薩摩芋の檸檬煮(さつまいものれもん煮)|プロが教える“よくわかるレシピ”

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黄金色に輝く「薩摩芋の檸檬煮」は、和食の定番甘煮のひとつ。ほっくりとした薩摩芋にレモンの酸味をほんのり効かせることで、後味の良い上品な甘さに仕上がります。

ただし、火加減や煮詰めすぎには注意が必要。
この記事では現役和食調理師が「煮崩れない」「皮が剥がれない」「色を美しく仕上げる」ための
プロのコツを分かりやすく解説します。

食材と調味料(2〜3人分)

食材分量ポイント
薩摩芋中2本(約300g)皮ごと使うと色が映える
檸檬
(レモン果汁)
輪切り4〜5枚/果汁大さじ2苦味を出さないため煮すぎ注意
くちなしの実1個色を鮮やかにする(省略可)

調味料

調味料分量割合
500cc5
砂糖100〜200g1
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

砂糖の量は薩摩芋の甘さで調整
甘い紅はるか系なら100g、あっさり系なら150〜200gを目安に。


下ごしらえ

食材手順
薩摩芋皮をむかずによく洗い、1〜2cmの輪切り。水に10分さらしてアク抜き。
檸檬熱湯をかけてワックスを除き、輪切りにする。果汁だけでもOK。
くちなしの実軽く潰しておく。色付けに使用。

作り方(よくわかるレシピ)

①下茹でと色付け

  1. 鍋に水を張り、薩摩芋とくちなしの実を入れる。
  2. 中火にかけ、沸騰したら弱火に落とす。
  3. 竹串が7割ほど通る程度で火を止める。
  4. ザルに上げ、くちなしを取り除いて水気を切る。
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現役和食調理師のヒント

中心にやや硬さが残るくらいでOK。完全に柔らかくすると煮崩れる。


② 味付け

  1. 鍋に水・砂糖を入れ、一度沸騰させて砂糖を完全に溶かす
  2. 下茹でした薩摩芋と輪切りレモンを加える。
  3. ごく弱火で10分ほど静かに煮る(沸騰させない)。
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現役和食調理師のヒント

表面が透き通って照りが出てきたら火を止める。


③ 味を含ませる

  1. 火を止め、レモンを取り除く(長時間入れると苦味が出る)。
  2. 粗熱を取り、そのまま汁に浸して冷ます。
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現役和食調理師のヒント

冷める過程で味が入り、甘さが落ち着く。


④ 冷やして保存

  • 汁から芋が出ないようにして冷蔵庫で保存。
  • 完全に冷めてから保存容器へ。
  • 翌日以降の方が甘みがなじみ、美しい黄金色に。

ワンポイント

薩摩芋の甘さによって砂糖量を調整するのがコツ。
煮すぎると皮が剥がれやすくなるため、7割火入れ→余熱仕上げが理想です。
檸檬は果汁だけでもOK。果皮を使う場合は煮込みすぎに注意

★食材について

  • 品種によって甘さ・色が異なる(紅あずま=やや淡色、紅はるか=濃色・強甘)。
  • くちなしは自然な黄色を出す補助。なくても味に影響なし。

アレンジ

  • スイートポテト:つぶして卵黄とバターを混ぜ、オーブン焼きに。
  • 栗きんとん風:潰して裏ごしし、栗の甘露煮を加えると上品な正月料理に。

失敗の原因と解決法

失敗原因解決方法
柔らかい煮すぎ早めに冷ます/余熱で火を止める
硬い煮不足もう一度煮汁で軽く火入れ(3〜5分)
煮崩れた強火/過加熱弱火で静かに、鍋を動かさない
味が薄い芋の甘さ・砂糖量不足煮汁を再加熱して砂糖を加える
甘すぎる分量過多水を少し足して再加熱・調整
皮が剥がれた煮すぎ・対流強すぎ静かに煮る/下茹でで止める

保存方法

方法期間ポイント
冷蔵2〜3日煮汁に浸して保存。乾燥防止。
冷凍約1か月汁ごと冷凍。自然解凍でOK。
再利用翌日甘露煮・スイートポテトなどにアレンジ可。

現役和食調理師のひと言

薩摩芋は火を入れすぎると“べっこう色”になり、味も締まりません。
煮物のコツは「沸かす」より「含ませる」。
火加減を静かに保ち、レモンの香りが立った瞬間に止めるのがベストです。
色・香り・味の三拍子が揃う、上品な一品に仕上がります。

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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