辣韭(らっきょう)とは|旬・栄養・保存・英語表記まで徹底解説!

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辣韭の旬 ~おいしい時期~

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◆ 掘りたて「生らっきょう」の旬:5月下旬〜7月中旬
らっきょうの旬は年に一度、5月下旬~7月中旬ごろです。
この時期に収穫される「生らっきょう」は、皮が薄くてみずみずしく、漬物や天ぷらなどに最適。
特に鳥取県、鹿児島県、宮崎県などが産地として知られています。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】


◆ 漬けるなら「旬のうち」が基本!
らっきょうは掘りたての新鮮なうちに漬けることで、パリッとした食感と独特の風味が活きます。
甘酢漬けや塩漬けは、6月中旬までに仕込むのがベストタイミング
遅れると実が大きくなりすぎたり、皮が固くなってしまうこともあります。


◆ 冷蔵・漬物としての流通時期:7月〜翌年春ごろ
漬け込んだらっきょうは保存性が高く、冷蔵保存で1年近く楽しめるのが特徴です。
そのため、スーパーなどでは通年で購入できますが、漬け原料としての「旬」は限られた時期にしか出回りません。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

旬の生らっきょうは、軽く湯通しして甘酢漬けにしたり、薄衣で天ぷらにしても美味。
とくに皮が薄く、辛みがやさしい6月初旬の新物は、季節感ある前菜や箸休めにぴったりです。

らっきょうとは?~香り高い伝統の香味野菜~

辣韭 らっきょう(scallion)

らっきょう(辣韮/らっきょう)とは、ユリ科ネギ属の多年草で、独特の香りと辛みをもつ香味野菜です。

原産は中国とされ、古くは薬膳食材としても重宝されてきました。
日本では主に鳥取県や鹿児島県、宮崎県などで栽培され、5月~6月に収穫される「掘りたての生らっきょう」は、特に新鮮で香りがよく、漬物や天ぷらなどに使われます。


📌 見た目と特徴
小さな球根状で、直径2~3cmほど
外皮は薄く、白くツヤのある実
ネギやニンニクに似た強い香りと刺激的な辛み
そのままでは辛味が強いですが、甘酢漬け・塩漬け・味噌漬けなどにすることでまろやかになり、香りと歯ごたえが生きる食材になります。


🧬 らっきょうの香りの正体は?
らっきょう特有の香りと辛みは、「硫化アリル(アリシン)」という成分によるもので、ネギ・にんにく・玉ねぎと同じ仲間です。
食欲増進、血行促進、整腸作用が期待できるとされ、昔から**“健康野菜”として親しまれてきました**。

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天ぷら・焼き魚・脂の強い料理と相性がよく、漬物として提供するだけでなく、刻んでタレやドレッシングに使うと風味が引き立ちます

らっきょうの保存方法|状態別に正しく保存しよう

らっきょうは「生の状態」か「漬けた後」かで保存方法が大きく異なります。状態に合わせて保存方法を使い分けましょう。


生らっきょうの保存

保存方法保存期間の目安ポイント
常温
(短期)
2~3日風通しの良い涼しい場所に。新聞紙に包んでおくと乾燥防止に◎
冷蔵約1週間泥つきのまま新聞紙に包み、ポリ袋へ入れて野菜室へ
冷凍
(下処理後)
約1ヶ月皮と根を除き、水洗いしてから水気をしっかり拭き取り、密閉袋で冷凍
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⚠️ 生のまま長期間保存すると発芽・変色・風味の劣化が起こるため、なるべく早めに漬け込みましょう。


漬けたらっきょうの保存

保存方法保存期間の目安ポイント
冷蔵保存約6ヶ月~1年密閉容器に漬け汁ごと入れ、冷蔵庫の奥で保存。開封後は清潔な箸で取り出す
常温保存
(未開封・酢漬け)
数ヶ月(冷暗所)酢の防腐効果があるため可能。ただし夏場は冷蔵が安心
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生らっきょうを使う場合は買ったらすぐ下処理・漬け込みが基本。香りと食感を生かすには、鮮度が命です。

代表的な品種とその特徴

品種名主な産地特徴
鳥取らっきょう
(砂丘らっきょう)
鳥取県粒が大きめで身がしまり、辛み・香りが強め。全国の約6割を生産
島らっきょう沖縄県細長くて小ぶり。香りと辛みが非常に強く、シャキシャキ食感
三里浜らっきょう福井県粒ぞろいがよく、白くて艶やか。香りはややマイルド
根らっきょう
(花らっきょう)
愛知県
静岡県など
粒が小さく、コリコリした食感。香りは控えめ

◆ 島らっきょうは別物?

島らっきょう」は、一般的ならっきょう(辣韮)と同じネギ属の植物ですが、栽培品種や風味に大きな違いがあります。
特に辛みと香りが非常に強く、生食や浅漬け、天ぷらにすると個性が光ります。全国のスーパーではあまり見かけませんが、沖縄県では家庭料理に欠かせない存在です。

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和食の現場でよく使われるのは鳥取産の大粒らっきょう。歯ごたえと香りのバランスが良く、漬物の主役として存在感を出すことができます

よく合う食材

合う食材ポイント
カレーライス酢漬けのらっきょうは、辛さと油を中和。福神漬けと並ぶ定番
鶏肉
豚肉
揚げ物や照り焼きの箸休めに。ピクルス感覚で脂をさっぱり
味噌
梅干し
刻んで味噌や梅肉と混ぜると万能薬味に。冷奴や焼き魚に◎
ツナ
マヨネーズ
和え物やポテトサラダに少量加えると、食感と香りが引き立つ
大葉
みょうが
生姜
他の香味野菜との相性も抜群。薬味たっぷりの冷ややっこや素麺に
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らっきょうはそのまま漬物としてだけでなく、「細かく刻んで調味料に加える使い方」が非常におすすめです。

  • 酢・しょうゆ・ごま油・刻みらっきょうで作る“中華風タレ”
  • 味噌+刻みらっきょう+七味で焼きおにぎりの具に
  • 魚のカルパッチョに刻みらっきょうを散らすと、香りが立ちアクセントに

辣韭の栄養素 (食品成分表)

らっきょう(リン茎)
可食部100g当たり

栄養素甘酢漬単位
廃棄率015%
エネルギー11783
水分67.568.3g
タンパク質0.41.4g
脂質0.30.2g
食物繊維(総量)2.920.7g
炭水化物29.429.3g
ナトリウム7502
カリウム9230
カルシウム1114
マグネシウム114
リン735
1.80.5
亜鉛0.10.5
0.060.06
マンガン0.080.45
ヨウ素41
セレン1
クロム3
モリブデン314
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.20.8
ビタミンK11
ビタミンB10.07
ビタミンB20.05
ナイアシン0.12.1
ビタミンB60.020.12
ビタミンB12
葉酸29
パントテン酸0.030.56
ビオチン0.40.9
ビタミンC23
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

辣韭の英語表記

「らっきょう」の英語名はひとつではない?

らっきょうに対応する英語は、以下のように用途や国によって異なる名称で表されることがあります。

英語表記用途・意味
Pickled shallot甘酢漬けなどの「漬けらっきょう」全般を表す
Rakkyo日本発の食材としてそのまま表記(海外商品名に多い)
Chinese onion中国原産の香味野菜としての植物名的な表現
Scallion(スキャリオン)青ねぎ(葉ねぎ)を指すことが多く、らっきょうとは別物

注意:「Scallion」はアメリカ英語で「青ねぎ(葉ねぎ)」を意味し、日本のらっきょうとは異なる野菜を指します。検索結果では混同されがちですが、英語圏では通常らっきょうに対しては「shallot」や「Chinese onion」が使われます。


「辣韮(らっきょう)」の漢字の意味と由来

  • 辣(らつ):辛みのある
  • 韮(にら):ニラやねぎの仲間を指す漢字

つまり「辣韮」とはねぎの仲間で辛みのある植物=らっきょうという意味を持っています。和食や中華で香味野菜として古くから重宝されてきました。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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