羽太(はた)とは?旬・特徴・クエとの違い・食べ方を調理師が解説【Sevenband grouper】

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羽太(はた)は、天然物は幻ともいわれるほどの超レアな高級魚。
見た目はちょっと地味でも、身は上質で脂がのり、しっとりとした白身が魅力です。

羽太ってどんな魚?
羽太はいつ食べるのが一番おいしいの?

和食の世界では、クエやマハタなどとの違いも話題になる羽太。
このページでは、そんな知る人ぞ知る羽太について、旬や味、調理法まで現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。

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羽太(はた)の旬|おいしい時期

羽太は年間を通して流通しますが、最も脂がのっておいしいのは冬から春先にかけてです。
特に12月〜3月は身に旨みが凝縮し、鍋料理や煮付けに最適な時期とされています。
地域によって漁期や味わいのピークが異なり、九州や四国沿岸では秋から冬、本州太平洋側では冬から春にかけて上質な個体が出回ります。

はた

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羽太は冬場に脂がしっかりのりますが、春先の産卵前も旨みが強く、刺身にも向きます。鍋なら冬、刺身なら春先が一押しですよ。

羽太(はた)とは|解説

羽太(はた)はハタ科に属する海水魚で、主に七本縞羽太(ナナホンジマハタ / Sevenband grouper)などを指すことが多いです。
見た目はやや地味で、褐色の体に7本の縦縞が入るのが特徴。成長すると縞模様が薄くなり、体色が全体的に茶色や灰色がかった色合いになります。

市場に出回る量は少なく、天然物は「幻の高級魚」と呼ばれることもあります。
高級魚クエ(アラ)と同じハタ科の仲間で、身質や味わいは非常に似ているため、地域によっては混同されることもあります。


味わいの特徴

  • 身質: しっとりとしてきめ細かい白身
  • 脂のり: 冬場は特に豊かで、加熱してもパサつきにくい
  • 風味: 淡白ながらも旨味が深く、上品な甘みがある
  • 出汁: 骨やアラから濃厚で上質な出汁が取れる

クエとの違い

羽太とクエはどちらもハタ科の高級魚で、見た目や味わいが似ていますが、以下のような違いがあります。

項目羽太クエ
体色・模様褐色の体に縦縞
(成魚は薄くなる)
全体的に暗褐色で模様が少ない
分布九州〜本州太平洋側
沖縄など広範囲
主に西日本沿岸
冬〜春先
食味淡白で上品な甘み、柔らかいより濃厚で脂が強い
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羽太はクエよりもやや淡白ですが、その分刺身や薄造りにしたときの上品さは格別。鍋はもちろん、春先の刺身は「クエより好き」というお客さんもいます。

羽太(はた)の地方名

羽太は全国的な知名度は高くありませんが、漁業や市場では地域ごとにさまざまな呼び名で取引されることがあります。
ただし、これらの中にはクエ(アラ)として知られる名前が多く含まれ、魚種の混同が起こりやすいのが特徴です。

呼び名主な地域・補足
アラ九州などでハタ科の高級魚全般を指す呼称。一般にはクエの呼び名だが、一部地域で羽太も含む
マス愛知・三重などで使われる呼称。クエ類の総称として使われることが多いが、羽太を指す場合もあり
モロコ関西や伊豆諸島での呼び名。大型根魚の通称として使われ、羽太を含むことがある
アオナ西日本での通称。山口や福岡などで使用例あり。クエ類全般を含むことも
イギス一部市場での呼び名として報告あり。ただし詳細情報は限定的
オオイオ特定地域での呼称。大型個体を指す場合が多いが裏付け情報は少ない
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呼び名だけで判断して仕入れると、「あれ?クエじゃなくて羽太だった!」なんてことも。特にアラ・マス・モロコは混同されやすいので、市場での確認は必須ですよ。

羽太(はた)の目利き

羽太は脂のりと身のきめ細かさが魅力ですが、鮮度が落ちると身が水っぽくなり、旨味が抜けやすい魚です。

チェックポイント見分け方
目の状態澄んで透明感があり、黒目がはっきりしているもの
体表の色褐色の体色が鮮やかで、縞模様がくっきりしている個体
皮とぬめりぬめりが透明で新鮮な香りがある。濁ったぬめりや臭いがあれば鮮度低下
身の張り軽く押しても弾力があり、すぐに戻るもの
エラ鮮紅色で、血や粘液が付着していないもの
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羽太は鮮度が落ちると皮のぬめりが白っぽく濁ってきます。
鍋や刺身で食べるなら、皮目がつやつやしている個体を選ぶのが間違いなしですよ。

羽太と相性の良い食材

羽太は淡白で上品な旨味を持つ白身魚なので、香味野菜や旨味を補う食材と組み合わせると、味がぐっと引き立ちます。

食材名組み合わせの理由・使い方例
生姜煮付けや鍋に加えると臭みを抑え、風味が爽やかになる
長ねぎ煮物や焼き物に添えると甘みが増し、脂のコクと調和する
春菊鍋料理に加えると、ほろ苦さが旨味を引き締める
椎茸出汁の旨味が加わり、煮物や酒蒸しで味に深みが出る
柚子
すだち
脂のある身をさっぱりと食べられる。刺身や鍋の薬味に最適

おかみさんの一言

羽太はねぇ、上品だけどしっかり旨味がある魚なのよ。
鍋なら春菊を入れて、ほろ苦さでキュッと締めるのがおすすめ。
刺身なら、柚子の皮をちょっと削って…あら、もう日本酒が止まらないわねぇ。

羽太に合う調理法

羽太は淡白で上質な白身と、皮目のゼラチン質が特徴。加熱すると旨味が増すため、鍋や煮付けが特におすすめです。

調理法おすすめ度理由
鍋料理出汁に旨味が溶け込み、身はふっくら。冬の定番
煮付け皮と身の間のゼラチン質がとろけ、甘辛い味付けと相性抜群
酒蒸し素材の旨味を逃さず、ふっくらと仕上がる
焼き物塩焼きや西京焼きで皮目が香ばしく、旨味が凝縮
刺身新鮮な個体限定。淡白で上品な甘みを楽しめるが脂は控えめ
唐揚げ小型個体向き。骨まで食べられるが高級魚にはもったいない場合も
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羽太は鍋にすると別格。皮目から溶け出す旨味がスープをまるで高級料亭の味にしてくれます。刺身は春先の産卵前、脂がのった時期だけが狙い目です。

羽太の栄養素|食品成分表

「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には記載がありません
Nutritionix​より引用
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率%
エネルギー118
水分g
タンパク質24.84g
脂質1.3g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム53
カリウム475
カルシウム21
マグネシウム37
リン143
1.14
亜鉛0.51
0.05
マンガン0.01
ヨウ素
セレン46.8
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)50
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)
ビタミンK
ビタミンB10.08
ビタミンB20.01
ナイアシン0.38
ビタミンB60.35
ビタミンB120.69
葉酸10
パントテン酸
ビオチン
ビタミンC

ハタは高たんぱく・低脂質な白身魚で100gあたり約25gのタンパク質を含みます。
この数値は魚類の中でもかなり高く、筋肉の維持や代謝アップに役立つため、ダイエットやトレーニング中の食材としても優秀です。
また、カリウム(475mg)やリン(143mg)、マグネシウム(37mg)といったミネラルがバランスよく含まれており血圧の調整や骨の健康維持にも貢献します。

特筆すべきはセレン(46.8µg)の多さで、抗酸化作用を持つ酵素を助ける働きがあり、老化防止や免疫力の維持にも効果的です。

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はたの英語・漢字表記

表記内容
英語表記Sevenband grouper
学名Epinephelus septemfasciatus
発音記号[ˈsev.ən.bænd ˈɡruː.pər]
漢字表記羽太
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英語にすると急に外国の魚みたいですが、食べ方はやっぱり和が一番。特に鍋や煮付けは、海外ではなかなか味わえない贅沢ですよ。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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