「スーパーの鮮魚コーナーに、3種類もカレイが並んでいてどれを買うか迷った……」 「カレイの煮付けを作ったけれど、身がパサついて美味しくなかった……」
そんな経験はありませんか?実は、カレイは日本近海だけでも数十種類が存在し、それぞれで「一番旨い月」も「適した料理法」も驚くほど異なります。
板前として25年以上、数え切れないほどの魚を捌いてきた私が断言できるのは、「カレイ料理の成功は、レシピよりも『その種類に合った旬と調理法』を知っているかどうかで決まる」ということです。
この記事では、カレイ界の絶対王者「マツカワガレイ」から、家庭の味方「真ガレイ」、煮付けの最高峰「ばばがれい」まで、私が現場で培ってきた全7種類の使い分けを徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはもう魚屋さんの店先で迷うことはありません。プロの目線で、その時一番美味しいカレイを自信を持って選べるようになっているはずです。
板前監修:カレイ7種・徹底比較まとめ

| 種類 | ココが特徴 |
| メイタガレイ | 小さくても身の締まりは別格。磯の香りを楽しむ刺身は、ヒラメを凌ぐ満足感です。 |
| マツカワガレイ | 「カレイの王様」は伊達じゃない。一度刺身で食べれば、他のカレイに戻れなくなる罪な味。 |
| マガレイ | 煮付けの失敗がない優等生。身離れの良さが随一で、家庭の食卓を一番に支える主役です。 |
| ババガレイ | 煮付けにするなら指名買い。トロトロの皮目とゼラチン質は、もはや飲み物のような旨さ。 |
| アカガレイ | 冬の「子持ち」は外せません。ホクホクの身と卵に、甘辛い煮汁をたっぷり絡めて。 |
| ホシガレイ | マツカワと並ぶ幻の高級品。夏の刺身として板前が最も欲しがる、気品溢れる白身です。 |
| イシガレイ | 実は「夏の刺身」の強い味方。手頃な価格ながら、高級魚に負けない清涼感が魅力です。 |

現役和食調理師のヒント
「今日は何が一番いい?」と迷ったら、まずはババガレイで煮付けを作るか、夏ならイシガレイを刺身で試してみてください。カレイの本当のポテンシャルに驚くはずですよ。
各カレイの特徴と「最高に旨い」食べ方
板前の私が現場で感じている、それぞれのカレイの真価と、絶対に外さない旬・調理法を深掘りします。
メイタガレイ

小さくても主役級!磯の香りと歯ごたえを楽しむ
- 旬:6月〜9月
多くのカレイが冬に旬を迎える中、メイタガレイは夏に身が締まります。特に産卵を控えた夏から秋口にかけて、そのポテンシャルは最高潮に。 - おすすめの調理法
刺身(薄造り)、唐揚げ
この魚の最大の特徴は、ヒラメをも凌ぐと言われる「身の弾力」です。 - 板前のコツ
良型ならぜひ刺身(薄造り)に。ポン酢と紅葉おろしで食べると、噛むほどにメイタガレイ特有の香りが鼻を抜けます。小ぶりなものは、二度揚げした「唐揚げ」にすると、頭から骨まで旨味の塊を味わえます。
マツカワガレイ

カレイ界の絶対王者。一生に一度は味わいたい極上の甘み
- 旬:11月〜2月
寒さが厳しくなる頃、マツカワガレイの身には上品な脂が回り、厚みを増します。 - おすすめの調理法
刺身 「王様」の名にふさわしく、まずは何も足さずに刺身で食べてみてください。 - この魚の凄さは、寝かせることでさらに引き出されます。捌いてから少し寝かせると、甘みがぐんと増し、醤油を弾くほどの脂の乗りを実感できます。
冬のカレイたちが最も脂を蓄える12月。この時期はカレイ以外にも、寒さの中で旨みが凝縮される魚介類が数多く市場に並びます。25年以上板前として現場に立ち、厳選してきた「今食べるべき冬の味覚」をこちらのページで月別にまとめています。▶ 12月の旬な魚介類一覧:冬の王様たちをチェックする
マガレイ

食卓の万能選手。煮付けでわかる身離れの良さ
- 旬:3月〜5月
春に産卵を控えて浅場に寄ってくる時期が、最も親しまれる旬です。 - おすすめの調理法
煮付け、塩焼き どんな料理にも合いますが、春の真ガレイは煮付けにすると身がホロホロと外れ、最高のご馳走になります。
ババガレイ(ナマガレイ)

煮付けの特等席。トロトロのゼラチン質を堪能
- 旬:12月〜2月
寒い時期、最も身が厚くなり、独特の「ぬめり」が旨味に変わります。 - おすすめの調理法
煮付け 皮目のゼラチン質を味わうならこれ。甘辛い煮汁との相性はカレイの中でNO.1です。
アカガレイ

冬の子持ちは外せない!ホクホクの身と卵のハーモニー
- 旬:12月〜2月
冬の北陸や東北の定番。パンパンに詰まった卵を楽しむ時期です。 - おすすめの調理法
煮付け(子持ち) 卵に煮汁を染み込ませて、身と一緒に頬張るのがこのカレイの一番贅沢な食べ方です。
ホシガレイ

幻の高級品。夏の白身として板前が最も欲しがる逸品
- 旬:6月〜8月
マツカワが冬の王様なら、ホシガレイは夏の王様。暑い時期に身が充実します。 - おすすめの調理法
刺身 気品のある甘みは高級店でしか味わえないレベル。見かけたら即確保の超高級魚です。
夏のカレイが真価を発揮し始める6月。梅雨時期から夏にかけては、イシガレイやホシガレイのような、白身の清涼感を楽しむ魚が主役となります。他にも、初夏から夏にかけて板前が真っ先に仕入れる旬の素材については、以下のページを参考にしてください。▶ 6月の旬な魚介類一覧:初夏の絶品素材をチェックする
イシガレイ

夏の刺身の強い味方。手頃で爽やかな白身の王道
- 旬:6月〜9月
夏場の刺身として非常に使い勝手がよく、清涼感のある味わいが特徴。 - おすすめの調理法
刺身、フライ 「石」の部分を丁寧に処理し、薄造りに。夏場はヒラメの代わりとして重宝されるほどの身質です。
板前直伝:失敗しないカレイの目利き「3つの鉄則」
スーパーのパック詰めや市場の店先で、25年の板前経験を持つ私が「これだ!」と確信するカレイの目利きポイントをまとめました。カレイは種類が多いですが、鮮度と味を見極める急所は共通しています。ここを抑えるだけで、ハズレを引く確率がグンと下がります。
「裏返した白さ」と「血走りのなさ」をチェック
カレイ選びで最も重要なのは、お腹側(白い方)を見ることです。
- 合格点: 透き通るような真っ白、または綺麗なピンク色。
- 要注意: 全体的に黄色っぽくなっていたり、赤い「血走り」や「内出血」が目立つものは、鮮度が落ちているか、扱いが雑だった証拠です。

現役和食調理師のヒント
お腹の白さは、その魚がどれだけ丁寧に扱われてきたかのバロメーター。ここが綺麗な個体は、身に雑味がありません。
「頭の後ろ」の厚みを確認する
カレイは平たい魚ですが、その中でも「肉厚さ」を見極めるポイントがあります。
- 見るべき場所: 頭のすぐ後ろ、背骨のあたり。
- 見極め方: ここが「ポコッ」と盛り上がっているものは、エサをたっぷり食べて身が詰まっています。逆にここが薄いものは、煮付けにしても食べ応えがなく、身がパサつきやすいです。
「ぬめり」の質を見る(特にパック詰めの時)
カレイ特有の「ぬめり」は、鮮度の証でもあります。
- 鮮度が良い: ぬめりが透明で、魚の表面に艶(つや)がある。
- 鮮度が悪い: ぬめりが白濁し、パックの底に水(ドリップ)と一緒に溜まっている。

現役和食調理師のヒント
特にババガレイ(ナマガレイ)などは、ぬめり自体に旨味がある魚です。このぬめりが濁っていないか、艶があるかを厳選してください。
種類別のワンポイント・チェック
紹介した7つのカレイに特化した、もう一歩踏み込んだ目利き術です。
- メイタガレイ・イシガレイ:
皮の表面が乾燥しておらず、目がパッチリと黒いものを選びましょう。目が窪んでいるものは鮮度落ちが早いです。 - アカガレイ:
お腹側の縁(ひれに近い部分)が、うっすらと赤みを帯びているものが鮮度の良い証拠です。 - マツカワガレイ・ホシガレイ
皮の斑点や模様がハッキリしているもの。これらは高級魚ですので、身に弾力がある(硬い)ことが絶対条件です。
パック越しでもわかる「買い」のサイン
- お腹が真っ白で綺麗か?
- 頭の後ろに盛り上がるような厚みがあるか?
- 表面に艶があり、目が黒々と輝いているか?
この3点が揃っていれば、どの種類のカレイを買っても、その日の食卓は成功間違いなしです。

現役和食調理師のヒント
スーパーなどで切り身を買う場合は、ドリップ(赤い汁)が出ていないか確認しましょう。ドリップが出ているものは鮮度が落ちており、風味が落ちやすくなっています。
かれいとは?~解説・味の特徴~
かれい(鰈)はスズキ目カレイ科に属する海水魚で、日本近海だけでも40種以上が確認されている白身魚の代表格です。体が平たく、両目が右側に寄っているのが特徴で、「左ヒラメ、右カレイ」という言葉で見分けられることもあります。
日本各地の沿岸で獲れるため、地域ごとに料理法も多彩で、煮付け、塩焼き、唐揚げ、刺身、干物など、幅広く使われています。
味の特徴
- 身は柔らかく繊細で、上品な甘みがある
- 種類や季節によって脂ののりや食感が変化
- 特に冬場のマコガレイ・マガレイは脂がのって絶品
冷凍流通している「カラスガレイ(烏鰈)」は、脂が多く加工しやすいため、給食や家庭料理などでも多く使われています。

現役和食調理師のヒント
カレイは種類ごとに個性があり、調理法を変えると一層おいしくなります。個体によっては肝も美味しくいただけますよ。
かれいと相性の良い組み合わせ
| 組み合わせ | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 生姜 ネギ | 煮付けや酒蒸しに。臭みを抑えつつ、香味で引き立てる |
| 柚子 すだち | 焼き魚に添えて爽やかな香りと酸味をプラス |
| 大根おろし | 焼き物や揚げ物に添えてさっぱりと。脂のりの良い種に◎ |
| バター 白ワイン | ムニエルやソテーに。洋風アレンジでも旨みが引き立つ |
「カレイの煮付けは子供も大好き。でも、どうしても小骨が心配で……」という声をよく耳にします。せっかくの美味しい魚を、笑顔で食べてもらいたいですよね。25年の経験を持つ板前が実践している、小さなお子様でも安心して食べられる「骨取りのコツ」をこちらで詳しく解説しています。▶ 魚の小骨の取り方|子どもも食べやすいコツと“骨の不安”を減らす方法

現役和食調理師のヒント
カレイは煮崩れしやすい魚なので、煮付けの際は皮目を上にして、強火→弱火に切り替えて煮るのがコツ。仕上げに針しょうがを乗せると、香りも見た目も引き締まります。
保存方法
かれいは繊細な白身魚で、鮮度が落ちやすいため保存方法が重要です。生のまま保存する場合は、下処理をしてからが基本。調理済みも適切に保存すれば、おいしさを保てます。
生のかれい(切り身・丸ごと)の保存方法
| 方法 | 保存期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵(2〜5℃) | 1〜2日 | 内臓を取り除き、ペーパーで包みラップまたは密閉容器に入れる |
| 冷凍(−18℃以下) | 2〜3週間 | 水気を拭いて1切れずつラップ→フリーザーバッグに。空気をしっかり抜く |
鰈(かれい)の栄養素|食品成分表
まがれい
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | % |
| エネルギー | 89 | ㎉ |
| 水分 | 77.8 | g |
| タンパク質 | 19.6 | g |
| 脂質 | 1.3 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 110 | ㎎ |
| カリウム | 330 | ㎎ |
| カルシウム | 43 | ㎎ |
| マグネシウム | 28 | ㎎ |
| リン | 28 | ㎎ |
| 鉄 | 0.2 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.03 | ㎎ |
| マンガン | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | 21 | ㎍ |
| セレン | 110 | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 5 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 13.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 1.5 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.35 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.5 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.15 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 3.1 | ㎍ |
| 葉酸 | 4 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.66 | ㎎ |
| ビオチン | 22.0 | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
英語表記・漢字・読み方

● 英語表記・発音・カタカナ読み
| 日本語名 | 英語表記 | 発音記号 | カタカナ読み |
|---|---|---|---|
| かれい | flatfish righteye flounder | [ˈflætˌfɪʃ] [ˈraɪtaɪ ˈflaʊndər] | フラットフィッシュ ライトアイ・フラウンダー |
英語では「flatfish(平たい魚)」が総称であり、かれい全体を指します。
また、かれいは両目が右側に寄っていることから、特に「righteye flounder(右目のカレイ類)」と分類されることもあります。
ただし、日本のカレイに相当する具体的な種名は英語圏ではあまり一般的ではないため、料理紹介などでは「grilled flatfish」「braised flounder(煮付け)」など、調理法と合わせて表現するのが一般的です。
