ミント(薄荷)は、清涼感のある香りと爽やかな味わいで、料理やお菓子、ハーブティーなど幅広く使われるハーブです。その香り成分「メントール」にはリラックス効果が知られていますが、実はミントにはβカロテン・ビタミンC・カルシウム・カリウムなどの栄養素も含まれています。
本記事では、Aprifel(国際青果研究協会)のデータをもとに、100gあたりの栄養成分を一覧で紹介します。
さらに、旬の時期や保存のコツ、相性の良い食材、代表的な品種まで、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
「ミントの栄養をしっかり知りたい」
「香りだけでなく健康的に取り入れたい」
そんな方に向けて、ハーブとしての魅力と実用的な使い方をまとめました。
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ミントとは ~解説~

ミント(英語:mint)は、シソ科ハッカ属(Mentha)に属する芳香性の高い多年草で、世界各地の温帯地域に分布しています。
その爽快な香りと清涼感のある味わいが特徴で、ペパーミント(Mentha × piperita)やスペアミント(Mentha spicata)など数十種類以上の品種があります。
日本では「ハッカ(薄荷)」の名で知られ、特に北海道北見地方を中心に明治期以降、和種ハッカ(Mentha arvensis)が栽培されてきました。
この和種ハッカはメントール(menthol)の原料として国内外で高く評価され、昭和初期には日本が世界最大のハッカ輸出国だった時代もあります。
ミントは、料理・菓子・飲料の香りづけはもちろん、ハーブティーやアロマ、日用品などにも幅広く利用されています。食卓では清涼感のアクセントとして、デザートや肉料理の添え葉などに重宝されます。
和名の正式な漢字表記は「薄荷(はっか)」で、植物学的にもこの表記が一般的です。
なお、古文献などで「民都」「女無天」といった当て字が使われることもありますが、現在はほとんど用いられていません。

現役和食調理師のヒント
ミントは“香りを添える”食材。甘味だけでなく、脂のある料理の後口をさっぱりさせる役割もあります。仕上げに軽くちぎって添えると香りが立ちますよ。
ミントの旬~おいしい時期~

ミント
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|---|
▶ 季節ごとの野菜・魚介を一覧でチェックする【年間カレンダー】
ミントは多年草のハーブで、温暖な地域では一年を通して栽培できますが、香りと葉の質が最も良くなる旬は6月〜9月ごろです。この時期のミントは、強い日差しを受けてメントールなどの香気成分が高まり、清涼感のある香りが際立ちます。
露地栽培では、春先(4〜5月)に新芽が伸び始め、夏にかけて収穫の最盛期を迎えます。
摘み取るほどにわき芽が出るため、長期間フレッシュな葉を楽しむことができます。
また、家庭菜園やプランターでも育てやすく、摘みたての香りは格別。
ハーブティーやデザートの飾りつけに使うと、爽やかな風味が料理を引き立てます。。

現役和食調理師のヒント
夏場のミントは香りが強いので、少量でも十分に風味が出ます。冷たい飲み物やそうめんの薬味に加えると、涼しげでおすすめです。
ミントの栄養素(食品成分表)
日本の「食品成分表(文部科学省)」には、ミントの栄養データが掲載されていません。
そのため本ページでは、フランスの公的機関「Aprifel(Agence pour la Recherche et l’Information en Fruits et Légumes)」が提供する科学的データを参照しています。
Aprifelは欧州各国の青果物データを統合した国際的な機関で、ここで紹介する数値は100gあたりのミントの主要栄養素と微量ミネラルを示したものです。数値は可食部(生葉)を基準とし、同条件で比較できる信頼性の高いデータです。
ミント
100gあたり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | – | % |
| エネルギー | – | ㎉ |
| 水分 | 82.1 | g |
| タンパク質 | 3.52 | g |
| 脂質 | 0.84 | g |
| 食物繊維(総量) | 7.4 | g |
| 炭水化物 | 5.3 | g |
| ナトリウム | 30.5 | ㎎ |
| カリウム | 514 | ㎎ |
| カルシウム | 221 | ㎎ |
| マグネシウム | 71.5 | ㎎ |
| リン | 66.5 | ㎎ |
| 鉄 | 8.48 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.1 | ㎎ |
| 銅 | 0.28 | ㎎ |
| マンガン | 1.15 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | 0.5 | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 123.33 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 740 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 5 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.08 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.22 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.33 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.14 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | ㎍ |
| 葉酸 | 110 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.29 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 22.6 | ㎎ |
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相性の良い食材

ミントは、爽やかな香りと清涼感を持つハーブで、料理・スイーツ・ドリンクなど幅広く活用できます。香りの主成分「メントール」は、口の中をすっきりさせる特徴があり、油脂を使う料理や甘みの強いデザートの後味を整えるのにも役立ちます。
| 食材 | 相性の理由・活用例 |
|---|---|
| スイカ メロン イチゴ ライム レモン パイナップル | 果実の甘酸っぱさと清涼感が調和。デザートやドリンクに◎ |
| ヨーグルト クリームチーズ ミルク | まろやかさとミントの香りが調和し、後味がすっきり。スムージーやデザート向き。 |
| ラム肉 鶏むね肉 | 脂のある肉の臭みを抑え、爽やかな香りで食べやすく。ミントソースやマリネに最適。 |
| ひよこ豆 レンズ豆 | ミントの香りが豆の風味を引き立て、中東風サラダにおすすめ。 |
| 紅茶 炭酸水 カクテル | 香りが引き立ち、リフレッシュ感のある味わいに。ハーブティーにも最適。 |
💡栄養を活かすポイント
- 油を使う料理(肉や魚)では脂溶性の香り成分が引き立ちやすくなるため、ドレッシングやソースに混ぜるのもおすすめです。
- ミントに含まれるβカロテンやビタミンCは熱に弱いため、加熱よりも生のまま使用が理想です。
- 果物やヨーグルトなど、ビタミンCを含む食材と合わせると相性◎。
ミントの保存方法|香りを保つコツ

ミントは香りが飛びやすく、乾燥や冷気に弱いハーブです。購入後はできるだけ早めに使い切るのが理想ですが、保存の仕方を工夫すれば、香りと鮮度を2〜3日〜1か月程度キープできます。
冷蔵保存
香りを保つには水分と空気のバランスが大切です。
保存目安:2〜3日
保存手順
- 茎の根元を軽く水に浸けてコップに立てる
- 葉が乾かないよう、上からラップをふんわりとかける
- 冷蔵庫の野菜室(5〜10℃前後)で保存
湿らせたキッチンペーパーで包み、保存袋に入れて密閉せずに野菜室へ。乾燥を防ぎながら通気性を保つのがポイントです。
冷凍保存
冷凍しても香りが比較的保たれるため、使い切れないときにおすすめです。
保存目安:1か月
保存手順
- 葉を軽く洗い、水気をしっかり拭き取る
- ちぎった葉をフリーザーバッグに入れて空気を抜く
- もしくは、刻んだミントを製氷皿に水またはオリーブオイルと一緒に入れて冷凍
凍ったままドリンクやソースに加えれば、香りがふんわり広がります。香りが落ちやすいため、1か月以内を目安に使い切りましょう。ミントは香りが飛びやすく傷みやすいハーブのため、購入後は早めに使い切るのが理想です。以下の保存方法を参考に、風味を保ちましょう。

現役和食調理師のヒント
葉が濡れたまま保存すると黒ずみやすいため、水気はしっかり取る。冷気に直接当たると香りが飛ぶので、冷蔵庫ではラップや袋で保護する
主な品種群
- スペアミント
- パイナップルミント
- 日本ハッカ
- ジンジャーミント
- アップルミント
ミントの英語・漢字表記

ミントの英語表記は “mint”(発音:/mɪnt/〔ミント〕)です。
英語では一般的にハーブ全般を指しますが、品種ごとに次のように区別されます。
| 名称 | 英語表記 | 発音記号 |
|---|---|---|
| ミント(総称) | mint | /mɪnt/ |
| ペパーミント | peppermint | /ˈpepərˌmɪnt/ |
| スペアミント | spearmint | /ˈspɪərˌmɪnt/(英) /ˈspɪrˌmɪnt/(米) |
日本語の正式な漢字表記は 「薄荷(はっか)」 です。古くから清涼感をもたらす香草として使われており、明治期には北海道で栽培が盛んになり、メントールの原料として輸出も行われていました。
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。
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