牛肉の中でも「外バラ(Short Plate)」は、脂がしっかりとのった濃厚な味わいが魅力の部位です。焼肉や煮込み料理など、コクを活かしたメニューにぴったりで、旨味の強さから多くの料理人にも愛されています。
ただし、外バラは「カタバラ」「トモバラ」などの似た部位と混同されやすく、どのように使い分ければよいのか迷う方も多いはず。
本記事では、外バラの位置・特徴・味わい・おすすめの調理法を調理師の視点からわかりやすく解説します。
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外バラ(Short Plate)とは? ~概要~

外バラ(ソトバラ/Short Plate)は、牛のお腹の下側、あばら骨の外側に位置する部位です。牛の胴体を横に見たとき、胸から腹にかけての「バラ肉(腹肉)」のうち、外側(表層)にあたる部分を指します。
この部位は、赤身と脂身が層になった構造をしており、しっかりとした旨味と濃厚なコクが特徴です。
外バラは部位の構造上脂肪が多く、繊維もやや粗めで、歯応えのある食感を楽しめます。焼肉では「カルビ系」の肉として使われることが多く、濃厚な味わいと脂の甘みを好む方に人気があります。
また、外バラはさらに細かく分けられることがあり、中心部分の「ショートプレート(Short Plate)」、横隔膜に近い「インサイドスカート(Inside Skirt/ウチハラミ)」、境界付近の「フランク(Flank/笹肉)」などが含まれます。
それぞれ脂の量や繊維の向きが異なり、用途によって使い分けられています。
同じバラ肉の中でも、カタバラ(肩に近い)、トモバラ(後ろ脚に近い)と混同されやすい部位ですが、外バラは特に「濃厚さ」と「ジューシーさ」に優れた部位です。

現役和食調理師のヒント
脂の甘みを生かすなら焼肉や牛丼、じっくり火を入れる料理ならシチューやスープもおすすめ。赤身の旨味と脂のバランスが良いので、濃い味付けの料理に向くのが特徴です。
外バラの特徴と味わい

外バラは、脂のりが非常に良く、濃厚な旨味とコクを持つ部位です。赤身と脂身が層になった構造をしており、ジューシーさと香ばしさを両立しています。
焼くと脂がじゅわっと溶け出して甘みが際立ち、煮込むとコクのあるスープが取れるのも大きな特徴です。
筋や膜が多く、繊維はやや粗めでしっかりとした噛み応えがあります。そのため、焼肉ではカルビ系の部位として人気があり、適度な厚さにスライスして焼くと食感と旨味を同時に楽しめます。
また、長時間の加熱調理により柔らかくなる性質もあるため、煮込み料理(シチュー・スープ・牛丼)などにも適しています。
外バラの魅力はなんといっても脂の甘みと濃い味わい。肉そのものの主張が強いので、タレやソースなど、しっかりした味付けの料理と相性が良い部位です。

現役和食調理師のヒント
外バラは、旨味と脂のバランスが抜群で、食べ応えのある部位です。
脂が多い分、厚切りよりも薄切りの方が食べやすく、香ばしく焼くと甘みが際立ちます。
外バラ(ソトバラ)の細かい部位一覧

| 細かい部位名 | 特徴・位置 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ショートプレート (Short Plate) | 外バラの中心部分。脂肪が多く濃厚な旨味。外バラの代名詞的部位 | 焼肉カルビ 牛丼 煮込み |
| インサイドスカート (Inside Skirt) | 横隔膜に近い内側の部位。「ウチハラミ」とも呼ばれる。柔らかく旨味が強い | 焼肉(ハラミ系) 炒め物 |
| フランク(Flank) 笹肉(ささにく) | 外バラの後方〜中バラにかけての部位。赤身が多く、笹の葉のような形 | 焼肉 すき焼き 炒め物 |

現役和食調理師のヒント
どの部位も焼肉でおいしい肉です。
カタバラ・トモバラとの違い
外バラは牛のお腹の外側(表面側)に位置する部位で、あばら骨の外側から下腹部にかけて広がっています。「バラ肉」と呼ばれる部分は大きく3つに分かれ、外バラはその中でも最も脂のりが良く、旨味が濃い層を持つ部位です。
牛の腹部は、部位ごとに以下のように分類されます。
| 部位名 | 位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| カタバラ | 前脚近くの肩側 | 筋が多く、出汁や煮込みに向く |
| 外バラ | 腹の中央、あばら骨の外側 | 脂が多く、濃厚な旨味。カルビに使用される |
| トモバラ | 後脚に近い下腹部 | 脂がやや控えめで、赤身の割合が多い |
外バラはこの中でも最も濃厚でジューシーな味わいが楽しめるため、焼肉・牛丼・煮込み料理など、しっかりした味付けの料理に向いています。
また、外バラはさらに細かく「ショートプレート」「インサイドスカート」「フランク」などに分かれることもあり、それぞれの部位によって脂の量や食感が微妙に異なります。

現役和食調理師のヒント
「ソトバラカブリ」「ナカバラ」などは、一部の解体法・流通業者での慣用的名称なのでややこしい。
外バラに向いている料理・調理法

外バラは、脂身の甘さと濃厚な旨味が魅力の部位です。焼くと香ばしく、煮込むとコクが深まり、幅広い調理法に対応できます。
ただし、筋が多くやや硬めのため、調理法によって食感や味わいが大きく変わります。
以下の表を参考に、料理に合わせて使い分けましょう。
| 調理法 | 特徴・ポイント | 向いている料理例 |
|---|---|---|
| 焼肉 (カルビ) | 表面を香ばしく焼くことで脂の甘みが際立つ | 焼肉 タレ漬けカルビ |
| 煮込み料理 | 長時間の加熱で筋が柔らかくなり、旨味がスープに溶ける | ビーフシチュー 牛スープ コムタンスープ |
| 炒め物 | 薄切りにしてサッと炒めると、脂のコクで深い味わいに | 牛バラの野菜炒め プルコギ風炒め |
| 丼もの | 甘辛い味付けと脂の甘さが相性抜群 | 牛丼 すき焼き丼 |
| 出汁 スープ | 骨付きやブロックを使えば濃厚な出汁が取れる | 牛骨スープ テールスープの代用 |

現役和食調理師のヒント
甘辛の煮物やタレ焼きなど、ご飯に合う料理に使うと満足度が高いですよ。
さっと焼くとジューシー、じっくり煮るとほろほろ。調理法で表情が変わる楽しい部位です。
外バラ(Short Plate)の栄養素~食品成分表~
和牛肉 脂身付 バラ(生)
| 栄養素 | バラ | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 472 | ㎉ |
| 水分 | 38.4 | g |
| タンパク質 | 11.0 | g |
| 脂質 | 50.0 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 44 | ㎎ |
| カリウム | 160 | ㎎ |
| カルシウム | 4 | ㎎ |
| マグネシウム | 10 | ㎎ |
| リン | 87 | ㎎ |
| 鉄 | 1.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 3.0 | ㎎ |
| 銅 | 0.09 | ㎎ |
| マンガン | – | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 3 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンK | 16 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.04 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.11 | ㎎ |
| ナイアシン | 3.1 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.16 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.2 | ㎍ |
| 葉酸 | 2 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.74 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |

現役和食調理師のヒント
外バラは脂の量が多いぶん、エネルギーが高めで食べ応えのある部位です。しっかり脂がのっているので、少量でも満足感が得られるのが魅力。赤身とのバランスを意識して、野菜や豆腐などの副菜と一緒に摂ると良いですよ。
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外バラの英語表記と海外での呼び名(Short Plate)
外バラは英語で 「Short Plate(ショートプレート)」 と呼ばれます。
海外では「ショートプレート」が正式な名称として流通しており、特にアメリカの牛肉解体基準(USDA規格)では、「Short Plate Section(ショートプレートセクション)」として定義されています。
| 地域 | 英語名・呼称 | 位置・分類 |
|---|---|---|
| アメリカ (USDA規格) | Short PlateSkirt SteakPlate Short Ribs | Rib(リブ)とFlank(フランク)の間に位置 |
| オーストラリ ニュージーランド | Short Plate | 同様に腹部外側 |
| フランス 欧州圏 | Poitrine(ポワトリーヌ) | 胸肉の一部として分類 |

現役和食調理師のヒント
外バラは英語で「Short Plate」と呼ばれますが、海外ではカットの仕方や基準が異なるため、呼び名が変わることがあります。
たとえば、アメリカでは「Skirt Steak」や「Plate Short Ribs」、ヨーロッパでは「Poitrine(ポワトリーヌ)」として扱われることも。
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