【調理師監修】春菊(しゅんぎく)の旬・栄養・保存法|おいしく食べるコツと相性の良い食材

春菊(しゅんぎく)の画像とタイトル文字|Shungiku(Garland chrysanthemum) TOP
【春菊の特徴・旬・栄養まとめ】香りとほろ苦さが魅力の春野菜
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香り高く、ほろ苦さが魅力の冬野菜「春菊(しゅんぎく)」
鍋料理やおひたしに欠かせない存在で、寒い季節の食卓に彩りを添えます。β-カロテンや鉄分などの栄養を多く含み、風邪予防や美肌づくりにも役立つ優秀な緑黄色野菜です。

このページでは、春菊の特徴と名前の由来、旬の時期、保存方法、栄養の特徴、相性の良い食材までを、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。春菊をもっとおいしく、無駄なく使い切るためのヒントにぜひお役立てください。

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春菊とは?特徴と名前の由来

ざるに乗せた新鮮な春菊の葉|春菊とはどんな野菜か解説
春菊は独特の香りとほろ苦さが特徴。日本では鍋やおひたしに欠かせない食材です。

春菊(しゅんぎく)は、キク科キク属(学名:Glebionis coronaria)の一年草で、独特の香りとほろ苦さが特徴の葉物野菜です。
日本では主に鍋料理・おひたし・炒め物・和え物
などに使われ、冬を代表する香り野菜として親しまれています。
名前の「春菊」は、春に菊のような黄色い花を咲かせることから名付けられました。
中国名「茼蒿(トンハオ/Tonghao)」が日本に伝わり、和名では季節感を重んじて「春菊」と呼ばれるようになったといわれています。

▶ 春菊は香りが高く、風味に個性があるため、香味野菜(ハーブ)の一種として扱われることもあります。
▶ 食用として多く流通しているのは若い葉や柔らかい茎の部分
で、成長が進むと葉が硬くなり、香りも強くなります。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

関西の「菊菜(きくな)」は、春菊と同じ種類の野菜です。地域によって呼び名や葉の形が少し異なりますが、料理の使い方はほぼ共通です。香りを活かすなら、生に近い調理(おひたし・しゃぶしゃぶ)がおすすめです。

春菊の旬と出回り時期

畑で育つ春菊の株|春菊の旬の時期
春から冬にかけて長く出回る春菊。特に冬の露地ものが香り高く人気です。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

春菊の旬は、秋から冬(11月〜3月頃)にかけてです。特に12月〜2月に収穫される春菊は、葉がやわらかく、香りも豊かで最もおいしい時期を迎えます。寒さにあたることで甘みと香りが増し、鍋料理やおひたしにぴったりの冬野菜として親しまれています。

現在では、ハウス栽培や水耕栽培も普及しており、一年を通してスーパーで見かけるようになりました。ただし、旬の時期に露地で育った春菊は、香り・風味ともに格別。寒い季節には、旬の春菊をぜひ積極的に取り入れてみてください。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

寒締め(かんじめ)された春菊は、香りと甘みがしっかりしています。鍋料理では最後に加えて、煮すぎず余熱で火を通すのが香りを生かすコツです。

春菊と相性の良い食材

春菊入りの海鮮鍋|春菊と相性の良い食材
鍋やしゃぶしゃぶでは魚介・豆腐・ごまなどと相性抜群。香りが料理全体を引き立てます。

春菊は独特の香りとほろ苦さをもつ香味野菜です。油・たんぱく質・旨味食材・ナッツ類と組み合わせると、香りの角が取れてより風味豊かに楽しめます。

食材相性の理由
豆腐春菊の苦味をまろやかにし、香りを引き立てる。白和え・味噌汁に最適。
熱を通すと香りがふわっと広がる。卵とじやスープにおすすめ。
しめじ
椎茸
えのき
うま味成分(グアニル酸)が春菊の香りと調和。炒め物・鍋料理に好相性。
牛肉すき焼きに代表される黄金の組み合わせ。脂の甘みが春菊の香りを包む。
豚肉香りが強い春菊には、旨味のある豚バラ肉やロースがよく合う。
ごま香ばしさで苦味をやわらげる。ごま和え・ナムルなど定番の組み合わせ。
くるみ
アーモンド
ナッツの油分が香りをまろやかに。洋風サラダにも応用できる。
ゆず
レモン
柑橘の香りが春菊の青い香りと好相性。ポン酢やドレッシングにおすすめ。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

春菊は「苦味・香り・色」を活かす食材です。油(ごま油・オリーブオイル)+酸味(ポン酢・レモン)+旨味(出汁・味噌)を意識すると、どんな料理にも応用できます。サラダやパスタなど、洋風メニューにも取り入れやすいですよ。

春菊の保存方法と下処理

水洗い後、ざるで水気を切る春菊|春菊の保存と下処理方法
春菊は水分をよく切り、ポリ袋で冷蔵保存。さっと茹でて冷凍しても使いやすいです。

春菊は水分が多く、乾燥や冷えすぎに弱い野菜です。購入後はなるべく早く使うのが基本ですが、状態に応じて正しく保存すれば、香りと食感を長持ちさせられます。


下処理のポイント

  • 葉と茎を切り分けておくと調理がスムーズ
  • 葉に水滴がついている場合は、キッチンペーパーで軽く拭き取る
  • 鮮度が高いうちに下ゆでして冷凍すれば、香りをキープできる
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

春菊は茎の太さに火を合わせるのがコツ。太い部分を先に、葉はあとからサッと湯に通すと、色・香り・食感がきれいに仕上がります。


冷蔵保存

保存目安
約2〜3日

方法
乾いたキッチンペーパーで包み、ポリ袋または保存容器に入れて野菜室(5〜10℃)で立てて保存

ポイント
冷気でしおれやすいので野菜室での立て保存が理想。
濡れたまま保存すると葉先が黒く変色するため注意。


冷凍保存

保存目安
約1か月

方法
さっと下ゆで(10〜15秒)して冷水にとり、水気をしっかり絞る。食べやすい長さにカットし、1食分ずつラップで包んで冷凍用保存袋へ。

ポイント
凍ったまま鍋や汁物に加える。自然解凍は水っぽくなりやすいので避ける。冷凍後は香りがやや弱まるため、炒め物やスープ向き。和え物やサラダには不向き。


菊の栄養素~食品成分表~

春菊は、緑黄色野菜の中でも栄養バランスが優れている野菜です。特にβ-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC・鉄・カルシウム・食物繊維が豊富で、冬の健康維持に欠かせない成分を多く含みます。
β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚の健康を保ち、風邪予防や免疫力の維持に役立ちます。また、春菊に含まれる葉酸や鉄分は貧血予防、カルシウムは骨の形成に大切な栄養素です。ビタミンCも多く、抗酸化作用によって疲労回復や美肌づくりをサポートします。

香り成分にはα-ピネンやペリルアルデヒドといった精油が含まれ、これらはリラックス効果や食欲増進に関与しているとされています。

しゅんぎく
100gあたりの含有量

栄養素茹で単位
廃棄率1%
エネルギー2520
水分91.191.8g
タンパク質2.72.3g
脂質0.50.3g
食物繊維(総量)3.73.2g
炭水化物4.53.9g
ナトリウム4273
カリウム270460
カルシウム120120
マグネシウム2426
リン4444
1.21.7
亜鉛0.20.2
0.120.10
マンガン0.490.4
ヨウ素5
セレン2
クロム2
モリブデン12
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)53004500
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)2.01.7
ビタミンK460250
ビタミンB10.050.10
ビタミンB20.080.16
ナイアシン0.40.8
ビタミンB60.060.13
ビタミンB12
葉酸100190
パントテン酸0.130.23
ビオチン3.5
ビタミンC519
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

よくある質問と豆知識

春菊の葉の写真にQ&Aの文字|春菊のよくある質問と豆知識
「生で食べられる?」「香りの成分は?」など春菊に関する疑問を調理師が解説。
Q
春菊は生でも食べられますか?
A

はい。新鮮な春菊は生のままサラダやナムルとして食べられます。
ただし、春菊はアク(苦味やえぐみ)が強いため、茎の部分はさっと湯通しすると食べやすくなります。葉だけを使う場合は、生食でも問題ありません。

Q
春菊の香りの成分は何ですか?
A

春菊特有の香りは、主にα-ピネンペリルアルデヒドなどの揮発性成分(精油成分)によるものです。これらは爽やかで清涼感のある香りを持ち、料理のアクセントとしても重宝されます。(※リラックス効果・抗菌作用などはあくまで一般的な研究報告によるもので、食品としての効能を保証するものではありません。)

Q
春菊は観賞用の菊と同じ植物ですか?
A

いいえ。春菊はキク科シュンギク属(学名:Glebionis coronariaに属する食用の葉菜で、観賞用の菊(Chrysanthemum morifoliumなど)とは別種です。
見た目は似ていますが、香り・葉の形・用途がまったく異なります。

Q
「春菊」という名前の由来は?
A

春菊は、春に花を咲かせる菊のような植物という意味で名付けられました。
日本では冬から春にかけて出回ることが多い一方、英語では “Garland chrysanthemum”(花輪のような菊)と呼ばれます。

Q
春菊は花を咲かせますか?
A

はい。生育が進むと黄色や白の小花を咲かせます。
ただし、花が咲く頃には葉が硬くなり、香りや食味が落ちるため、つぼみが付く前に収穫するのが理想です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

春菊は地域によって呼び名が異なり、関西では「菊菜(きくな)」と呼ばれることが多いです。品種によって葉の切れ込みや香りの強さにも違いがあります。

春菊の英語表記と読み方

春菊の英語表記カード「Garland chrysanthemum(Shungiku)」|春菊の英語名と発音例
春菊の英語名は “Garland chrysanthemum”。英語圏では「Shungiku」とも呼ばれ、サラダやスープに使われます。
表記発音(カタカナ)発音記号
Garland chrysanthemumガーランド・クリサンセマム/ˈɡɑːrlənd ˈkrɪsənθəməm/
Crown daisyクラウン・デイジー/kraʊn ˈdeɪzi/

春菊の英語名や発音、料理での使い方を知りたい方はこちらをご覧ください。
👉 春菊の英語表記と発音|英語でどう言う?料理での使い方・例文付き

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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