は 下処理の水抜き と 甘酢の温度 にあります。
この記事では、現役和食調理師が“歯ざわりを残して味をしっかり含ませる” プロのコツを伝授。
日持ちもよく、お弁当の副菜や箸休めにもぴったりの一品です。
よくある失敗と原因
- 水分をしっかり抜かず、味が薄い
- 酢が熱すぎて蕪がしんなりしすぎる
- 酸味が強すぎて食べにくい
- 柚子の白い部分が混じり、苦味が出る
- 保存中に汁が濁る
材料(約4人分)
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 蕪 | 3個(約300g) | 主材料。甘みと歯ざわりを生かす |
| 鷹の爪 | 1本 | ピリッとしたアクセント |
| 柚子(皮) | 1/2個分 | 香りづけ。白い部分は苦味になる |
| 昆布 | 5cm角1枚 | 旨味とまろやかさを加える |
| 水 | 300cc | 甘酢のベース |
| 砂糖 | 200cc | 酸味をやわらげる |
| 塩 | 少々 | 味の締まりを出す |
| 穀物酢 | 400cc | 酸味と保存性を担う |
下処理
- 蕪
皮ごと薄くスライス。大きければ半月または1/4に。
→ 塩水(3%食塩水)に15〜20分つけて水分を抜く。
→ しんなりしたらザルに上げ、しっかり絞って水分を切る。 - 柚子:皮を千切りにする。白いワタの部分は苦味が出るため除く。
- 鷹の爪:種を除き、小口切りにする。
作り方(よくわかるレシピ)

① 甘酢を作る(中火)
鍋に水・砂糖・塩・酢を入れて中火にかける。
合図:砂糖が完全に溶け、鍋底が澄んできたら火を止める。
沸騰直前で止め、昆布を加えてそのまま冷ます。
(沸騰させると酢の香りが飛ぶので注意)
② 蕪を塩水に浸ける
ボウルに3%の塩水を作り、スライスした蕪を入れる。
15〜20分ほど置いてしんなりしたら、水気を切り軽く絞る。
合図:蕪の断面が透明がかり、しっとりしたらOK。
③ 浸ける
冷ました①の甘酢に②の蕪を入れ、軽く混ぜる。
温かいまま入れると蕪がしなびるため、必ず冷ましてから。
④ 鷹の爪・柚子を加える
鷹の爪と柚子を加えて混ぜ、冷蔵庫で半日ほど置く。
合図:蕪がうっすら透き通り、表面にツヤが出たら完成。
失敗しない3つのコツ
- 酢液は沸騰させない(酸味と香りを飛ばさない)
- 蕪の水気をしっかり絞る(味の浸み込みと保存性がUP)
- 一晩置くと味がなじむ(翌日の方が美味しい)
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器で4〜5日
- 冷凍保存:不可(食感が劣化)
※取り出す際は清潔な箸を使う。
汁が濁ったら使い切る目安。
相性の良い料理・献立
- 焼き魚(鮭・鯖など)の添え物に
- 和風弁当の彩り副菜として
- ちらし寿司や押し寿司の口直しに
▶ 関連レシピ
・すし飯|プロが教える“よくわかるレシピ”
・酢の物の基本比率|プロが教える黄金比と応用例
旬と豆知識

蕪の旬は11月〜2月。冬の甘みがのる時期に作ると格別。
また、柚子や昆布と合わせることで保存性も高まり、
昔から「冬の常備菜」として親しまれてきた一品です。
▶ 詳しくは → [蕪(かぶ)の旬と栄養はこちら]
現役和食調理師のひと言
酢漬けの決め手は「水分の管理」。
水が多いと薄くなり、少ないとしょっぱくなります。
下ごしらえで**“軽くしんなり+しっかり絞る”**が理想の状態。
少し手をかけるだけで、驚くほど味が変わりますよ。
✅ 旬の野菜はこちら → [旬の食材一覧表]
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