うどんの味を決める最大の要素――それが「だし」です。
見た目は薄くても、ひと口で旨味と香りが広がる“出汁の黄金比”を知っているかどうかで味が決まります。
「しょっぱい」「薄い」「香りが弱い」
──そんな悩みは、出汁と調味料のバランスで解決できます。
この記事では、家庭でもプロのような「すっきり澄んだ味」に仕上がる黄金比を紹介。
関西風うどんの基本から、煮物や鍋にも応用できる万能だしまで解説します。
味が決まらない原因
- 出汁と調味料の比率が曖昧
- 醤油やみりんの塩分濃度を考慮していない
- 沸騰させて風味を飛ばしている
- 追い鰹を入れすぎて濁ってしまう
- 保存時に熱いまま容器へ入れて風味が落ちている
黄金比|2つの選べる比率

| タイプ | 出汁 | 薄口醤油 | みりん | 酒 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 万人向け黄金比 | 18 | 1 | 1 | 0.5 | 関西風。淡口で上品、やさしい甘味 |
| ② プロ寄り黄金比 | 15 | 1 | 0.8 | 0.5 | 出汁を濃くし、調味料控えめで素材を活かす |
その理由
出汁はうどんの“主役”。醤油やみりんは脇役として控えめに。
出汁を多く保つことで、すっきりと澄んだ味わいと香りを両立できます。
一方、プロ比では調味料を抑えて、素材(うどん・具材)の味を引き立てます。
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 出汁 (かつお昆布) | 1800cc | 旨味と香りのベース。風味の強弱で全体の印象が変わる |
| 薄口醤油 | 100cc | 塩味と香りを与える。色を淡く仕上げる |
| みりん | 100cc | 甘味と照りを加える。コクのある味に |
| 料理酒 | 50cc | 魚介の臭みを抑え、旨味を引き出す |
| 塩 | 少々 | 最後の味の調整。出汁の味を引き締める |
作り方

- すべての調味料を合わせる
鍋に出汁・薄口醤油・みりん・料理酒を入れ、中火にかける。
→ 沸騰直前(鍋の縁に小さな泡が出る程度)で火を止める。
※このタイミングが香りを最も引き出す「止めどき」。 - 追い鰹(必要な場合)
火を止めた直後にかつお節をひとつかみ入れる。
1〜2分置いてから静かに漉す。
→ 香りが増し、うどん専門店のような深みが出る。(長く置くと雑味が出るので注意) - 冷まして保存
粗熱を取ってから清潔な容器に移し、冷蔵庫へ。
常温放置はNG。冷やすことで香りをキープできる。
失敗しない3つのコツ
- 調味料を同時に入れる(火入れのムラを防ぐ)
- 沸騰させない(香りと旨味が飛ぶ)
- 味見は必ず温かい状態で行う(冷めると味が変わる)
使い道

| 相性の良い料理 | 解説 |
|---|---|
| かけうどん | 素材の味が引き立つベース出汁 |
| 煮込みうどん | 濃いめ比率(プロ寄り)で煮ても風味が残る |
| 鍋料理 | 野菜や魚介の旨味と調和。万能スープに |
| 煮物 | 出汁を強めに取れば、上品な煮物だしとしても◎ |
保存方法
| 方法 | 期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵保存 | 3〜4日 | 密閉容器に入れ、しっかり冷ます |
| 冷凍保存 | 約1か月 | 製氷皿で小分けにすると使いやすい |
| 常温 | 不可 | 風味が落ちやすく、菌の繁殖リスクあり |
応用・アレンジ
- 煮物用だし:醤油を少し増やして旨味を強調
- 鍋だし:塩を控えめにしてポン酢や薬味と合わせる
- 冷やしうどん用:みりんを減らしてキリッとした後味に
- 関東風にする場合:濃口醤油を半量ブレンドして色とコクを調整
現役和食調理師のひと言
うどんだしは、派手な味ではなく“透明感”が命。火入れの温度と調味料の順序で、香りの立ち方がまるで違います。特に「止める勇気」=沸騰直前で火を止めるが最大のコツ。
素材の味を支える「静かなだし」こそ、和食の真髄です。
