【調理師が解説】舌平目は高級魚なのか?ご家庭でさばくのが難しい理由と極上の味わい方

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「フレンチのムニエルなどで見かける舌平目。高級魚のイメージがあるけれど、たまにスーパーで安く売られているのはなぜ?」

そんな疑問を持っていませんか。

和食の世界で長年魚と向き合ってきた調理師の視点からお答えすると、「舌平目は間違いなく高級魚ですが、種類と鮮度によって全く別物になる魚」というのが結論です。

特に「黒牛の舌(クロウシノシタ)」と呼ばれる国内産の良質な舌平目は、身がふっくらとして旨味が強く、高級店で高値で取引されています。一方で、スーパーで安く売られているものは、種類が違ったり、水っぽく味が抜けやすかったりすることが多いのです。

この記事では、調理師の目線から舌平目が高級魚と呼ばれる本当の理由とあわせて、「ご家庭で一からさばくのがおすすめできない理由」を解説します。

さらに、ご家庭の台所を汚すことなく、プロが仕上げた「高級魚としての本当の舌平目」を失敗せずに手軽に味わう方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

調理師が断言。高級な舌平目をご家庭でさばくのが難しい3つの理由

ご家庭で丸ごとの舌平目(特に良質なもの)を買って調理する際、以下の3つの大きな壁があります。

最大の難関!途中で破れる「厄介な皮むき」

舌平目を調理する上で絶対に避けられないのが、表面のざらざらとした皮を綺麗に剥ぎ取る作業です。頭の付け根から一気に引っ張って剥くのですが、力加減が非常に難しく、途中で皮が切れてしまったり、柔らかい身が一緒に剥がれてボロボロになってしまったりと、プロでも神経を使う作業です。


素人には難易度が高すぎる「五枚おろし」

舌平目は平べったい体型をしているため、一般的な三枚おろしではなく「五枚おろし(表に2枚、裏に2枚の身を取る方法)」という特殊なさばき方をします。骨の構造を理解していないと、中骨に美味しい身がごっそりと残ってしまい、せっかくの高級魚が台無しになってしまいます。


身が薄く、火加減を間違えるとパサパサになる

苦労してさばいても、舌平目は身が薄いため火が通りやすく、加熱調理が非常にデリケートです。ムニエルや煮付けにする際、少しでも火を入れすぎると、本来のふっくらとした食感が失われ、パサパサで硬い仕上がりになってしまいます。


高級魚の味わいをご自宅で楽しむならプロの仕込み済みが正解

サカナDIYで届いた舌平目(ソール)|真空パックで保存された2尾セット
サカナDIYで届いた舌平目。小ぶりな2尾が真空保存されています。

ここまで解説したように、失敗しやすい「皮むき」や特殊な「五枚おろし」に悪戦苦闘しながら、ご家庭で舌平目を一からさばくのはあまりにもハードルが高すぎます。

ご自宅で、高級レストランで出されるようなふっくらとした舌平目を手軽に味わうなら、最初から「プロが目利きし、一番面倒な皮むきや下処理を済ませた状態のもの」を選ぶのが一番確実です。

私が普段利用している「サカナDIY」の定期購入では、まさにこの完璧に処理された旬の魚たちが届きます。

あの厄介な皮むきや、特殊な骨格に合わせた下処理が終わった状態で真空冷凍されているため、ご家庭のキッチンを汚す心配がありません。解凍して調理するだけで、失敗するプレッシャーもなく、プロが仕上げた極上の白身をご家庭で楽しむことができます。

私が実際にサカナDIYで届いた魚を調理して食べてみた、調理師としての率直な口コミをまとめています。皮むきの失敗や面倒な後片付けから解放されて、本当に美味しい魚をご自宅で手軽に味わいたい方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。


舌平目の旬~おいしい時期~

したびらめの旬は5月から8月

旬カレンダー(1月〜12月)※色が付いている月が旬の目安です。

献立を考えるときは、旬をまとめて見るとラクになります。5月が旬の魚介は「5月の魚介類一覧」も参考にしてください▶5月|旬の魚介類 一覧表【保存版】

魚介類の解説

新鮮な生の舌平目(したびらめ)の全体像
透明感のある身が特徴の舌平目。鮮度の良さは目や皮の光沢で見分けられます。 ② 舌平目のムニエル

舌平目(したびらめ)は、スズキ目ウシノシタ科に属する海水魚で、日本では「アカシタビラメ」「クロシタビラメ」など数種類が流通しています。名前に「ヒラメ」とつきますが、カレイやヒラメとは別の仲間です。

旬は初夏から秋にかけてとされますが、現在は冷凍や輸入品も多く流通しているため、ほぼ一年を通して食卓にのぼる魚です。

身は淡白で上品な味わいを持ち、クセがなくさまざまな料理に使いやすいのが特徴です。フレンチの定番料理「舌平目のムニエル」や和食の煮つけなど、幅広い調理法で親しまれています。

調理の際は、皮を剥いでから使うのが一般的で、特に表側の皮は厚いため、包丁ではなく手で引き剥がす方法が適しています。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

皮を引くときは、表皮が厚く手で剥がしやすいので、焦らず丁寧に下処理すると仕上がりがきれいになります。

舌平目の解凍方法

冷凍の舌平目を美味しく食べるには、解凍の仕方がとても大切です。
もっともおすすめなのは 冷蔵庫でゆっくり解凍する方法 です。
冷凍状態の舌平目をラップや密封袋に入れ、ドリップを受けるトレーにのせて冷蔵庫で8〜12時間ほど置きます。水分が抜けにくく、ふっくらとした食感を保てる一番確実な方法です。

急ぎの場合は冷水解凍 が便利です。密封袋に入れた舌平目を冷たい水に浸して解凍します。約20〜30分で使える状態になりますが、水温が高いと鮮度が落ちやすいため、氷を入れて冷たさを保つと安心です。

さらに短時間で済ませたい場合は、袋に入れたまま流水に当てる「流水解凍」も可能ですが、外側だけが先に柔らかくなりやすいため、調理時に火の通りムラが出ないよう注意が必要です。

電子レンジの「解凍モード」を使う方法もありますが、部分的に加熱されて身が硬くなったり風味を損ねやすいため、できるだけ避けた方が無難です。

解凍後は表面に出た水分をキッチンペーパーで軽く拭き取り、すぐに調理しましょう。臭いが強い場合や身が崩れやすい場合は、生食ではなく加熱調理で使うのがおすすめです。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

舌平目は身が繊細なので、解凍の仕方ひとつで食感や風味が大きく変わります。冷蔵庫でゆっくり解凍したものは、ムニエルやポワレにするとふっくらと仕上がりやすいです

舌平目と相性の良い食材

バターで香ばしく焼いた舌平目のムニエル
定番料理「舌平目のムニエル」。バターとレモンが淡白な身の旨味を引き立てます。
食材・調味料・香味合う理由・ポイント
レモン酸味が舌平目の淡白で上品な味を引き立て、魚の生臭さを抑え、味に爽やかさをプラスする。
バターバターのコクと風味が淡白な白身魚の旨味を補い、香ばしさと滑らかさを与える。
パセリ ハーブの爽やかな香りが魚の風味を引き立て、彩りも良くなる。軽い風味変化を加えて料理を華やかにする。
白ワイン白ワインの酸味と香りが魚の風味を引き立て、ソースの味をまろやかにする。
オリーブオイルオリーブオイルの風味が軽やかで、魚の淡白さを邪魔せず、健康的な油としても使いやすい。
にんにく
シャロット
香味がほどよく効いて味に奥行きが出る。淡泊な味の舌平目にコクを補う。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

定番のレモンやバター和食として楽しむなら、オリーブオイルやハーブではなく、昆布や薄口しょうゆで仕上げても意外なほど相性が良いですよ。は、シンプルながら舌平目の持ち味を一番引き立ててくれる組み合わせです。

舌平目のおすすめの調理法

舌平目を使った和風の煮付け料理
上品な白身を生かした舌平目の煮付け。和風出汁との相性も抜群です。
調理法特徴・ポイント
ムニエル
ソテー
小麦粉を薄くまぶしてバターで焼き、仕上げにレモン汁とパセリを散らす。バターの風味とレモンの酸味で舌平目の淡白さを引き立てる。焦げすぎないよう中火〜強火の調整がカギ。
フライ
から揚げ
舌平目を三枚おろしにして衣をつけて揚げる。小型のものは丸ごと唐揚げにすると骨まで食べられる。サクサクの衣と淡白な身の相性が良い。
オーブンで焼くオーブンを使って均一に火を通す。ハーブ/ライムやレモンを載せて風味付け。焼きすぎを防ぎ15分前後が目安。
煮物醤油や砂糖、みりんなどで甘辛く煮物にする。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

舌平目というと「ムニエル」のイメージが強いですが、実はフライや唐揚げもとてもおすすめです。小型の舌平目なら骨までカリッと揚がり、香ばしさと白身の柔らかさを一緒に楽しめます。

地方名

  • アカクツゾコ
  • アカベタ
  • ウシノシタ
  • ササガレイ
  • ベタ

目利き

チェック項目良い状態(鮮度が高い)注意が必要な状態
澄んでいて透明感があり、ふっくら盛り上がっている白く濁る
沈んでいる
えら鮮やかな赤~ピンク色で湿り気がある褐色・茶色っぽい、乾燥している
弾力押すとすぐに戻るハリがある柔らかく、押すと跡が残る
光沢があり、乾燥や傷が少ないくすんでいる
皮がはがれている
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

市場やスーパーで購入する際は、必ず光沢やハリを確認しましょう。冷凍品を選ぶときも、霜が厚くついていないか、ドリップが出ていないかを見るのがポイントです。少しの違いで、食感や旨味がまったく変わってきますよ。

舌平目の栄養素(食品成分表)

したびらめ(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率45%
エネルギー89
水分78.0g
タンパク質19.2g
脂質1.6g
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム140
カリウム310
カルシウム36
マグネシウム31
リン160
0.3
亜鉛0.5
0.02
マンガン0.02
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)30
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD2.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.6
ビタミンK
ビタミンB10.06
ビタミンB20.14
ナイアシン3.3
ビタミンB60.20
ビタミンB122.6
葉酸12
パントテン酸0.26
ビオチン
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

舌平目の英語・漢字表記

舌平目(sole)の英語表記カード
舌平目は英語で「sole」。海外では「Dover sole」として高級料理に使われることもあります。
項目内容
漢字表記舌平目(したびらめ)
英語表記Sole
Common sole
発音記号/soʊl/
読み方(カタカナ)ソウル

兵庫県立農林水産技術総合センター:したびらめ類の資源調査
農林水産省:うちの郷土料理「くつぞこの煮つけ」

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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