棗(なつめ)は、古くから「食べる漢方」とも呼ばれる滋養豊かな果実です。
中国や韓国では健康食材として親しまれ、日本でも薬膳料理やドライフルーツとして人気があります。鉄や葉酸、カリウムなどのミネラルを多く含み、貧血予防や疲労回復に役立つとされるほか、自然な甘みとやさしい香りが魅力。旬の時期には生のなつめも出回り、サラダや煮物など幅広く楽しめます。
この記事では、なつめの旬の時期・選び方・保存方法・相性の良い食材・栄養素を、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
なつめとは~解説~

中華料理の材料や薬膳食材として知られる「棗(なつめ)」は、古くから健康食として親しまれてきた果実です。果実は楕円形で、熟すと赤褐色になり、ほのかな甘みと香ばしさが特徴。生のまま食べることもできますが、一般的には乾燥させた「干しなつめ(大棗)」の方がよく知られています。
中国では「一日三粒のなつめを食べたら年を取らない」と言われるほど、滋養強壮の果実として重宝されています。ビタミンB群やカリウム、カルシウム、鉄、葉酸などを含み、薬膳料理では体を温める食材として利用されています。

現役和食調理師のヒント
生のなつめは果皮にツヤとハリがあるものを選びましょう。乾燥なつめはシワが少なく、赤みが均一でしっとりとした質感のものが良品です。
なつめの旬

なつめの花は初夏(5〜7月頃)に咲き、果実が熟すのは秋。
旬の時期は8月中旬~11月初旬頃 とされています。生なつめはこの時期に出回りますが、乾燥なつめは通年で購入できます。秋の果実として、梨や柿と並び季節の変わり目に食べられることが多い果物です。
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のヒント
秋口に出回る生なつめは、皮にハリがあってやや黄緑がかったものが甘みがのっています。完熟して赤褐色になったものは、ややねっとりした甘さに変わります。
棗(なつめ)の選び方(目利き)

生なつめ
- 果皮にツヤと弾力があるもの
- シワや傷、黒ずみがないもの
- 手に取ったときに重みを感じるもの
乾燥なつめ
- 色が均一でツヤがあり、極端に乾きすぎていないもの
- 香りが自然で、焦げ臭さやカビ臭がないもの
- 割れや穴、カビが見られないもの

現役和食調理師のヒント
乾燥なつめは、調理前に軽くぬるま湯に浸して戻すとふっくら仕上がります。甘煮や煮物の仕上げに加えると自然な甘みが加わります。
棗(なつめ)の保存方法(冷蔵・冷凍)
生なつめ
生のなつめは乾燥しやすいため、ビニール袋に入れて冷蔵庫(野菜室)で保存します。
保存期間は 2〜3日程度 が目安です。常温ではすぐにしぼんでしまうため注意が必要です。
乾燥なつめ
開封後は湿気を防ぐため、密閉容器や保存袋に乾燥剤を入れて冷蔵保存しましょう。
保存期間の目安は、冷蔵で約1か月。冷凍で約6か月。
冷凍する場合は、小分けにしてラップで包み、冷凍用袋に入れると便利です。

現役和食調理師のヒント
干しなつめは湿気を吸いやすく、風味が落ちやすいので、冷蔵庫での密閉保存が基本です。使う分だけ小袋に分けておくと使い勝手がよくなります。
棗(なつめ)と相性の良い食材
| 食材 | 相性の理由 |
|---|---|
| 大根 | 消化を助け、なつめの甘みとバランスがよい。薬膳スープに。 |
| 豆乳・牛乳 | なつめの甘みとコクがマイルドにまとまり、ドリンクやデザートに最適。 |
| 栗 銀杏 | 秋の味覚として煮物や炊き込みご飯に合わせると風味が引き立つ。 |
| シナモン クローブ | スパイスを少量加えると香りが際立ち、エイジングケア向きの薬膳スイーツに。 |
棗(なつめ)の英語・漢字表記

| 表記 | 読み方・発音 | 補足 |
|---|---|---|
| 漢字 | 棗 | 日本語では「なつめ」と読む |
| 英語 | Jujube(ジュジュブ) | 発音:/ˈdʒuːdʒuːb/ |
| 学名 | Ziziphus jujuba | クロウメモドキ科の植物 |
| 混同注意 | デーツ(Date Palm)とは別種 | デーツ=ナツメヤシ(ヤシ科) |
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。
なつめの栄養素(食品成分表)
なつめ(乾)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 乾燥 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 15 | % |
| エネルギー | 294 | ㎉ |
| 水分 | 21.0 | g |
| タンパク質 | 3.9 | g |
| 脂質 | 2.0 | g |
| 食物繊維(総量) | 12.5 | g |
| 炭水化物 | 71.4 | g |
| ナトリウム | 3 | ㎎ |
| カリウム | 810 | ㎎ |
| カルシウム | 65 | ㎎ |
| マグネシウム | 39 | ㎎ |
| リン | 80 | ㎎ |
| 鉄 | 1.5 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.24 | ㎎ |
| マンガン | 0.46 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 7 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.1 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.1 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.21 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.6 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.14 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 140 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.86 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ
あわせて読みたい
