寿司や刺身で親しまれているマグロですが、実は種類によって 味わい・脂の量・旬・漁獲地 が大きく異なります。代表的な種類は クロマグロ(本マグロ)・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガ の5つ。
- 本マグロが「最高級」といわれる理由は?
- メバチとキハダの違いは?
- ビンナガが丼や家庭料理に向くのはなぜ?
- ミナミマグロは本マグロとどう違う?
本記事ではマグロ5種類の特徴・味の違い・向いている料理 を現役和食調理師がわかりやすく比較解説します。
「どのマグロが自分の好みか知りたい」
「種類ごとの違いをまとめて理解したい」
という方に最適な内容です。
マグロの種類一覧

| 種類 | 特徴 | 脂のり | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| クロマグロ (本マグロ) | 濃厚で旨味が強い。 脂の甘みが別格。 | ★★★★★ | ★★★★★ |
| ミナミマグロ (インドマグロ) | 深い赤身と上品な脂。 バランス型。 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| メバチマグロ | クセが少なく万能。 スーパーでも身近。 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| キハダマグロ | さっぱり淡白。 刺身より漬け丼向き。 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
| ビンナガマグロ | 淡泊で軽い口当たり。 ツナ缶でもおなじみ。 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |

現役和食調理師のヒント
マグロは「濃厚なクロ」「バランスのミナミ」「万能なメバチ」「淡白なキハダ」「軽いビンナガ」という特徴を覚えると選びやすくなります。
クロマグロ(本マグロ)|Bluefin tuna

クロマグロは 「マグロの王様」 と呼ばれる最高級魚で、体長3m・500kgを超える大きさに成長します。成長が遅く資源量も限られるため、希少性が高く市場でも最高値で取引されます。寿司・刺身の世界では、最上位のネタとして扱われています。
特徴(性質・産地・旬)
- 世界の温帯海域に分布し、日本近海でも漁獲される
- 成長が遅く、資源管理の対象となるほど希少
- 天然は冬が旬、脂のりが最も良く濃厚
- 養殖も増えており、味が安定して入手しやすい
味わいの特徴(部位ごとの違い)
| 部位 | 味・食感の特徴 |
|---|---|
| 赤身 | 力強い旨味。鉄分を感じる濃厚な味 |
| 中トロ | 脂と赤身のバランスが秀逸で、滑らかな舌ざわり |
| 大トロ | 最も脂がのり、とろけるような甘みと旨味 |
※天然は旨味が深く、養殖は脂がしっかりして白っぽい傾向があります。
向いている料理
- 刺身・寿司(最適)
- 大トロの炙り(香りと甘味UP)
- 加熱料理には不向き(脂が強すぎてバランスが崩れやすい)

現役和食調理師のヒント
クロマグロは“部位ごとに別の顔”を持っています。赤身・中トロ・大トロを食べ比べるだけで、まるで別の魚を味わっているような感覚になりますよ。
ミナミマグロ(インドマグロ)|Southern bluefin tuna

ミナミマグロは、クロマグロに次ぐ高級マグロとして扱われる品種で、日本では「インドマグロ」という別名でも知られています。深い赤身と上品な脂が特徴で、味のバランスが良く、寿司店でも人気の高い種類です。
特徴(性質・産地・旬)
- 主な漁場は オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ沖
- 日本近海ではほとんど獲れず、流通の多くは輸入物
- クロマグロよりやや小型(最大2m前後)
- 資源管理が厳しく、漁獲枠の制限がある
- 旬は 初夏〜冬(輸入物は通年流通し味が安定)
味わいの特徴
| 部位 | 味・食感の特徴 |
|---|---|
| 赤身 | 濃い赤色で、キレのある旨味 |
| 脂身 | 程よい脂がのり、後味がすっきり |
クロマグロが「濃厚で圧倒的な旨味」なら、
ミナミマグロは “キリッと締まった上品な赤身” が持ち味。クセが少なく食べ飽きない味わいです。
向いている料理
- 鉄火丼・漬け丼(最適)
- 刺身・寿司(赤身好きに人気)
- 炙りにも適するが、加熱しすぎは旨味が抜けるため注意

現役和食調理師のヒント
さっぱりした赤身が好きな方には、クロマグロよりミナミマグロのほうがしっくり来ることも多いです。
メバチマグロ|Bigeye tuna

メバチマグロは日本で最も流通しているマグロで、スーパーや回転寿司でも広く親しまれています。名前のとおり「大きな目」が特徴で、漁獲量が安定しているため 価格が手頃で日常使いしやすいマグロ です。
特徴(性質・産地・旬)
- 主な漁場は 世界中の熱帯〜温帯海域
- 日本国内の流通量が最も多い品種
- 体長は2m前後で、クロ・ミナミより小型
- 旬は 秋〜冬 とされるが、通年流通で安定
- 冷凍品でも味が落ちにくく扱いやすい
味わいの特徴
| 部位 | 味・食感の特徴 |
|---|---|
| 赤身 | クセが少なく、あっさりと軽い味わい |
| 脂身 | 脂は控えめだが、部位によっては程よくのる |
濃厚さではクロマグロやミナミマグロに劣る一方、
クセがなく万人向けの食べやすさが最大の魅力 です。
向いている料理
- 鉄火丼・漬け丼(最適)
- 山かけ丼など家庭料理
- 刺身・寿司(軽めが好みの人に)
- 照り焼きやステーキなど加熱料理にも対応可能

現役和食調理師のヒント
メバチは“日常のマグロ”として非常に優秀。刺身でも丼でも加熱でも崩れにくく、家庭料理との相性が抜群です。
キハダマグロ|Yellowfin tuna

キハダマグロは世界中で漁獲される代表的なマグロで、安定した流通量と比較的手頃な価格が特徴です。背びれや尾びれが黄色いことから「黄肌(キハダ)」と呼ばれています。赤身中心で脂が少なく、さっぱりした味わいが持ち味です。
特徴(性質・産地・旬)
- 世界の 熱帯〜温帯海域に広く生息
- 最大2m以上になるが、クロマグロより小型
- 日本では 刺身用より加工品・冷凍品で流通が多め
- 脂が少ない赤身中心で 価格が比較的安定
- 旬は 夏〜秋(漁獲エリアにより変動)
味わいの特徴
| 部位 | 味・食感の特徴 |
|---|---|
| 赤身 | 淡い紅色でクセがなくあっさり |
| 脂身 | 脂はほとんどなく軽い口当たり |
鮮度が落ちると色が黒く変わりやすいため、
品質差が出やすい品種でもあります。刺身としては淡泊ですが、料理によって旨味が引き立つタイプです。
向いている料理
- 漬け・たたき(味を足す料理に相性◎)
- ステーキ・照り焼き・フライ(加熱調理に最適)
- スパイス系やエスニックにも合う

現役和食調理師のヒント
キハダは“味付けの幅を広げられるマグロ”。刺身なら漬け、加熱なら照り焼きやソテーが特におすすめです。
ビンナガマグロ|Albacore tuna

ビンナガマグロは、胸びれが長いことから名付けられたマグロで、日本では「トンボマグロ」とも呼ばれます。脂は控えめで淡泊、クセがなく軽い食感が特徴。ツナ缶の主原料としても広く利用されており、もっとも家庭料理との相性が良いマグロです。
特徴(性質・流通)
- 別名:トンボマグロ
- 世界の温帯〜亜熱帯海域に広く分布
- 1m前後の小型マグロで、漁獲量が安定
- 価格は比較的手頃で入手しやすい
- ツナ缶の素材として非常にポピュラー
味わいの特徴
| 部位 | 味・食感の特徴 |
|---|---|
| 身色 | 淡い紅色〜白っぽい身色 |
| 味わい | クセがなく淡泊、軽い口当たり |
クロやミナミのような濃厚さはありませんが、
やさしい味わいで“飽きずに食べられるタイプ” のマグロです。
向いている料理
- ツナ缶(真価を発揮する加工向き)
- サラダ・パスタ・オイル漬け
- 漬け・炙り・タタキなど味付けを補える料理
※刺身の場合は
柑橘・薬味・にんにく・大葉・ハーブなどを合わせると相性抜群。

現役和食調理師のヒント
ビンナガは“家庭料理で最強のマグロ”。刺身で物足りなければ薬味で補い、加熱・油・マヨネーズと合わせると一気に化ける魚です。
【まとめ】マグロの種類と選び方
マグロには「クロマグロ・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガ」という5つの代表種があり、味わいや用途がはっきり分かれています。
| 目的・好み | おすすめの種類 |
|---|---|
| 濃厚で特別感を味わいたい | クロマグロ(本マグロ) |
| 赤身の旨味をしっかり楽しみたい | ミナミマグロ(インドマグロ) |
| 日常的に食べやすく万能型 | メバチマグロ |
| さっぱり軽い口当たり | キハダマグロ |
| 家庭料理・ツナ缶など料理用に◎ | ビンナガマグロ |
マグロは同じ魚でも、
- 種類(クロ・ミナミ・メバチ…)
- 脂の量
- 用途(刺身・寿司・加熱料理)
によってまったく表情が変わる魚です。「どんなシーンで食べたいか」を軸に選ぶのが、失敗しない最大のポイント。「部位ごとの違いも知りたい」「赤身とトロを比較したい」という方は、下記ページでさらに詳しく解説しています。
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