「するめいか(鰑烏賊)」は日本の食卓や寿司店で親しまれてきた代表的なイカのひとつです。名前の由来である「鯣(するめ)」にも深く関わり、古くから保存食や日常の料理に広く利用されてきました。
本記事では、するめいかの旬の時期や特徴、味わい、鯣との関係、地方名、栄養素やおすすめの調理法までを調理師目線でわかりやすく解説します。
「スルメイカとはどんなイカ?」「鯣烏賊と呼ばれる理由は?」と疑問を持った方に、旬の味覚をもっと楽しんでいただける内容になっています。
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スルメイカの旬
スルメイカ
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
スルメイカとは ~解説~

スルメイカ(鰑烏賊)は、日本の食卓で最もよく親しまれているイカのひとつで、加工品の「鯣(するめ)」の原料としても知られています。日本近海を広く回遊し、漁獲量が多いことから、家庭料理から寿司店まで幅広く利用されています。
特徴と呼び名
- 胴の両側にある三角形のヒレ(エンペラ)が大きな特徴。
- 初夏に水揚げされる小型のスルメイカは「ムギイカ」と呼ばれ、市場にも多く出回ります。
- 成長に従い「ムギイカ」から「スルメイカ」と呼ばれるようになり、季節ごとに呼び名が変わることがあります。
生息域と旬
- 日本列島を中心に分布し、海流に乗って広く回遊しています。
- 大きく分けて3つの系群(日本海系群・太平洋系群・東シナ海系群)があり、地域によって漁獲のピークが異なるため、一年を通じて漁獲されています。
- 特に夏(6〜8月頃)は漁獲が盛んで、「夏イカ」として多く流通します。
味わい
- 生(刺身・寿司)ではしっかりした歯ごたえがあり、甘みや旨味は控えめながら噛むほどに味が広がります。
- 加熱(焼き物・炒め物・煮物)すると旨味と甘味が増し、香ばしさが際立ちます。ただし、火を入れすぎると硬くなりやすいので注意が必要です。
- 加工品として干した「スルメ」は、旨味が凝縮され、日本の伝統的保存食として重宝されています。
栄養面
- 高タンパク・低脂質で、タウリンが豊富に含まれています。タウリンは肝機能を助け、疲労回復にも良いとされる栄養素です。
- ビタミンEやミネラルも含み、日常の食事に取り入れやすい魚介類のひとつです。
注意点
下処理の際は流水で洗いすぎると旨味が逃げてしまうため、軽くぬめりを落とす程度にするのがおすすめです。
スルメイカはアニサキスの寄生が確認されることが多い魚介類です。刺身など生食する際は、-20℃以下で24時間以上冷凍するか、十分に加熱してから食べるようにしましょう。

現役和食調理師のヒント
軽く炙れば香ばしさが増し、炒め物は強火でサッと仕上げるのがコツ。煮物にする場合は短時間で味を含ませることで、硬くならず柔らかい食感が残ります。
スルメイカと相性の良い食材

| 食材 | ポイント |
|---|---|
| 長ネギ 玉ネギ | 甘みと香味がイカの風味を引き立て、苦味や臭みを抑えて食べやすくしてくれる。 |
| にんにく | 香りが強く、イカのあっさりした味に深みを与える。加熱しても香ばしい香りが残る。 |
| レモン 酢 ポン酢 | 酸味が加わることでイカの甘みを引き出し、さっぱり感をプラス。生臭さを抑える役割もある。 |
| キャベツ アスパラガス ピーマン チンゲン菜 | 野菜のシャキシャキ感と彩りが加わり、イカの食感とのコントラストが良くなる。栄養も補える。 |
| バター | 脂分が旨味を補強し、香ばしさが加わる。香りも豊かになり、満足感が上がる。 |
| きゅうり 青じそ みつば | 清涼感が出て、食感・見た目共にアクセントになる。あっさりとした料理で重くなりすぎない。 |

現役和食調理師のヒント
にんにくや生姜は香りで旨味を引き立て、味噌やバターを加えるとコクが増してご飯のおかずや酒の肴にぴったり。逆に、柑橘や青じそを合わせるとあっさり爽やかに仕上がります。
スルメイカのおすすめの調理法

| 調理法 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 刺身 寿司 | 新鮮なスルメイカは甘みや旨味があり美味 |
| 塩焼き | 塩を振って皮に切り込みを入れて焼くと焦げ目と香ばしさが出る。焼き過ぎないように注意。 |
| バターソテー | にんにくやバターなどの香味と組み合わせて炒める。ワタを使うと旨味とコクが増す。火を通す際は短時間で。 |
| 煮物 | 出汁や酒・みりんなどで味を染み込ませる。軽く火を通すことで柔らかくなる |

現役和食調理師のヒント
加熱調理では中火~強火で短時間に仕上げ、焦げすぎず香ばしさを出すと食感もしっかり楽しめます。
地方名
- マイカ
- バライカ
- ムギイカ
- チンチロ
- ジルマイカ
- マツイカ
- トンキュウ
- ガンゼキ
- シマメイカ
- サルイカ
目利き

| チェックポイント | 良い状態・目安 |
|---|---|
| 目 | 黒目がくっきり澄んでいて、目が盛り上がっているもの。白く濁っていない。 |
| 体色 | 胴体に透明感があり、体表にツヤがあり、濃い茶色〜黒っぽい色味。斑点模様(色素胞)がはっきりしているもの |
| 弾力性 | 身(胴)がしっかりしていて弾力がある。触ると指の跡がすぐ戻るもの。胴部がたわんでいない。 |
| におい | 海の香り(磯の香り)やほんのり甘い、生臭さやアンモニア臭がないもの。 |

現役和食調理師のヒント
スルメイカを選ぶときは、まず 目の透明感 と 体の色つや を見るのが一番わかりやすいです。黒目が澄んでいて、体表に斑点模様がくっきりしていれば鮮度は抜群です。
仲間
- アカイカ
- マイカ
- バライカ
- ムギイカ
- ナツイカ
スルメイカ の栄養素 (食品成分表)
スルメイカ
可食部100g当たり
| 栄養素 | 焼き | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | – | 30 | % |
| エネルギー | 108 | 76 | ㎉ |
| 水分 | 71.8 | 80.2 | g |
| タンパク質 | 23.6 | 17.9 | g |
| 脂質 | 1.0 | 0.8 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 330 | 210 | ㎎ |
| カリウム | 360 | 300 | ㎎ |
| カルシウム | 14 | 11 | ㎎ |
| マグネシウム | 57 | 46 | ㎎ |
| リン | 300 | 250 | ㎎ |
| 鉄 | 0.2 | 0.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.9 | 1.5 | ㎎ |
| 銅 | 0.41 | 0.29 | ㎎ |
| マンガン | – | – | ㎎ |
| ヨウ素 | 10 | 7 | ㎍ |
| セレン | 46 | 41 | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | 1 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 22 | 13 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | 0.3 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.5 | 2.1 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.09 | 0.07 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.07 | 0.05 | ㎎ |
| ナイアシン | 5.8 | 4.0 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.26 | 0.21 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 5.4 | 4.9 | ㎍ |
| 葉酸 | 7 | 5 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.44 | 0.34 | ㎎ |
| ビオチン | 6.3 | 4.9 | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | 1 | ㎎ |
スルメイカは高たんぱく・低脂質で、亜鉛・銅・セレンやビタミンE/B12などの栄養がしっかり。焼きにすると水分が飛んでたんぱく質・ミネラルが濃縮されます。強火・短時間+隠し包丁でやわらかく、柑橘・生姜・バター醤油の組み合わせが相性抜群です。
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するめいかの漢字・英語表記

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 鯣烏賊(するめいか) |
| 英語表記 | Japanese common squid |
| 発音記号 | /dʒæpəˌniːz ˈkɑːmən skwɪd/ |
| 読み方 | ジャパニーズ・コモン・スクウィッド |
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
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