黄金色に輝く「薩摩芋の檸檬煮」は、和食の定番甘煮のひとつ。ほっくりとした薩摩芋にレモンの酸味をほんのり効かせることで、後味の良い上品な甘さに仕上がります。
ただし、火加減や煮詰めすぎには注意が必要。
この記事では現役和食調理師が「煮崩れない」「皮が剥がれない」「色を美しく仕上げる」ための
プロのコツを分かりやすく解説します。
食材と調味料(2〜3人分)

調味料
| 調味料 | 分量 | 割合 |
|---|---|---|
| 水 | 500cc | 5 |
| 砂糖 | 100〜200g | 1 |

現役和食調理師のヒント
砂糖の量は薩摩芋の甘さで調整
甘い紅はるか系なら100g、あっさり系なら150〜200gを目安に。
下ごしらえ
| 食材 | 手順 |
|---|---|
| 薩摩芋 | 皮をむかずによく洗い、1〜2cmの輪切り。水に10分さらしてアク抜き。 |
| 檸檬 | 熱湯をかけてワックスを除き、輪切りにする。果汁だけでもOK。 |
| くちなしの実 | 軽く潰しておく。色付けに使用。 |
作り方(よくわかるレシピ)

①下茹でと色付け
- 鍋に水を張り、薩摩芋とくちなしの実を入れる。
- 中火にかけ、沸騰したら弱火に落とす。
- 竹串が7割ほど通る程度で火を止める。
- ザルに上げ、くちなしを取り除いて水気を切る。

現役和食調理師のヒント
中心にやや硬さが残るくらいでOK。完全に柔らかくすると煮崩れる。
② 味付け
- 鍋に水・砂糖を入れ、一度沸騰させて砂糖を完全に溶かす。
- 下茹でした薩摩芋と輪切りレモンを加える。
- ごく弱火で10分ほど静かに煮る(沸騰させない)。

現役和食調理師のヒント
表面が透き通って照りが出てきたら火を止める。
③ 味を含ませる
- 火を止め、レモンを取り除く(長時間入れると苦味が出る)。
- 粗熱を取り、そのまま汁に浸して冷ます。

現役和食調理師のヒント
冷める過程で味が入り、甘さが落ち着く。
④ 冷やして保存
- 汁から芋が出ないようにして冷蔵庫で保存。
- 完全に冷めてから保存容器へ。
- 翌日以降の方が甘みがなじみ、美しい黄金色に。
ワンポイント

薩摩芋の甘さによって砂糖量を調整するのがコツ。
煮すぎると皮が剥がれやすくなるため、7割火入れ→余熱仕上げが理想です。
檸檬は果汁だけでもOK。果皮を使う場合は煮込みすぎに注意。
★食材について
- 品種によって甘さ・色が異なる(紅あずま=やや淡色、紅はるか=濃色・強甘)。
- くちなしは自然な黄色を出す補助。なくても味に影響なし。
アレンジ
- スイートポテト:つぶして卵黄とバターを混ぜ、オーブン焼きに。
- 栗きんとん風:潰して裏ごしし、栗の甘露煮を加えると上品な正月料理に。
失敗の原因と解決法
| 失敗 | 原因 | 解決方法 |
|---|---|---|
| 柔らかい | 煮すぎ | 早めに冷ます/余熱で火を止める |
| 硬い | 煮不足 | もう一度煮汁で軽く火入れ(3〜5分) |
| 煮崩れた | 強火/過加熱 | 弱火で静かに、鍋を動かさない |
| 味が薄い | 芋の甘さ・砂糖量不足 | 煮汁を再加熱して砂糖を加える |
| 甘すぎる | 分量過多 | 水を少し足して再加熱・調整 |
| 皮が剥がれた | 煮すぎ・対流強すぎ | 静かに煮る/下茹でで止める |
保存方法
| 方法 | 期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵 | 2〜3日 | 煮汁に浸して保存。乾燥防止。 |
| 冷凍 | 約1か月 | 汁ごと冷凍。自然解凍でOK。 |
| 再利用 | 翌日 | 甘露煮・スイートポテトなどにアレンジ可。 |
現役和食調理師のひと言
薩摩芋は火を入れすぎると“べっこう色”になり、味も締まりません。
煮物のコツは「沸かす」より「含ませる」。
火加減を静かに保ち、レモンの香りが立った瞬間に止めるのがベストです。
色・香り・味の三拍子が揃う、上品な一品に仕上がります。
