秋田の冬を代表する魚として有名な「ハタハタ」。淡泊でやさしい旨味があり、塩焼き・鍋・寿司など幅広く使える白身魚です。骨が柔らかく子どもでも食べやすい一方、「旬の時期は?」「ブリコの食べ方は?」といった疑問を持つ方も多い食材でもあります。
この記事では、現役和食調理師の視点で、ハタハタの旬・特徴・地方名・目利き・おすすめレシピ・栄養素をわかりやすく解説します。
冬に最高においしくなる理由や、家庭で失敗しない扱い方のコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ハタハタの旬はいつ?産地で異なる2つの「食べ頃」

はたはたの旬は11月から1月ごろ
3月から5月ごろ
ハタハタの旬は、主に東北(秋田など)と山陰(鳥取など)で時期が異なります。
秋田県など「東北」の旬:11月〜1月
秋田のハタハタは「季節ハタハタ」と呼ばれ、産卵のために沿岸へやってくる時期が旬となります。プチプチとした卵「ブリコ」を楽しむならこの時期。
特徴
何と言ってもメスが持つ卵「ブリコ」の食感が最大のご馳走です。
「卵(ブリコ)」を楽しむなら冬の東北
秋田県などの東北地方では、11月頃から産卵のためにハタハタが沿岸にやってきます。この時期のメスが持つ、プチプチとはじけるような食感の卵「ブリコ」は、冬の東北を代表する最高のご馳走です。
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鳥取県など「山陰」の旬:3月〜5月(および9月〜)
山陰地方では、産卵とは関係なく沖合で餌を食べて育つ時期に漁が行われます。身の脂の乗りを堪能するなら、春の山陰産が最高です。
楽しみ方
煮付け、干物、炙りなど、ジューシーな身の旨味を楽しむ料理に向いています。
特徴
卵がない代わりに、身にたっぷりと脂がのっているのが特徴です。特に春の「春ハタ(シロハタ)」は脂がのって非常に美味とされます。
「身の脂」を堪能するなら春の山陰
鳥取県などの山陰地方では、3月〜5月頃に脂ののったハタハタが旬を迎えます。東北のハタハタと違い、卵に栄養を取られていない分、身そのものにたっぷりと脂がのっているのが特徴です。ジューシーな煮付けや焼き物を楽しむなら、この時期の山陰産が一番です。
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はたはたとは~解説~

- 漢字で「鱩」(魚辺に雷)とも書く
- 秋田では郷土料理に使われている(秋田の県魚)
- 鱗がなく、皮は薄い
- 身は白身で旨味があり、熱を通しても硬くならない
- 骨は柔らかく、身離れが良い
- 「しょっつる」はハタハタの魚醤
(ハタハタを塩漬け&発酵させて、出た液体を漉したもの) - ハタハタの卵巣は「ぶりこ」と呼ばれる
はたはたの地方名
- サタケウオ
- カミナリウオ
- シロハタ
- ジンタン
- オキハタ
- オキハタ
料理人が教える!美味しいハタハタを見分ける5つのポイント
ハタハタを選ぶ際、まずは全体の「輝き」に注目してください。新鮮なものは驚くほど銀色に光っています。
表面の「ツヤ」と「色」をチェック
- 全体に銀色の光沢がある: 鮮度が良い証拠です。
- 背中の模様がはっきりしている: 鮮度が落ちると模様がぼやけ、全体に白っぽく濁ってきます。
「目」の透明度
- 目が澄んでいる: 黒目がはっきりし、透明感があるものを選びましょう。
- 目が赤い・濁っている: 鮮度が落ちているサインです。
「エラ」の鮮やかさ
- 鮮やかな赤色: エラの中が見える場合は、色が真っ赤なものを選んでください。茶色っぽくなっているものは避けましょう。
体の「張り」と「厚み」
- 身がふっくらしている: 背中側に厚みがあり、お腹がダレていないものが理想です。
- メス(ブリコ)狙いなら: お腹がパンパンに膨らんでいるものを選びますが、柔らかすぎるものは産卵直前の可能性があり、身の味が落ちていることもあります。
「ぬめり」の状態
- 白濁したぬめり: ぬめりが白く濁り、独特の臭みが出ているものは選ばないようにしましょう。
- 透明なぬめり: ハタハタはもともとぬめりがある魚ですが、透明で綺麗なぬめりがあるのは新鮮な証拠です。
- 色が薄い物は鮮度が落ちているので注意する
下処理でさらに美味しく!
良いハタハタを選んだら、次は美味しい調理です。ハタハタは骨離れが良い魚ですが、背びれが鋭いため、お子様に食べさせる際は少し注意が必要です。
「安全に、美味しく魚を食べてほしい」という願いから、プロ直伝の骨の取り方を別ページで詳しく解説しています。ぜひ、この記事とセットでチェックしてみてください。
魚の小骨の取り方|簡単な骨抜き方法と子ども向け対策

現役和食調理師のヒント
「卵(ブリコ)を楽しみたいならメス」ですが、「身の美味しさや脂の乗りを楽しみたいならオス」を選ぶのが通の買い方です。オスはメスよりも少し安価で売られていることが多いですが、実は身質がしっかりしていて焼き物にすると絶品ですよ。
ハタハタの美味しさを引き立てる!相性の良い食材と料理
ハタハタはその特徴的な旨味を活かすことで、より美味しくいただけます。おすすめの組み合わせと代表的な料理をご紹介します。
伝統的な組み合わせ
- しょっつる(魚醤): 郷土料理である「しょっつる鍋」として、ハタハタの旨味を最大限に引き出す最高の相棒です。
- 塩(しお): 「塩焼き」にすることで、素材そのものが持つ上品な味をシンプルに楽しめます。
旨味を堪能する調理法
- 煮付け(につけ): 身のジューシーな旨味をじっくり味わうのに適した調理法です。
- 干物・炙り(ひもの・あぶり): 旨味が凝縮された干物を香ばしく炙ることで、より深い味わいを楽しめます。

現役和食調理師のヒント
ハタハタを食べる際の大きな楽しみは、メスが持つ「ブリコ(卵)」の食感です。この独特のプチプチとした食感を損なわないよう、火加減に配慮して調理するのが、美味しく仕上げる秘訣です。
はたはたの栄養素~食品成分表~
生干(半干し)は水分が抜けるため、たんぱく質・脂質・一部ミネラルやビタミンが濃縮され、旨味もアップします。ただしナトリウムは生の約2.8倍と高くなるため、塩分の摂り過ぎに注意ヘルシーさとビタミンD重視なら「生」、コク・B12・ビタミンEの強化なら「生干」が向いています。
はたはた
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 生干 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 50 | % |
| エネルギー | 101 | 154 | ㎉ |
| 水分 | 78.8 | 71.1 | g |
| タンパク質 | 14.1 | 16.7 | g |
| 脂質 | 5.7 | 10.3 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | – | – | g |
| ナトリウム | 180 | 510 | ㎎ |
| カリウム | 250 | 240 | ㎎ |
| カルシウム | 60 | 17 | ㎎ |
| マグネシウム | 18 | 23 | ㎎ |
| リン | 120 | 180 | ㎎ |
| 鉄 | 0.5 | 0.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.6 | 0.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.06 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | – | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | 32 | 37 | ㎍ |
| セレン | 37 | 37 | ㎍ |
| クロム | – | 1 | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 20 | 22 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | 2.0 | 1.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.2 | 2.8 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.02 | 0.05 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.14 | 0.05 | ㎎ |
| ナイアシン | 3.0 | 0.9 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.08 | 0.08 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.7 | 3.5 | ㎍ |
| 葉酸 | 7 | 11 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.5 | 0.5 | ㎎ |
| ビオチン | 3.3 | 3.6 | ㎍ |
| ビタミンC | – | 3 | ㎎ |
ハタハタの英語表記

ハタハタは英語で 「Sailfin sandfish(セイルフィン・サンドフィッシュ)」 と表記されます。
学名は Arctoscopus japonicus。外国のレシピや魚の輸出・輸入資料では “Sailfin sandfish” が一般的に使われます。

