一見すると地味。でも食べてみれば実力派。
【しじみ(蜆)】は、小さな体に深い旨味と【栄養】を秘めた名脇役です。
味噌汁はもちろん、炊き込みご飯や佃煮でも出汁の力を発揮してくれます。
しじみの旬はいつ?
栄養はどんな成分が多い?
英語では何て言うの?
和食調理師として25年以上の経験をもつ筆者が、【旬・食べ方・栄養素】をやさしく解説します。
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蜆(しじ)の旬 ~おいしい時期~
しじみの旬は、【夏と冬の2回】あるのが特徴です。
これは水温や産卵期の影響で【身の太り具合や味わいが変化】するためです。
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
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現役和食調理師のヒント
夏は【身のプリッと感】、冬は【出汁の濃さ】が際立ちます。
特に「冷えた体をしじみの味噌汁で癒す冬の朝」は最高です
しじみとは〜特徴と味わい〜

【しじみ(蜆)】は、日本の川や湖に生息する【二枚貝の一種】で、古くから味噌汁や炊き込みご飯などに使われてきた、身近な食材です。
主に出回っているのは以下の2種です:
| 種類 | 特徴 | 主な産地 |
|---|---|---|
| ヤマトシジミ | 黒っぽくやや大ぶり。国内で最も流通している種 | 宍道湖 十三湖 霞ヶ浦など |
| マシジミ | 黄色みがかった殻で、川や用水路に多い | 九州 関西地方 |
しじみの魅力は、なんといっても【濃厚な出汁】と【小粒ながら締まった身】。
調理中に貝が開き、その香りとともに深いコクが出ることで、汁物に絶妙な旨味を加えてくれます。

現役和食調理師のヒント
しじみは【“出汁が主役”の食材】です。
味噌を入れる前にしじみだけで煮立ててみてください。スープをひと口飲んだ瞬間、「あ、今日の味噌汁、当たりだ」と思うはずです。
しじみの砂抜き
しじみを調理するときに欠かせないのが【砂抜き】です。
しじみは泥の中に生息しているため、殻の中に砂や泥が残っていることが多く、そのまま調理すると【“ジャリッ”とした食感】になってしまいます。
きちんと砂抜きすれば、しじみの出汁もクリアで旨味が際立ちます。
簡単!家庭でできる砂抜き方法
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 塩水を用意 | 水500mlに対して塩小さじ1(約1.5%濃度)が目安 |
| ② しじみを浸す | バットやボウルに並べ、殻が重ならないようにする |
| ③ 常温で放置 | ラップせずに【2〜3時間】暗い場所に置く(冷蔵庫NG) |
| ④ 殻同士をこすり洗い | 表面の泥を落とすため、優しく揉み洗い |
| ⑤ 調理直前に使用 | 水から上げたらすぐに加熱。風味が損なわれないうちに |

現役和食調理師のヒント
砂抜き中に「しじみが吐いた砂」で水が濁るので、【途中で水を換えず】最後にしっかり洗うのがポイントです。
「冷蔵庫で一晩」はNG!しじみが眠って砂を吐かなくなります。
地方名
- カワシジミ
- カワガイ
- キイシジミ
- ヒジメ
しじみの目利き
しじみは【鮮度が味に直結】する食材。
出汁の濃さや香り、身の弾力も新鮮さで大きく変わります。
| チェック項目 | 良いしじみの特徴 | NGの特徴 |
|---|---|---|
| 殻の色 | 黒くツヤがあり、ムラが少ない | 白っぽく乾燥している |
| 殻の閉まり | しっかり閉じている | パカッと開いて動かないものは死んでいる可能性あり |
| 動き | 水に入れると少し動く/殻を閉じる | 完全に無反応なものは避ける |
| 匂い | 生臭くない、ほんのり泥の香り | 酸っぱい・異臭がする場合はNG |

現役和食調理師のヒント
冷凍しじみも悪くありませんが、冷凍焼けしたような乾燥感があるものは避けましょう。冷蔵品でもパックに水がたっぷり入っていると「しじみが弱っている」こともあるので注意!
しじみと相性の良い食材
しじみの出汁はクセがなく深みがあるため、さまざまな食材と組み合わせやすいのが特徴です。
特に【香味野菜】や【発酵調味料】との相性は抜群です。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 長ねぎ | 味噌汁の具材として定番。しじみの旨味を引き立てる香りと甘み |
| 豆腐 | しじみの出汁を吸ってまろやかに。朝食にぴったり |
| 生姜 | 臭みを和らげ、体を温める効果も。酒蒸しにも◎ |
| 味噌 | 出汁と味噌の相乗効果で、風味が格段にアップ |
| 酒 | 酒蒸しや煮込みに使うと、貝の旨味が引き出される |

現役和食調理師のヒント
しじみは【主張しすぎない出汁】だからこそ、素材の組み合わせで味が決まります。特に「ねぎ+しじみ+味噌」は、定番ながらやっぱり外せない鉄板トリオです。
しじみに合う調理法
しじみは主に【出汁を生かす料理】に適しており、調理法によって旨味の引き出し方が変わります。
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 味噌汁 | ◎ | 出汁がしっかり出て、定番中の定番。簡単で美味しい |
| 酒蒸し | ◎ | シンプルな味付けでも旨味が際立つ。おつまみにもおすすめ |
| 炊き込みご飯 | ○ | 出汁がご飯に染み込み、冷めても美味しい。身はやや硬くなりやすい |
| 佃煮 | ○ | 身をしっかり煮て甘辛く味付け。保存にも便利 |
| 茹でるだけ | △ | 出汁は取れるが、調味しないと味気ない仕上がりに |
| 揚げ物 | × | 小さく、火を通しすぎて旨味が失われやすい |

現役和食調理師のヒント
しじみは【強火でサッと加熱して、貝が開いたらすぐ火を止める】のがコツ。
長時間煮ると出汁は出ますが、身は硬くなってしまうのでご注意を。
蜆(しじみ)の栄養素 ~食品成分表~
蜆(しじみ) 水煮
可食部100g当たり
| 栄養素 | 水煮 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 75 | % |
| エネルギー | 54 | ㎉ |
| 水分 | 86.0 | g |
| タンパク質 | 7.5 | g |
| 脂質 | 1.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 4.5 | g |
| ナトリウム | 180 | ㎎ |
| カリウム | 83 | ㎎ |
| カルシウム | 240 | ㎎ |
| マグネシウム | 10 | ㎎ |
| リン | 120 | ㎎ |
| 鉄 | 8.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 2.3 | ㎎ |
| 銅 | 0.41 | ㎎ |
| マンガン | 2.78 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 25 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 97 | ㎍ |
| ビタミンD | 0.2 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 1.7 | ㎎ |
| ビタミンK | 2 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.02 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.44 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.5 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.10 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 68.0 | ㎍ |
| 葉酸 | 26 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.53 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 2 | ㎎ |
しじみ(水煮)はビタミンB12・鉄・カルシウムが豊富で、低脂質なのにミネラル密度が高いのが特徴。煮汁側に栄養が溶け出しやすいので、汁物は汁ごといただくのがおすすめです。
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しじみの英語・漢字表記

| 表記 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 蜆 |
| 英語表記 | Japanese basket clam |
| 学名 | Corbicula japonica |
| 発音記号 | ʤəˈpæn.ɪs ˈbæs.kɪt klæm |
| カタカナ読み | ジャパニーズ・バスケット・クラム |
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