ほっと落ち着く味わいの「がんもどきと椎茸の含め煮」。
出汁に椎茸の香りがしみ込み、がんもどきがその旨みをまるごと吸い込む上品な一品です。
「味が染みない」
「がんもどきが硬い」
「色が悪くなる」
などの失敗も多い料理。
原因の多くは火加減と煮詰め具合にあります。
プロの結論はシンプル。
👉「椎茸の香りを引き出し、煮詰めすぎない」。
素材の順に味を含ませることで、見た目も香りも上品に仕上がります。
旬の莢隠元を添えれば、彩りも季節感も豊かです。
よくある失敗と原因
- がんもどきが硬くなる → 煮すぎ・強火すぎ
- 味が染みない → 下味の時間不足・煮詰め不足
- 出汁が濃くなる → 火加減が強いまま放置
- 色がくすむ → 莢隠元を煮すぎている
- 香りが弱い → 干し椎茸の戻し汁を使っていない
材料(調味料の役割つき)
椎茸の煮汁#1
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 椎茸の戻し汁 | 150cc | 15 | 香りを生かすベース出汁 |
| 濃口醤油 | 20cc | 2 | 全体の旨味を引き締める |
| 砂糖 | 10g | 1 | まろやかな甘みを加える |
| みりん | 10g | 1 | 照りと香りを出す |
| 料理酒 | 20g | 2 | 椎茸を柔らかく香ばしくする |
がんもどきの煮汁
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 椎茸の戻し汁 | 150cc | 15 | 旨味を活かすベース出汁 |
| 濃口醤油 | 20cc | 2 | 全体をまとめる味の軸 |
| 砂糖 | 20g | 2 | がんもどきにコクを与える |
下処理

- がんもどき
ザルに広げ、熱湯を回しかけて油抜きをする(余分な油を除いて味を染みやすく) - 干し椎茸
水でゆっくり戻し、石づきを取る(戻し汁は香り成分が多いため必ず取っておく) - 莢隠元
筋を取り、4cmに切る。塩を加えた熱湯で茹でて冷水にとる(色止めのため)
作り方(よくわかるレシピ)

- 椎茸を煮る(中火〜弱火)
戻し汁で椎茸をやわらかくなるまで煮る。
🔸 合図:「椎茸の表面に軽くシワが寄る」ころが目安。
煮詰めすぎないように注意し、調味料(#1)を入れて味を含ませる。
→ 椎茸を取り出しておく。 - がんもどきを煮る(弱火)
椎茸を取り出した残り汁に出汁(150cc)を足す。
調味料(#2)を加え、がんもどきを入れてじっくり煮含める。
🔸 合図:「出汁を吸って、がんもがふっくら膨らむ」ころが仕上がり。 - 莢隠元を仕上げる(中火・短時間)
沸騰したお湯で莢隠元をサッと煮る。水気を切る
がんもどきの汁を少し取り、茹でたさやいんげんを漬ける
🔸 合図:「色が鮮やかに変わったらすぐ取り出す」。 - 盛り付け
椎茸・がんもどき・莢隠元を彩りよく盛る。
汁を少しかけて照りを出す。
失敗しない3つのコツ
- 干し椎茸はゆっくり戻す(冷水で半日が理想)
- 煮詰めすぎたら椎茸の戻し汁を足す
- 莢隠元は下茹でで色止め+短時間仕上げ
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器に入れて2日程度。
- 冷凍保存:味を濃いめにしてから汁ごと冷凍すれば約2週間。
- 弁当活用:汁気をよく切ってから入れると彩りが映える。
相性の良い料理・献立
- 主菜:鯖の味噌煮・鶏の照り焼き
- 副菜:ほうれん草のおひたし・大根のなます
- 汁物:味噌汁(豆腐+わかめ)
旬と豆知識
干し椎茸は通年使える乾物ですが、秋冬が香りのピーク。
莢隠元は春〜初夏にかけて旬を迎えます。旬を合わせることで、香りと彩りの調和が生まれます。
▶ 詳しくは【旬の食材カレンダー】をご覧ください。
現役和食調理師のひと言
この料理の肝は「椎茸の香りをどう生かすか」。
がんもどきにしっかり味を染み込ませつつ、出汁が濃くならないよう“火加減と煮詰め時間”を見極めます。鍋の中で静かに踊る泡が“合図”。そこを見逃さなければ、上品で深い含め煮に仕上がります。
