牛すね肉は、牛の脚の下部にあたる部位で、赤身が多く、筋が発達した硬めの肉質が特徴です。
一見すると「硬い」「調理が難しそう」と思われがちですが、長時間煮込むことで驚くほど柔らかくなり、濃厚な旨味とコクを味わえる人気部位です。
本記事では、和食調理師歴25年以上の筆者が、牛すね肉の部位位置・特徴・おすすめの料理・下処理のコツを丁寧に解説します。煮込み料理やスープに活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
記事の後半では、部位別に選べる肉通販もご紹介しますので、家庭でも本格的な料理を楽しみたい方はチェックしてみてください。
牛すね肉とは?どこの部位?

「すね肉(shank/shin/shank meat)」
牛の脚(前脚・後脚)部分、特に膝下~すね部分(下腿部)に位置する部位です。
英語圏では “beef shank” や “shin” が使われ、英国では “shin” が対応する名称として使われることもあります。この部位の筋肉は日常的に使われる部位のため、筋繊維が発達・結合組織が多いという特徴があります。
牛すね肉の細かい部位
| 分類 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 前すね(まえすね) | 前脚のひざ下部分 | 繊維が細かく、旨味が濃い |
| 後すね(あとすね) | 後脚のひざ下部分 | 繊維が太く、より硬い肉質 |
| 骨付きすね(クロスカット) | 骨を輪切りにした形状 | 出汁が濃厚、旨味が強い |

現役和食調理師のヒント
すね肉は「硬い」と敬遠されがちですが、丁寧な下処理とじっくり加熱することで、他の部位にはないとろけるような旨味を引き出せます。
牛すね肉の特徴と味わい

牛すね肉は、脂肪が少なく赤身が中心の部位です。
日常的に動かす脚の筋肉であるため、筋繊維が非常に発達しており、コラーゲンやスジが多く硬いのが特徴です。そのため、ステーキなどの焼き料理には不向きですが、長時間の煮込みによって結合組織がゼラチン化し、とろけるような食感と深いコクが生まれます。
特に煮込み料理やスープではスジから溶け出すゼラチン質が旨味ととろみをプラスし、ほかの部位では味わえない濃厚で滋味深い風味を楽しめます。
骨付きのすね肉には、中心に骨髄が含まれています。
この骨髄は、煮込むうちにスープの中にゆっくりと溶け出し、まろやかでコクのある旨味を引き出します。特に、シチューやスープに使うと、濃厚で深みのある味わいになり、一口目から「プロの味」と感じられるほどのリッチな出汁が取れるのが特徴です。

現役和食調理師のヒント
骨付きすね肉を使うと、肉の旨味だけでなく、骨髄の甘みとコクが加わり、まるでレストランのようなスープや煮込みに仕上がります。
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硬い理由と柔らかくする下処理のコツ

硬い理由
- 筋肉の運動量が多い部位だから
すね肉は、牛が日常的に歩く・立つ動作で最も頻繁に使われる筋肉です。
そのため、筋繊維が非常に発達しており、肉質が引き締まっています。 - 結合組織(スジ・コラーゲン)が多いから
筋肉をつなぐ筋膜や腱が多く、加熱してもすぐには柔らかくなりません。
特に短時間の加熱ではスジが縮んでしまい、さらに硬く感じることもあります。 - 脂肪が少なく、赤身が主体だから
脂身が少ないため、焼くだけではパサつきやすく、しっとり感が出にくいのも特徴です。
柔らかくする下処理と調理のコツ
- 下処理:スジを軽く叩く or 下茹で
- 包丁の背や肉叩きで軽くスジを叩くことで、筋繊維がほぐれやすくなります。
- また、一度下茹でしてアクを取ることで、臭みを抑え、煮込み時の風味もアップします。 - 調理法:長時間の湿潤加熱(煮込み)
- すね肉は、水分を含む低温・長時間調理が基本。
- 約80〜90℃の温度帯でじっくり火を通すと、結合組織がゼラチン化してとろける食感に変化します。
- 目安は、2〜3時間の煮込み、または圧力鍋で30〜40分。 - 味を染み込ませるための工夫
- 塩や香味野菜、赤ワインなどと一緒に煮込むと、コクと深みが出ます。
- 煮込みの途中で一度冷ますと、味が内部までしみ込みやすくなります。 - 下味冷凍も有効
- 塩や酒、調味料をもみ込み冷凍しておくことで、
氷結結晶の力で筋繊維がやや崩れ、調理後に柔らかくなりやすいです。

現役和食調理師のヒント
すね肉は「手間を惜しまず時間をかける」ことが最大のポイント。焼くだけでは硬いままですが、煮込みやスープなどの湿潤加熱を行えば、スジがとろりとほどけて、濃厚な旨味を持つ絶品の一皿になります。
じっくり煮込むと、とろけるような柔らかさに。
現役調理師おすすめ
牛すね肉に向いている料理・調理法

| 調理法 | 向いている料理例 | 調理のコツ |
|---|---|---|
| 煮込み | ビーフシチュー カレー、 ポトフ 肉じゃが | 2〜3時間かけて弱火でコトコト煮込むのが理想 |
| 圧力鍋調理 | すね肉の赤ワイン煮、 煮込みカレー 和風煮込み | 圧をかけて30〜40分、煮汁と一緒に冷ますと味が染みる |
| スープ・ブイヨン | コンソメ 牛骨スープ 韓国風コムタン | 骨髄が溶け出すよう、じっくり煮出すのがポイント |
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現役和食調理師のヒント
すね肉は「乾いた加熱(焼く・炒める)では硬い」ですが、水分を使った加熱(煮る・蒸す)を行えば、とろける柔らかさとコクが引き出せます。
英語表記と海外での呼び名
| 日本語 | 英語表記 | 読み方 |
|---|---|---|
| 牛すね肉 | Beef Shank | ビーフ・シャンク |
| 前すね | Fore Shank | フォア・シャンク |
| 後すね | Hind Shank Shin | ハインド・シャンク/シン |
| 骨付きすね肉 | Cross Cut Shank Shank Cross-Cut | クロス・カット・シャンク |
- アメリカでは「Beef Shank」が一般的で、前脚・後脚を区別する場合は「Fore Shank」「Hind Shank」と呼び分けます。
- イギリスやオーストラリアでは「Shin(シン)」という名称が使われることもあり、特に後脚のすねを指すことが多いです。
- 骨付き輪切りの「Cross Cut Shank」は、イタリア料理のオッソブーコ(Osso Buco)に使われる定番部位としても知られています。
海外のメニューやレシピでは、部位名が英語で表記されていることも多くあります。
👉 【英語一覧】牛肉・豚肉・鶏肉の部位の名前まとめ で、主要な部位の英語表記を一覧で確認できます。
牛すね肉の栄養素
現在、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には、牛すね肉(すね部位)の栄養成分データは掲載されていません。そのため、ここでは一般的な赤身肉の特徴と、外部サイトの参考値をもとに解説します。
牛すね肉は、脂肪が少なくたんぱく質が豊富な部位です。筋肉を多く使うため、結合組織(スジやコラーゲン)が発達しており、加熱するとゼラチン質に変わって旨味やとろみを生み出します。
また、脂質が少ないためカロリーが控えめで、脂肪を控えたい方や、たんぱく質をしっかり摂りたい方に向いています。
参考値(非公式)
外部サイト「FatSecret」では、生の牛すね肉100gあたりに以下のような推定値が掲載されています:
- エネルギー:約162kcal
- たんぱく質:約28g
- 脂質:約4.5g
- 炭水化物:0g
※上記は参考値であり、使用する部位(前すね/後すね・和牛/輸入牛)や状態(赤身・脂付き)により変動します。
※上記は「FatSecret」掲載の参考値です(出典はこちら)
※公式データではありません。
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