英語で“Coriander(コリアンダー)”と呼ばれるハーブは、日本では「パクチー」として知られています。タイ料理などでおなじみですが、実は葉・茎・種それぞれに違う呼び方があり、国によっても名称が変わる少しややこしい食材です。
この記事では、パクチーの英語名の意味と由来を中心に、日本での呼び方・旬・特徴を現役調理師がわかりやすく解説します。
英語学習にも、料理知識としても役立つ内容です。
ほかの野菜の英語名も知りたい方は➡ [野菜の英語表記まとめページ]もご覧ください。
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パクチーとは?~野菜の解説~

英語で “Coriander” と呼ばれるハーブは、日本語では一般的に 「パクチー」 として知られています。中国では「シャンツァイ(香菜)」、インドでは「ダニヤ(Dhaniya)」など、地域によって呼び方が異なります。
主に 中華料理、タイ料理、ベトナム料理、インド料理、メキシコ料理、ポルトガル料理 などで幅広く使われ、特有の強い香りがあるため、好き嫌いが分かれる食材です。
葉先に張りがあり、きれいな緑色のものを選ぶと香りが豊かで新鮮です。葉・茎・根・種子のすべてが食用になる 数少ない野菜のひとつで、葉は薬味として、果実(種)は「コリアンダーシード」としてスパイスに利用されます。
また、生の葉をにんにく・唐辛子と刻み、醤油に漬けると香り豊かな薬味にもなります。
和食にも取り入れやすい、世界中で愛されるハーブです。
「Coriander」の由来と呼び方の違い

英語で「Coriander(コリアンダー)」という言葉は、古代ギリシャ語の 「koris(コリス)=虫」 に由来します。乾燥したコリアンダーの種が少し独特な香りを放ち、虫のようなにおいに例えられたことが語源とされています。
イギリス英語とアメリカ英語の違い
同じハーブでも、英語圏では呼び方が異なります。
| 地域 | 呼び方 | 対応する部分 |
|---|---|---|
| イギリス英語 | Coriander | 葉・種の両方を指す |
| アメリカ英語 | Cilantro (シラントロ) | 葉・茎部分を指す(主に生) |
| インド | Dhaniya (ダニヤ) | パクチー全体を指す |
| 日本語 | パクチー (香菜) | 葉や茎が中心 |
このように、同じ植物でも国によって呼び方や使い方が異なる のが特徴です。アメリカでは “Cilantro” が一般的ですが、イギリスやアジア圏では “Coriander” と呼ばれることが多いです。
国によって名前が変わる理由
パクチーは世界中で使われており、それぞれの国の食文化や言語の影響を受けて名称が変化しました。
- 中国 → 香菜(シャンツァイ)=香りのある野菜
- タイ → パクチー(Pak Chi)
- ベトナム → ラウムイ(Rau Mui)
- インド → ダニヤ(Dhaniya)
つまり「Coriander」という言葉は英語圏の総称 にあたる言葉であり、世界では地域ごとに個性的な名前が使われています。

現役和食調理師のヒント
コリアンダーは呼び名が多い食材ですが、料理の香りづけや彩りとしての役割はどの国でも共通しています。“香りを楽しむハーブ”として覚えておくと、英語学習でも料理でも印象に残ります。
パクチーの特徴と香り
パクチー(Coriander)は、セリ科の一年草 で、独特の強い香りが特徴です。葉・茎・根・種子のすべてが食用となる数少ないハーブで、料理によって使い分けができます。
葉・茎・種の使い分け
| 部位 | 特徴 | 主な使い方 |
|---|---|---|
| 葉 | 香りが最も強い部分。加熱に弱い。 | サラダ・スープ・薬味に生で添える。 |
| 茎 | 風味がやや穏やかで、加熱しても香りが残りやすい。 | 炒め物・スープの香味野菜として使用。 |
| 根 | タイ料理などではスープのベースや煮込みの香りづけに使う。 | 下処理してスープやタレに。 |
| 種(コリアンダーシード) | スパイスとして世界中で使用。柑橘のような甘い香り。 | カレー、ピクルス、肉料理の風味づけ。 |
葉と種では香りが全く異なり、葉は清涼感、種はスパイシーで甘い香り が特徴です。英語では葉を “Coriander leaves” または “Cilantro”、種を “Coriander seeds” と区別して呼びます。
香りの成分と、好き嫌いが分かれる理由
パクチーの香りの主成分は リナロール(linalool) と デセナール(decanal) です。
一部の人はこの香りを「石鹸のよう」と感じ、好みがはっきり分かれる理由とされています。これは遺伝的な嗅覚の差によるもので、海外では「Coriander taste aversion(コリアンダー嫌悪)」という言葉もあるほどです。
パクチーの旬 ~おいしい時期~
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
パクチー(Coriander)は、もともと温暖な気候を好むハーブで、
日本では 春(4〜6月)と秋(10〜11月) が最も香りがよく育ちやすい旬の時期です。
夏は高温で葉が硬くなり、香りが強くなりすぎる傾向があります。
反対に冬は寒さで生育が遅く、出回る量が減りますが、温室栽培によって一年を通して手に入るようになっています。
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
英語での使い方と例文
パクチーを英語で表現する場合は、国によって使う単語が少し異なります。イギリス英語では “Coriander”、アメリカ英語では “Cilantro” が一般的です。どちらも同じ植物を指しますが、料理や文化の違いから使い分けられています。
「Coriander」を使った英文例
| 英文 | 日本語訳 |
|---|---|
| I added coriander leaves to the soup. | スープにパクチーの葉を加えました。 |
| Please garnish with a little coriander. | パクチーを少し飾ってください。 |
| The dish has a strong coriander flavor. | この料理はパクチーの香りが強いです。 |
「Cilantro」を使った英文例(アメリカ英語)
| 英文 | 日本語訳 |
|---|---|
| I don’t like the taste of cilantro. | パクチーの味が苦手です。 |
| Fresh cilantro adds a refreshing aroma. | フレッシュなパクチーが爽やかな香りを添えます。 |
| Mix cilantro with lime juice for a simple sauce. | パクチーとライムジュースを混ぜると簡単なソースになります。 |
💬 ワンポイント解説
日本語で「パクチーの香り」と言う場合、英語では “the aroma of coriander” や “the flavor of cilantro” と表現されます。
“aroma” や “flavor” は料理英語でも頻出の単語で、ハーブやスパイスを説明するときに役立ちます。
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保存方法

パクチーは香りが命のハーブで、乾燥や高温に弱いデリケートな食材です。購入後はなるべく早めに使い切るのが基本ですが、状態に合わせて正しい方法で保存すれば、鮮度と香りを3〜7日ほどキープできます。
冷蔵保存
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方法 | 根を少し残して水洗いし、水気をよく切る。湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。 |
| ポイント | 葉が乾くと香りが抜けるため、湿度を保つことが大切。 葉先がしんなりしたら、冷水に5分ほど浸すとシャキッと戻る。 |
| 保存期間 | 約3〜5日 |
水耕保存
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方法 | コップに2〜3cmの水を入れ、根元を浸して立てて保存。 上から軽くラップをかけると乾燥を防げる。 |
| ポイント | 毎日水を替える。冷蔵庫のドアポケットなど、温度変化の少ない場所に置く。 |
| 保存期間 | 約5〜7日 |
冷凍保存
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方法 | 洗って水気をよく切り、刻んでから小分けにしてラップ+フリーザーバッグへ。 |
| ポイント | 解凍せずにそのままスープや炒め物に入れると香りが残る。生食には不向き。 |
| 保存期間 | 約2〜3週間 |
パクチーと相性の良い食材

| 食材 | 相性の理由 |
|---|---|
| 鶏肉 | 淡白な味わいがパクチーの香りを引き立てる。 |
| トマト | 酸味と甘みがパクチーの爽やかさを際立てる。 |
| ツナ | 油分が香りをまろやかに包み、コクをプラス。 |
| 豆腐 | やさしい味わいが香りを受け止め、和風アレンジにも◎ |
| レモン ライム | 柑橘の酸味がパクチーの香りと好相性。 |
| エビ 白身魚 | クセのない魚介とパクチーの香りが爽やかに調和。 |
| ナンプラー にんにく | エスニック系調味料との相性が抜群。 |
パクチーの栄養素(食品成分表)
コリアンダー 葉(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 10 | % |
| エネルギー | 18 | ㎉ |
| 水分 | 92.4 | g |
| タンパク質 | 1.4 | g |
| 脂質 | 0.4 | g |
| 食物繊維(総量) | 4.2 | g |
| 炭水化物 | 4.6 | g |
| ナトリウム | 4 | ㎎ |
| カリウム | 590 | ㎎ |
| カルシウム | 84 | ㎎ |
| マグネシウム | 16 | ㎎ |
| リン | 59 | ㎎ |
| 鉄 | 1.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.09 | ㎎ |
| マンガン | 0.39 | ㎎ |
| ヨウ素 | 2 | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | 2 | ㎍ |
| モリブデン | 23 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 1700 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 1.9 | ㎎ |
| ビタミンK | 190 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.09 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.11 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.3 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.11 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 69 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.52 | ㎎ |
| ビオチン | 6.2 | ㎍ |
| ビタミンC | 40 | ㎎ |
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